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我が家の最後のお米【音声と文章】

山田ゆり
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※音声と文章、どちらでも楽しめます。

おはようございます。
山田ゆりです。


今回は
我が家の最後のお米
ということをお伝えいたします。


「ねぇ、どうして白いご飯を持って行かないの?」

私は長女に聞いてみた。
長女は明日のお弁当を夜に作る。
そして、必ずご飯はチャーハンにしたりピラフにしたりして
ご飯そのモノでは持って行かない。

白いご飯よりもそっちの方が好きだからかもしれないが
私は長女に聞いてみた。

「ウチのご飯、白くないから恥ずかしくて。」
そんな答えが返ってきた。
言われてみて気が付いた。

炊き立ての頃は勿論、真っ白なご飯だが
長時間保温していると色がくすんでくる。
でも、それが恥ずかしいと私は思ったことはなかった。

でも長女の気持ちも良く分かった。

長女の勤務先はお昼にテーブルに集まって
皆さんと一緒にお弁当を食べている。

だから、それぞれがどんなお弁当を
持ってきているのかが分かるのだ。

そして多分、白いご飯を持って行った時に
他の人のご飯と比べ自分のご飯が
白くないことに気が付いたのだろう。


我が家は少し前までお米と野菜の農家だった。
専業農家の夫が作ったお米を食べている。

我が家の総二階建ての倉庫には一部分が
2階の天井まで吹き抜けになっている大きなお米の乾燥機がある。

秋に刈り取ったお米はすぐにその機械の中に入れる。
そして数日間、水分の%を見ながら乾燥させ、
ちょうど良い乾燥具合になったところで
お米を排出して農協に出荷していた。

家族が食べる分のお米は乾燥機の中に残している。

だから、ちょっと前までは
米びつに入る分のお米を排出して
我が家の精米機で精米してご飯を食べていた。

その年のお米を収穫し、ひと段落した10月下旬に
夫は致死性不整脈で急逝した。

農業のことは全て夫任せだったから
私たちはその乾燥機からお米を排出するやり方を知らなかった。

だから夫が亡くなった時、
お米をどうすれば良いのか分からなくて困った。
収穫されたばかりのお米がたくさんあるのに
それを乾燥機から出して精米することができなくて困った。


私たちはその機械を売ってくれた農機具屋さんに事情をお話して
使い方を教えていただいた。


※note:農機具屋さんから学んだこと
https://note.com/tukuda/n/nebff17a28454



両親、私たち夫婦、娘たち3人の7人家族だった頃は
朝に一升、夕方に5合、お米を炊いていた。

しかし、今は長女と三女と私の3人暮らし。
一日に3合炊いても余るくらいだ。

「そろそろ、お米がなくなるかもしれない。」
これまで毎回そう思いながら乾燥機からお米を排出していた。



ある時、週の中頃でお米が切れて
パンや麺類の日が続いた。

そして、300g(2合分)のペットボトルに入ったお米のいただきものを思い出した。
それは景品の一部として頂いたモノだったが、
たったこれだけの量を食べる機会が無くて
「そのうちに」と思って寄せて置いたモノだった。
私たちは一粒もお米が無いその時にそれを食した。


炊きあがりのそのお米は一粒一粒がはっきりしていて
口の中に入れて噛むと、弾力と
適度な粘り気があり
とってもうまかった。

何も混ぜずにそのお米だけでずっと食べていたかった。
新しいお米はこんなに味が違うんだと驚いた。

そのお米は時間が経ってもパサつきや変色が無いと長女が言う。
言われてみればそうである。



新しいお米は白くて美味しい。
できれば毎日食べていたい。


でも、今は、夫が作ってくれたお米を
大事に食べ続けたい。

夫が亡くなってそろそろ2年半になるが
まだ当時のお米がある。
どれだけ私たち女子だけでは
お米の消費量が少ないかが分かる。


お米を排出する時の音が
以前に比べて軽い音になってきた。
「その時」は確実にそこまできている。




あと少し。

もう少しで
夫のお米は無くなる。



新米のように白くはなく
時間が立てばパサつくけれど


それでも
夫が作ってくれて
家族みんなで稲刈りをして
収穫した我が家の最後のお米。



「その時」がくるまで
じっくり噛みしめたい。






今回は
我が家の最後のお米
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。




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