香水と化学物質過敏症疑惑
※化学物質過敏症の方、香水が好きな方、特定の商品を好む方にとって不快な文章を含みます※
きっかけ
私は幼少期に『コスメの魔法』一巻のMAGIC4「恋する香水」を読んでから、私にも似合う香水があるはずだという幻想を持ち続けていた。
しかし家族の一人は強い香水の匂い、化粧の匂いに酷く過敏な人だった。すぐにゴホゴホと尋常じゃない咳をする。「なんだあれ、つけすぎだろ」とおめかしをした女の後ろ姿に悪態をつく家族を見て、落ち込んだ。
お香の匂いは大丈夫な人だった。
線香や、グローバル プロダクト プランニング社「アロマ 聖なるお香」は咳き込むことはなかった。
サムライ オードトワレ
別の家族に誕生日プレゼントに香水をあげた。
サムライ オードトワレである。
コットンにワンプッシュして使っていたせいか、化学物質過敏症の家族は強い反応を示していなかった。全然使っていないし、使い方が良かったのだろう。
アクア シャボン ホワイトコットンの香り オードトワレ
妥協して自分用に アクア シャボン ホワイトコットンの香り オードトワレ を買った。
石鹸の匂いなら大丈夫だろうと思った。
しかし、私の好みの匂いではなかった。
私の造語だが、「ケミカル臭い」のだ。
職場の同僚が同じ香水をつけて帰っていた。他人がつけるのは問題ないが、鼻に刺す匂いだと感じる。あんなにテスターを吟味したのに。
それからその香水は野生動物避けとして我が家で用いられた。
風下だと全身にかかり、家族を苦しませた日もあった。反省している。
グローバル プロダクト プランニング社「アロマ 聖なるお香」
それからグローバル プロダクト プランニング社「アロマ 聖なるお香」を数点買った。
いい匂いだが、妥協しているというモヤモヤは晴れなかった。時々目がシパシパする。部屋に一時的に匂いはつくが、服に匂いは映らない。
ハンドクリーム
ハンドクリームに逃げたこともある。
La Maioliche ラ・マヨルカ ハンドクリーム / シチリアンレモン
レモンの再現度が高い。
しかし、ボトルが大きく妙にせっかちな私は使い切らなくてはいけないプレッシャーに駆られた。
この匂いなら家族は苦しまない。
結局匂いに飽きてリピ買いしなかった。
サンリオキャラクターのホワイトティーの匂いがするハンドクリームを次に買った。
ハンドクリームとしての質がなんとも微妙だった。匂いも納得できるものではない。
苦しさ
一人暮らしをすればいい、香水に限らず家族とやんわり衝突した時によく考える。
借金してでも一人暮らししろと、ネットで出会った人に言われたこともある。
家族との折り合いをつけて、好奇心を満たす(自分を大事にする)ことがなぜこんなに難しいのか。経済的に切り詰めて無茶してまで、香水をつけたいわけでもない。
youtubeのダイエット動画でも、小麦を食べないと語るインフルエンサーに対して同居している家族の同意を得られないとコメントしている自称女子高生を見たことがある。
経済的に一人前になったから自分のしたいおしゃれをしていいのか。お気に入りの香水を付ける、けれども毎日お金の心配をしてカリカリするのか。
結論は出ないまま心の奥底に、耐えきれない好奇心が渦巻く。
某国内ブランドの香水
安い香水、ハンドクリームをウィンドウヒョッピングの度にテスターして歩く毎日。落ちたと思っていたテスターの匂いでも時々家族は苦しんだ。
noteを始め、国内の香水ブランドをおすすめする記事に出会った。
私は記事で紹介されていた高級香水のサンプルを買った。
金額の割には小さい、とても小さいボトル。
五種類のテスター。
どれもキャップを開けて嗅いでも「ケミカル臭くない」。
できる営業がつけてそうな匂い。花束という触れ込みなのに肌につけると石鹸のにおいに化ける香水。複雑な調合がされており、思わず唸ってしまうメンズ向けな匂い。
ボトルから嗅ぐとケミカル臭くないのに、ボトルから出すと「ケミカル臭い」匂い。※花をモチーフとしており、生花としての再現が非常に高い。
自分のキャラクターにあってるとは思えないけどいい匂いのフローラル・ブーケ。
やはりコットンにつけるのは大丈夫だが、肌につけると家族の一人は苦しむ。良質だから反応しない、というものでもなかったようだ。
もちろん罪悪感もある。私さえこんなしょうもないことを我慢すればいい。そう思ってたけれど、家族が知覚できないくらいに量を絞ればいいと、工夫することを選んだ。
スメルハラスメントという言葉もあるから、家族以外でもそこそこ混んでいる電車には十分注意しないといけないと思う。
すれ違ってこっそり香るのが理想だ。
コットンにつけることをルールにした。
肌につけると三時間、コットンでミドルノート、ラストノートを追うと2日は持つだろうか。
シャープな匂いのものに関してはうっかり三滴出しすぎてコットンにつけたものの、三週間以上は香っている。
生活の変化
単純にすごいいい匂いのものが家にあるのはテンション上がる。
ブランディングとか、口コミの当てにならなさとか学ぶものが多かった。
香水以外に付随する情報が面白い。
五種それぞれ高級品である。決して私のキャラクターにあっているとは思っていない。背伸びをしている自覚はある。
今まで商業施設で、すれ違った男の人が香水を適切な量で使っていたらかっこいいと思っていた。
すれ違ったいい匂いのお姉さんはあのブランドを使っているのだろうかと、「よくわからないけど自然ないい匂いをする憧れの、別世界の人」から「もしかしたらあの商品を使っているかもしれない人」へ解像度が上がったのは好奇心を満たしたからだ。
ある個人経営のカフェで店員と至近距離ですれ違ったとき、明らかに食べ物とは異なるいい匂いがした。飲食業は香水厳禁という思い込みから開放された。あくまで彼女は適切な量で控えめに使っていらっしゃるからだろう。
結論
結論としては高級香水のテスターを買いました。良かったです、に帰結する。
やっすいテスターを片っ端から試す日々とお別れした。
職場にはつけて行けないから限られた日しかつけない。テスターで三ヶ月は持つだろう。
自分のキャラクターにあったボトルを見つけるまでまだまだかかるとは思う。
無臭が一番、と考えている私や、エッセンシャルオイルが一番と考えている私もいる。
いつか納得できる答えを出したい。
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