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終わりを数える

「終わりを数えて生きるのは、イヤなんだ。」息子は、急に不機嫌な声になって私に言った。

もう2年前になるだろうか。大学3年の長男が冬の帰省から東京へ戻る日のことだった。電車の時間に合わせて夫が運転する車で息子を駅まで送る途中で助手席の私は言ったのだ。「4月にはもう大学4年だもんね。早いね」たったそれだけの言葉に息子は何を感じたのだろう。

たしかに私はいつもそうだったかもしれない。最後の運動会、最後のサッカーの大会、高校生活も後一年…そんなふうに息子達の日々を見送ってきた。私には絶えず何かの終わる日が見えていて、そこへ向かって日々をかみしめるように生きてきた。そんな母親の生き方に長男は時々批判的なことを言う。

それでもやはり考えてしまった。今年は私たち夫婦が息子と過ごす最後のクリスマスになる。

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