【一人飯考】孤独のグルメと韓国と職場の人
自分にインカコーラを買わせた名作、孤独のグルメ。
孤独のグルメは漫画がたった2巻しかないのだが、昔からネット上ではかなり(ネタ的な意味で)有名で、ドラマ化も大成功を収めている。
シーズン10まで行くドラマなんて、もう異次元の人気だと言える。
そして最近のニュースで、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が岸田首相と飲み歩き、孤独のグルメの話題に花を咲かせたというニュースが飛び込んできた。
韓国の大統領が孤独のグルメを知っていることに驚きだ。
いや正直なところ、
60代の首相&大統領が、すき焼きを食べたあとに稲庭うどんでしめ、さらに別の洋食店でオムライス、ハンバーグ、ハヤシライス、チーズを注文したという情報を聞いてからでは、「どんだけ食っとんねん」という別の意味での驚きの方が上回ってるけれども。
ユン大統領が知っていたのはドラマ版の孤独のグルメらしいのだが、それもそのはず。
ドラマ版には韓国を舞台にした回があるのだ。
主人公のゴローは韓国語は全然喋れないのだが、普通に店に突撃する。
そして「自分で作るピビンパ」などの初見殺し料理を楽しむのである。
自分は海外旅行経験はないので、面白いなあと思って見ていた。
そして韓国人の側も、孤独のグルメを興味深いと思っているらしい。
なぜなら韓国では、一人飯なんてものをしている人間は、「一緒に食べる人もいない寂しい人」、「飯に誘ってもらえないヤバい奴」と思われるものだからだ。
そのため、2017年にはムンジェイン大統領が中国要人と食事の席を共にできなかった際は、「大統領が一人飯!!」なんてことがニュースになっていた。わざわざ「一人飯」なんて単語を使っているのは、一人飯への忌避からくるものなのだろう。
(もしこれが2018年の孤独のグルメの韓国回が放送されたあとだったら、多少は理解が得られたのだろうか……?)
とはいえ、Youtubeで韓国人の意見を聞いた感じでは、コロナ禍や孤独のグルメ程度で完全に払拭できるような習慣ではないのかもしれない。
(韓国もこのご時世で、お一人様向けの店は増えたらしいが)
一人飯が基本の自分にとって、こりゃ韓国は厳しいなと思ったわけだが、ここでふと、職場にいたとある人間のことを思い出した。
その人は絶対に一人で外食をしなかったのである。
たしか彼は言っていた。
「一人で外食するくらいなら公園でおにぎり食った方がマシだわ!!」と。
だから彼は自分が奢ることになろうが人を誘うのだ。
(実家が金持ちだから金は腐るほどある)
「わけわからんやつだな……」というのが当時の正直な感想だった。
まあ一人飯というのは、日本でもちょっと抵抗がある場面はなくはない。「一人焼き肉は無理〜!」なんてのもよく聞く。
しかし彼は吉野家だろうが一蘭だろうが無理だという。
……なるほど。
彼は韓国に行けば幸せになれたのかもしれない。
彼に関しては他に吐き出したいことがいくらでもあるが、それはいつか別の機会に吐き出そうと思う。
(あんなにマウントを取りたがる人間を自分は見たことがない)
なんにせよ、国によって文化が異なっているのは本当に面白い。
昔行った博物館には、「おー!飯食ってけよー!!」と誘われた際に、その誘いを何度か断らないと、死ぬほど失礼な奴として扱われる国が紹介されていた気がする。
どんな初見殺しだよという話なわけだが、きっとその文化が生まれる要因がなにかあったのだろう。
そういうのを調べる仕事ってすごい楽しそう。
なんだか民俗学に興味が湧いてきた今日この頃なのだった。
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