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春がきても

久しぶりにいつもの公園を走った。
お彼岸も過ぎようとしているのに、今年はいつまでも寒い。公園の桜の花芽もまだ固いままだ。
この季節は何を見ても寂しいスイッチが入ってしまう。息子たちがそれぞれ家から巣立っていった季節だから。

末の息子が大学生になってから3年がたった。家には私と夫だけが残り、どんな生活になるだろうかと不安だったが、始まってみれば夫婦2人の生活は気楽で、今まで子育てでできなかったことを自由に楽しめる時間もできた。

そんな生活も、あと一年と思っていた。三男は地元で就職する準備を進めていたから。それがそうはなりそうにないことが先週わかった。
電話で話す息子の話を聞き続けることができなかった。
「ごめんね、もう聞くのがつらい。お父さんに変わるね。」まだ話の途中だったのに。私は夫に携帯電話を渡してしまった。

時間がたって、落ち着いて考えてみた。生きたいように生きるのがいいだろう。誰のものでもない自分の人生なのだから。ただこの寂しさを受けとめるにはまだ時間がかかりそうだ。

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