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瀕死状態✕小声✕魔女=死。

「何を言っているか分からない」にも種類があるんだなあ、って話。

実は二週間前から不正出血が止まらず、昨日とうとう婦人科を受診した。
何でここまで放置していられたんだろうと、不思議なくらい急に不安に駆られ、急遽予約なしで行ける婦人科を探した。

婦人科って、要は見知らぬ人の前で大開脚しなくてはいけないわけで。
妊娠中は神経が麻痺していたのか、毎週大開脚していたのに、いざ子供を産むとその敷居の高さは富士山レベル。

エベレストまではいかない。

そのためどうしても抵抗があり、今まで行けなかった。

私は病院の先生当たり率が高い。
妊娠中の先生も、持病で通っている担当の先生も、子供のかかりつけの先生も、みんなみんな優しく親切で、大当たりだった。

余談だが、若気の至りで一回こっきり打ったパチンコも、ビギナーズラックとでも言うのだろうか。
1000円で42万稼いだ猛者だ。大当たりだ。

だから今回も当たりだと、当然のように思っていた。

ドキドキしながら診察台に上がる。

何を言っているか分からない。

人の股をガサゴソしながら、何かを言っているのは分かる。
しかし婦人科というのは、腰から下に自分からは見えないようカーテンが掛かっていることが多い。
恥ずかしながらも大開脚をしている患者に対しての、ちょっとした配慮なのだろう。

カーテン、マスク、小声の三点セットのせいで聞こえないんだ…。
少し身を乗り出して聞く。
何ならちょっと診察台から浮いた状態で聞く。
エアオケツだ。

やはり何を言っているか分からない。

「あー。切れてる。何で?」
(先生、私それを聞きに来ているのです。)
「正常分娩でした?あー。あー。こりゃ出血止まらないねえ」

そんなような言葉が行き交う。
婦人科という、デリケートなところだからこその小声なのかもしれない。

それにしても、切れていることと正常分娩という言葉以外、まじで全く聞こえない。

結局、その後の診察でも何で出血しているのかは、詳しく分からなかった。
「とり…止血…バランスが崩れて…ダラダラ…」

何を言ってい(略)

とりあえず大まかなことは分かったし、(もちろんその話も詳しいことは聞こえなかった)とりあえず大きな病気ではなさそうだし、これ以上ストレスを溜めるのはよそう、と判断せざるを得なかった。

聞こえないって、ストレスなんだね。
貧血の症状があるのに更に採血をして、瀕死状態で婦人科をあとにする。

その薬局は、婦人科の目の前にあった。
いつもならポイントのつく、かかりつけの薬局へ行くのだが、昨日はそんな元気もなく、目の前の薬局で済ませてしまった。

果物の名前がつく、かわいいその薬局には、二人の薬剤師さんがいた。

一人は特に問題なさそうな、普通の薬剤師さん。
奥にいた魔女みたいな薬剤師さんは、明らかに何か違うオーラを感じた。

申し訳ないけど疲れていた私は、どうか奥の魔女に当たらないようにと願をかける。

「つぶきちさ〜ん」

魔女である。
何度見返しても、紛れもない魔女である。

嫌な予感しかしないので、とっととお金を払って終わりにしたかった。
しかし魔女はそれを許さない。
私の問診票を見て、

「!!!アナフィラキシーショック?!」

いやそこまでびっくりすることなの?
仮にも医療関係者なのに?
アナフィラキシーショックって割とメジャーだと思っていた。

「ええ、妊娠中に」と返すと、

「どんなでした?720円です」


これは…お金を先に払うべきか、症状を詳しく話すべきか…。

とりあえず1000円を出して、
「意識がなくなっちゃって」というと、

「?!大変でしたね…詳しく」

…ここで詳しく話さなくてはいけないのかな…?
いやでも薬剤師さんだから話すべきか?
隣の薬剤師さんが、横目でチラチラ見ているのが分かる。
いつものことなのだろう。慣れた様子だ。

詳しく、の言い方が強めだったので、
「緊急切迫流産で入院中にああでこうで結局こうなってアナフィラキシーショックになりました」とバカ正直に答える私。

「私ねえ、アナフィラキシーショックってなったことないの。どんななの?痛いの?こう、うううって感じなの?」

今度こそ本気で何を言っているか分からない。

助けてくれ。

結局魔女は私が1000円のあとに20円を出したら、おつりをさっさと出して、薬の説明もなく「次の方〜」と私を追い出した。
次の人も質問攻めされるのだろうか。

とにかくもう疲れた私は、説明がなくてもググればいいやと思い、その場を後にした。

薬は止血剤でもなんでもなく、何やらホルモンバランスを整える薬であった。
私、止血しなくていいの?

皆さんも関東地方の果物がつく薬局にはご注意を。





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