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ある日突然、情報が入れ替わるかもしれない【音声と文章】

山田ゆり
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「いらっしゃいませ!」

お店の入り口のドアが開いた。

分厚い眼鏡をかけたその方は帽子を脱いでいった。
「あのぉ~。本町3丁目25はどのあたりでしょうか。」

あぁ、まただ。
お天気の日は、道を聞かれることが多い。
今日はこれで3人目だ。



のり子の勤務先は車の往来が激しい大通りに面している。
近代的な建物や医院が立ち並ぶ一角に、突然タイムスリップしたような、昭和的雰囲気が漂う店舗がある。
そこがのり子の勤務先だ。

春になるとのり子のお店は来客が多くなる。
通常のお客様の他に、道を尋ねる方が一日に数人いらっしゃる。
T字路がぶつかった位置も関係しているだろう。何となく懐かしさを感じてしまう店構えに「道を教えてくれそう」と思うのだろう。その気持ち、分からないでもない。


このご時世、若い方はスマホで位置確認しながら目的地に行かれるだろう。
しかし、ある程度年齢が上の方はすぐ降参してそのお店の引き戸を右に開ける。

春にはそういうお客様が増えるのはのり子の会社では承知済みで、少し前まではゼンリンの住宅地図を広げてそれをコピーして相手にお見せして

現在地がここで、目的地がここ、
だから
この道路を通って行けば大丈夫ですよと
親切に教えている。


今はネットで大体は分かる為
PCからプリントアウトして
それをお渡ししている。

本当に便利な世の中になったものだ。


便利なPCの地図だがしかし、
必ずしも正確ではないのをあなたはご存じだろうか。



実はのり子の自宅でそれが実際に起こった。


昔、自宅の住所を入力すると
グーグルマップには洗濯物を干しているのどかな風景が見えた。

その中に娘の中学のジャージが干してあり、刺繍で施されている名前がかろうじて隠れていてプライバシーが保たれていた。


その後、のり子の家は、同じ敷地内に
新居を建て、旧宅は解体した。
一見、同じ敷地内なのだが
住所の最後の地番がひとつ変わった。

たとえば、123-1から123-2になるイメージだ。


年が明けて娘が何となく新居のグーグルマップを開き、新居の住所を入力すると
お隣さんが検索に引っかかった。


お隣は壁が崩れかけ、屋根のトタンが凹んでいる。
そこにはおばあさまが一人で住んでいたが
その後、老人施設に入り、廃屋になっている。


のり子は「別にいいんじゃない」と思ったが、しかし、娘たちは


「もしもピザの配達の人がグーグルマップを頼りに来たら、絶対困ると思うよ。」

「もしも、ポストインの郵便物が来た場合、そのお宅のポストに入れて、ずっと我が家には届かないよ。」と
いくつかの事例を言った。


そう言われてみると、心当たりがある。
のり子の家の風除室には、宅配便置き場も兼ね備えている大きなポストがある。

ある日、「今日、配達される予定なのに遅いなぁ。」と荷物の到着を待っていた。
待ちくたびれてポストを見に行ったら宅配便置き場の中にそれは置かれていた。

ずっと在宅して待っていたのに、玄関のチャイムを鳴らすこともなく黙って荷物を置いていかれたのだろう。


このままだと、もしも配達に慣れない人がグーグルマップを頼りにのり子の家を探し、お隣の廃屋の入り口付近に荷物を置いていくかもしれない。


そういう危険性を考え、娘はグーグルマップへ情報の修正依頼をした。
何でもネットでできる今の時代は便利なものだとのり子は感心した。




ところが、数日後に届いたメールにのり子達は驚愕した。

「お客様の修正依頼は却下されました」


なぜ?
実際に住んでいる人が「間違っている」と言っているのに、なぜ却下されなければいけないのか意味が分からない。

勿論、登記など、全ての書類関係は終わっているのに。

娘は再度、グーグルマップへ修正依頼を出した。



そして今度は見事、修正が受理された。


そのお知らせを家族共有のラインで見て、天下のグーグルマップから勝利を勝ち取った思いがした。


だから、天下のグーグルマップも
100%正確ではないということだ。




あなたのお宅はグーグルマップに
正しくアップされていますか?


情報は自分が知らないところである日、突然、変わっているかもしれない。


時々、自分の情報は確認した方がいいかもしれない。







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ある日突然、情報が入れ替わるかもしれない

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