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気まぐれ美少女ゲーム感想vol.4 SWAN SONG【ネタバレなし】

・タイトル『SWAN SONG』
・メーカー「Flying Shine」
・プレイ時間「15時間程度」
・推しヒロイン「なし」 
・私的評価「★★★★★☆☆」


 オタクが〇ぬまでに絶対やるべき作品。


 とは私の言ではなく、以前私が某青い鳥SNSでフォローしていた方が呟いていた内容だ。私はこういうオタク特有の暑苦しい好きな作品語りみたいなのが結構好きで見つけると嬉しくなる。こそばゆい、というか。自分もやってみようかな、となる。「それ」は作品それ自体でもあり、好きな作品語りでもある。

 だから三年ほど前から何か気に入った作品を摂取したら見るだけではなく自分で感想もとい批評もとい記録を書いたりもしたが、その多くは死蔵している。まあ、お気に入りなのはまだ残しているのだけれど……(以下参照)


 周囲に靡かないで我が道を邁進するオタクの”好きな作品語り”には、多少の暑苦しさこそ感じるが、好きなものがあるのは無条件に良いことだ。と思う。たとえそれが虚構に対してであっても。その熱意を現実に向ければというのはご法度というか野暮というモノだろう。

 まあ、似た者同士でつるんで会う度に身内ネタで盛り上がって束の間の一体感を得て悦に入ってる方の自分語りシリーズとかよりは少なくとも好き。


 で、SWANSONGである。


 圧倒的だった。


 物語への没入感というか、ストーリーや登場人物との一体感が凄まじい。現実や他者に微妙な距離感が垣間見える登場人物たちのモノローグ、奇妙とも言える価値観を何の不自然な様子も見せずに展開する生々しさ、群像視点で描く、極限状況下での人の醜さや狂気……。それらを静かな文体で、小説的な佇まいで、暗い画面で、時に敢えてBGMを排した無音で、魅せてくる。

 というか、自分で作りたいゲームの理想にかなり近いかもしれない。私が再三述べている、「ノベル」の部分が本当によくできているなあと思った。文字を魅せることにかなり細かく配慮しているなあ、と。作品との一体感、没入感は今までやったノベルゲームの中でも屈指だった。特に後半。推しヒロインがいないのは萌えとか推しとか安易な表現では掴みきれないと思ったから。登場人物たちは全員何処か歪だが、それでも憎みきれないのが凄い。

 だって現実も大抵そうだもん。

 なんというか、文字通りの総合芸術って感じ。文学ではないけれど、紙の本で出るのなら普通に買いたい。

 内容に関しては特に語るまい。強いて言えば、肩透かし気味なトゥルーエンドよりも過酷さのなかに一縷の希望がほんの僅かに見えるノーマルエンドの方が好きでした。あと、もう少しあろえ関連を掘り下げて欲しかった。  

 文章が躍ってますが、堅苦しい考察は抜きに楽しめた作品です。ただし、かなり気落ちするシーンが多々あるので、心を強く持って挑みましょう。

  

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