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考え続ける#Black lives matter 映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』

映画の最後、キング牧師の言葉が字幕に流れていく。

人種差別に暴力で闘うのは愚かなことである。暴力は破滅に至る。らせん状な下り階段で“目には目を”の思想はすべてを盲人に導く。暴力は敵の理解を求めず敵をはずかしめる。暴力は愛ではなく憎しみを糧とし、対話でなく独白しか存在しない社会を生む。そして暴力は自らを滅ぼし!生き残った者のこころには憎しみを暴力を振るった者には残虐性を植えつける。〈マーティン・ルーサー・キング〉

根深い人種間の対立、双方のいらだち。火種はそこら中に転がっていて、いつ着火するかわからないような日常がある。暴力は憎しみを糧に増殖し、自らを滅ぼす。その通りの出来事が映画の中で進行していく。黒人たちが怒りを向けた、ピザ屋のイタリア人もまた、アメリカ社会の中では、このブルックリンの黒人街にしか居場所がないマイノリティだというのも皮肉なものではある。

この映画でスパイク・リー監督自ら、ピザ屋で働く、怠け者で、無責任な主人公ムーキーを演じている。彼がごみバケツを投げつけてピザ屋のガラスを割ったことを合図に群衆の暴力が激しく燃え上がる。「人種差別に暴力で闘うのは愚かだ」というキング牧師の言葉を監督はどう考えていたのだろう。映画のエンドロールには、キング牧師の言葉に続いてマルコムXの言葉が流れていく。

アメリカには善人も多いが悪人も多い。権力を手中に握り我々の進む道を阻んでいるのは悪い奴らでこの状況を打破するために闘うのは我々の権利である。私は暴力を擁護する者ではないが、自己防衛のための暴力を否定するものでもない。自己防衛のための暴力は“暴力”ではなく“知性”と呼ぶべきである。                                                    〈マルコムX〉

差別の現状にものも言わず、ただ受け入れるだけならば、それは言葉を持たない動物のようなものだ。思考し、言葉にする人間としての知性を働かせ、現状を変えていく力をマルコムXの言葉はは与えてくれる。

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https://movies.yahoo.co.jp/movie/15702/

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