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あいのかたち

長く付き合ってると記念日が流されちゃうことはあるけれど

流石に今日くらいは覚えてほしかったな。

私たちが付き合ってちょうど2年。

変わらないことも多いけれど

”愛の形”なんてものがあるとしたら

それが変わってしまったのかもしれない。


··········

「ねぇ、〇〇」

「ん?」

「今日晴れてるしどっか行こうよ!」

「んーそうだね」

なんて今日起きてから3回は繰り返した。

それだけ、
〇〇の心がここに在らずというか

何かを切り出そうとしてるみたいな……。


他に好きな人、できたのかな。

最近、お互い仕事が忙しくて

同棲してるのにあんまり話せてないから?

そんなことが頭の中をぐるぐると回って

今日4回目の外出のお誘いをしようと

口を開けた時のことだった。



「ねぇ、さくら」

「なにー?」

「俺たちさ……」

そう言って左手をとられ

どこから出したのか、綺麗な指輪を指にはめられる。

”僕と、結婚してくれませんか?”

その時の顔は、今まで出会った中で

1番心配そうで

1番照れくさそうで

それでいて1番かっこいい。

”はい、喜んで”

私は微笑む。

視界はちょっと涙で滲んでいるけれど

幸せで溢れているような、そんな気がした。

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