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給料が高いのには訳がある(妄想の世界)【音声と文章】

山田ゆり
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1396
※note毎日連続投稿1414日をコミット中1396日目。
※音声・文章、どちらでも楽しめます。




おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
給料が高いのには訳がある(妄想の世界)
をお伝えいたします。



どうしよう。
この会社に入って初めての給料は、半分しか支給されなかった。
専務は「残りは少し待ってくれないか」と言われた。
「少しってあと何日なの?」



この会社に転職してきて
初めての集金日の出来事を振り返ってみた。

のり子はその日が集金日だとは知らされていなかったので
来客には普通に対応していた。

会社対会社の立場なのに相手は87%
高飛車な態度をとっていた。

そして、集金の話をしてきた。
のり子はお金は預かっていないと答えると

「今月もですか!いつになったら払ってくれるんですか!」
先方は顔を真っ赤にし、唾を飛ばしながら不満をのり子に向ける。

「今月も」って、私、入ったばかりでそう言われても。
心の中でそう思いながら、のり子は平謝りをした。
事務所にはのり子しかいない。

資金繰り担当の専務は朝から出かけていない。


私が悪いんじゃないけど、ここは謝っておこうと思った。

「じゃぁ、来月はきっとですよ!」
そう言って先方は帰って行かれた。



それを一日の内に何度も繰り返した。
私のせいじゃないのにどうしてあんなに怒鳴られなければいけないの?

のり子は一年分の謝罪を今日一日でしたような感覚だった。


夕方になると頭の上あたりから魂が抜けていくような気がした。
普段、叱られることがほとんどないのり子にとって
その日はやたらと長く、心が折れてしまった。


これが地元の給料より2万円高い理由か。
のり子の胃がギュッと握られたような痛みを感じながら帰路に就いた。



そして二度目の集金日がやってきた。

玄関に鍵をかけ、社内の電気は全て消した。
電話が鳴っても絶対にでない。
専務からそうしなさいと言われた。
先月、痛い目にあったからのり子はそれに従った。


誰かが鉄の階段を上がってくる音がする。
社内にはのり子しかいない。
コツコツと重い足取りだ。
きっと溜まった請求書を見ながら上がってきているのだろう。


トントン
最初は礼儀のある軽くたたく音。
のり子は息をひそめてじっとしている。

もう一度ドアが叩かれる。
今度は少し荒っぽく叩いていた。
様子を伺っているのか少しの間があった。
やがてドアノブがガチャガチャ回される。

のり子は祈るように指を組んで
目をつぶり椅子に座ってその時を待つ。

やがて諦めて階段を下りる足音が遠ざかっていった。


今回も専務からお金は一切預かっていない。

お昼近くになり、のり子はお手洗いに行きたくなった。
今日だけはトイレに行くのをずっと我慢していた。

もしも水が流れている音をお客様に聞かれたら
いることがバレてしまう。

だからのり子は極力、水分を取らないように気を付けていた。
それでも人間だもの、トイレには行きたくなる。
トイレは事務所を出てすぐのところにある。


のり子は耳を澄ましてあたりの音を聞いた。
木々の葉が窓にぶつかる音がした。
車が勢いよく通る音が聞こえた。


今のうちだ。
のり子は事務所から出てすぐに鍵をかけ、トイレに入った。

耳をそばたてて階段を上がってくる音がしないかを確認してから水を流した。

事務所に戻ったのり子はすぐに内鍵をした。

どうして、たったトイレに行くことに
こんなに神経を使わなければいけないのか。



もうだめだ。
この会社、続けられない。


30代後半の私がやっと入れた会社。
地元の給料よりここはなぜか2万円も高かった。
私はラッキーだと思った。
夫も喜んでくれた。


しかし、入社してまもなく、なぜ給料が高いのかが分かった。
事務員が入ってもすぐに辞めてしまうからだ。
そりゃそうだろう。
毎回、こんなことをしていたら
会社に来たくは無くなるだろう。


少ししてまた誰かが階段を上がってきた。
社内の人だったら鍵を持っているから黙って入ってくるはず。

ドアをこぶしで強く叩く音。
その強さは「今月は払ってもらいますよ」という
執念がこめられているようだった。
その音は、「中に居るのは分かっているんだ」
と言っているようにも聞こえた。


いくら電気を消して鍵をかけていても
下の駐車場にはのり子の車がある。

運転席と助手席には、牛のぬいぐるみに見える
かわいいカバーをかけていた。
それは夫からの誕生日プレゼントだった。

集金に来た人は今回も同じ車がとまっているから
恐らくのり子が室内にいるとばれていたかもしれない。

そんな彼らが次回、強引に入ってくるかもしれない。
それとも車に何かをされるかもしれない。


辞めよう。
次のところを探そう。

薄暗くなった事務所に一人、のり子はPCを開いた。
その明かりが外から見えないように
向きを調整しながらPCを覗き込んだ。





今回は
給料が高いのには訳がある(妄想の世界)
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。





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