【2023.10.30】マイナンバー上裸おじさん

突然だが、私にはADHDの弟がいる。(彼はASDとも共存中である)
ADHDだからなんだという訳では無い。

最初こそ運命を憎んだものの、
今は感謝こそすれど憎むことは無い。
と、言いたいところだが、若さゆえかまだ納得のいく笑い話にはできない自分がいる。

ただ、弟は優しい。
さらには他の人にない面白さがある。
普通の家庭では経験できていなかっただろうなという様な体験をたくさんくれる。
私の考え方、忍耐力などの修行にもなっている。
世界も広げてくれたんだと思う。

木下優樹菜を見て、「へーこうゆう人もいるんだ、やっば」ではなく、
「本当に辛い思いしてる人に失礼だろ!免罪符じゃねぇぞ!」
と、思うくらいにはADHDなどの発達障害が身近なのは、
紛れもなく弟のおかげだ。


そんな弟は、いつも、落ち込んでる時や不安を抱えている時に限って、私を笑わせてくれる。

月曜日、今日はバイトだ。
学校にも行ったし、鬱と共存中の私には、
1日に2回の予定は正直しんどい。

バイトに繰り出そうと、準備を早めに終わらせて、ぼんやりと家を出なければならない時間を待っていた。

そんな時に、ガチャと短い音の後に、おとうとがひょいと帰ってきた。

何やらにたにたしている。

(弟は基本的にもったいぶるということが苦手で、いいたいことはすぐに言ってしまう。)
「どしたの」
短く聞くと、待ってましたとばかりに、
「お姉ちゃん聞いて」と返事。

素直で可愛いことだ。

話を聞いた。
すると、どうやら弟は、学校から帰ってすぐ(今日は行けたんだね、偉い!)に、区役所にマイナンバーカードを父と作りに行ったそうな。

マイナンバーカードは、事前に登録内容をインターネットで入力し、役所で、出来上がったカードを受け取るだけと、作り方が至って簡単だ。(現代っ子ですもの)

それで持って帰って来たのが、裸で写った証明写真が使われたマイナンバーカードだった。
それを見た瞬間、脳裏に、いや脳表にも、
(え、どゆこと?なんで裸なん?)
(鎖骨まで丸見えやないの)
(てかなんで誰も止めやんの?役所の人これみてアウトちゃうかな思わんかってん?)
(つかこれ他撮りっぽいから撮ったのオヤジだよな?止めろよ!)
などなどの思考が掠めた。

しかし、1番に出たのは言葉ではなく笑いだった。
もう抱腹絶倒。
弟もじわじわきて笑ってたし。
父に聞けば、役所でもパスワード決めなどをしている間、ぐふぐふと堪えきれず自分で笑ってしまっていたらしい。
容疑者の言い分では、首ぐらいまでしか使われないと思ったから、だそうです。

飽きれた。

もうバイト行かなきゃ。
そう言って私はマイハダカーカードを彼に返して、家を出た。
バイトに行く足取りは軽く、多分顔はずっとニタニタしていた。

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