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読書要約#19 入門 起業の科学

①アイディアを検証する

企業は何かしらの課題を解決するために存在する。特にスタートアップに関しては、それが「自分ごとの課題であるか否か」というのが大事になってくる。自分にとっても他人にとっても、だ。
まず他人目線から。スタートアップは世間的には信用度が低い。結果をまだ出していないから皆、怪訝的な目で見るのだ。だけども仲間を1人1人増やしていかなくては事業を回すことも資金調達することもできない。そこで大事になるのが「課題に対する思い」である。その課題に対し強烈な原体験があり心の底からそれをクリアにしたいと思って行動をしているのか。数字がまだ出ていない分そこが重要視される。
次に自分目線から。スタートアップは言うたら毎日が生きるか死ぬかの戦いである。そんな過酷な毎日をかけられるほどにそれを解決したいのか。自分が一番に熱狂できなければ誰もついてこない。さらに、自分がその課題に精通しているのはプラスでもある。当事者だからこそユーザ目線に立つことができ、さらに独自の目線からアプローチできる可能性もある。
また、具体的に事業プランを落とし込むフェーズに入ったら「リーンキャンバス」を使うことをお勧めする。緻密に事業計画書を作成するより、このリーンキャンバスを利用して何度も更新して行った方が効率が良い(リーンキャンバスについては本書参照)。

②課題の質を上げる

つまりはより顧客目線で考えるということ。そこで紹介されているのは「ペルソナ」を設定するというもの。ペルソナとは、自社のサービスを使っていそうな顧客をできるだけ細かく思い浮かべることである。「大学生」や「20代男性」ではなく、「通勤はspotifyで音楽を聞き、居住地は市ヶ谷で1Kの一人暮らし、週3回はジムに通う、出身は東京都、25歳男性」みたいな感じだ。そうすることで、より顧客目線に立ち自社のサービスについて考えることができる。さらに「カスタマージャーニー」というフレームワークも紹介されている。サービスを享受するまでのカスタマーの「感情の起伏」に注目し、課題を見つけるというものだ。さらには実際にカスタマーにインタビューをし課題をブラッシュアップしていくというのも紹介されている。
これらからいかに顧客目線に立って考えることが重要かわかる。

③ソリューションの検証

ここからは実際にプロトタイプを作成していくわけだが、大事なのは「機能をそぎ落とす」こと。よくありがちなのはたくさん機能を詰め込みすぎて、一体誰のなんの課題を解決したいのかわからなくなるパターン。あのFacebookでさえも最初はメッセージ機能やポスト機能や搭載しなかったらしい。ハーバードの学生同士が繋がるという目的に注力していた証拠である。このように、課題に真摯に向き合いそれを解決できる機能のみを搭載することが重要である。

④人が欲しがるものを作る

まずMVP(minimum Viable product)を作るのが第一。MVPとは実用最小限の製品を指す。プロトタイプと混合されるが、大きな違いは「お金を払ってもらうか否か」。無料でユーザーの声を集めるのがプロトタイプ。お金をいただくのがMVPである。
また、「学習目標」を明確にして製品を世の中に出し、反応を見て学びを得ることが大事である。この一連のサイクルを「スプリント」と呼ぶ。その際には、「スプリントキャンバス」を使うのがオススメ。実験したいこと、実装するユーザーストーリー、コスト・時間を記入しておき、実際にMVPを投入しその反応を「定量・定性両面から」評価する。「スプリントキャンバス」ではそれらを紙ペラ一枚にまとめることができる(詳細は本書参照)。大事なのは定量・定性両面から評価をするということ。定量はAARRR指標(アー)を紹介している。aquisition(獲得)、activation(利用開始)、retention(継続)、referral(紹介)、revenue(購入)の頭文字をとった形だ。これは逆三角形のファネルの形をとる。特にスタートアップが重要視すべき指標は(PMFをゴールとしているのならば)、retention(継続)だ。定着率は顧客の熱狂度と高い関連があるからだ。AARRR指標では穴の空いたバケツとも例えられる。要は、どこにボトルネックがあってそれを分解して考えられるツールとも言い換えられる。
そして定性評価としてはインタビューが挙げられている。やはり顧客に直接自社のサービスを使ってみてどう思っているのかを聞くのは大事だ。人というのは褒められたい生き物だが、良いことばかりだけでなく、悪いところや価値を感じづらい機能を聞き出すのが重要である。

⑤所感

スタートアップは一時的な組織であるという前提が興味深かった。スタートアップで成功して規模が大きくなったとしてもそれはスタートアップではなくなっている。0から1を急激に成長させるその過程を生き抜くのがスタートアップであり、そのために毎日を不安に思いながらも圧倒的に自分事化された課題解決のために奔走する。その道を生きていくのは覚悟が必要だと思うし、苦悩もつきものだと思う。だがそれほどまでに課題解決に熱中できる状態というのはかっこいいなと素直に思える。
本書で紹介されたフレームワークもとても良かった。それはカスタマー目線のものばかりだったから。フレームワークを駆使すると机上の空論になりがちだが、これらは積極的に使っていきたい。

(※アフィリエイトではありません。)

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