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ようこそ驚愕のAV界へ

AVの世界では、あるあるの
AV沼について語りたい。

プレゼンで、アイスブレイクしたい時、

「趣味はAVです!」
と言い放ち、観衆の反応を見ながら、

あっちの方ではありませんよ⁉

もちろん、
おーでぃおびじゅある(Audio Visual)ですよ!

と笑顔でボケて、
最前列のかわいい女子に、
ウインクされたりすると、
そのあとのスピーチは、やりやすくなる。

このテクは1回しか使えないが、
落とす前に絶妙な間が必要で、
しくじるとヒンシュクを全身に浴びる。

そんな、スリルのある
Audio Visualの沼について語りたい。

AVは、
『音響や映像を扱う電子・情報技術や製品』だから、
本来AVマニアは、音楽と映画の愛好家集団なのだが、徐々に本筋から遠く離れ、沼に落ちていく人が後を絶たない。

私の場合は、20年前のある雨の日の電気屋さんで、プロジェクターから映し出されたハイビジョン映像を見て、ハートに落雷を受けたのが沼る始まりだった。

それは恋と同じ。当たれば火傷する。

まず、SONY製液晶プロジェクターの名機VW10HTの後継VPL-VW11HTを設置した。透過型3LCD、1000 ルーメン、1366x768ドットで、今ではおもちゃレベルの機器だが、当時はトップランナーだった。

家で見る映像体験は、映画館とは感じ方が異なる。
深夜だったり、早朝だったり、一人だったり、友人といっしょだったり、生活と密にリンクする。自分が一番見たいタイミングでその世界に深く没入できる。

自宅の110インチスクリーンに出現する圧巻の映像。アクション映画、サッカー放送、大河ドラマ、紅白歌合戦、環境映像は、テレビとは別物といっていい。

女優が等身大で目の前のスクリーンに投影されると、すぐ恋に落ちてしまう危険な恋愛メタバース空間になる。海岸の映像には海風を感じることもある。

そうこうしているうちに、
コンテンツより、機器に愛着がわいてくる。よりよい絵と音を愛機から出したくなる。

AV評論家は、語彙が少ない。
驚愕、怒涛、史上最高などのビックワードを、AV評論家たちが多用するので、自然と影響を受けてしまう。
この果てしのない欲望の世界で、自分が求める驚愕の映像を出してみたくなり、手段が目的に入れ替わるのだ。

1メートル5000円のケーブルや、5万円の電源タップなどは、まだ序の口だ。電気の流れを整える為に、分子構造を整える目的で極低温処理であるクライオ処理をブレイカーへ施す。シアタールームに人間の脳に作用するというシューマン共鳴波を放ち、脳が認識する映像、音響を改善したりする。

当時は、パソコンのグラフィックカードの方が、DVDプレイヤーより能力が高かったので、ホームシアターPCが流行した。ホームシアターPCは、プロジェクター投影専用PCだ。

防振性にすぐれた特注PCケースと、映像・音響向けのノイズの少ないマザーボード、グラフィックカード、オーディオカードを厳選し、映像・音響用のWindowsシステムへの設定を研究し、絵と音をAVマニアたちが競い合った。

グラフィックカードを変えるだけで、映画『ムーラン・ルージュ』に出演するニコール・キッドマンの唇が、なまめなしく変化(気のせいだったかもしれない)したので、夢中になっていった。

さらに究極は、オーディオ専用マイ電柱を設置して、オーディオ用極太ケーブルを使った電源回路を、白色家電用電源とは別につくり、絵と音も激変させるのが、AVマニアの中でブームになった。一般人は、そんなマイ電柱ブームは知らないだろう。マニアの世界は深いのだ。

一般の電柱は、他の家庭と共有することが多く、他の家庭からの電子機器が発するノイズが自分の家のオーディオ機器に悪影響を及ぼす。自分用のオーディオ専用の電柱を立てて、電源を分離して改善するのだ。

マイ電柱は、AV戦国武将の御旗である。

さらにバッテリーからの安定した直流での電源供給に理想を求め、昼間に太陽光で充電した電気で映画を見るおしゃれなマニアたちもいた。

そんな終わりのない深いAV沼から、
私が一時的に出られたのは、単純に、仕事が忙しくなったからだった。マイ電柱は、まだ立っていない。

そして、我がシアタールームには、荷物が散乱し、スクリーンを下ろせないくらい、荒廃してしまった。

そんな私は、この春にシアタールームを再起動させる為のAV復興作戦を立て、AV沼に対して、再び挑もうとしている!

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