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元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 5話

「飛鳥さん、おはようございます」 朝6時。飛鳥さんをマンションまで迎えに上がる。 今日は朝からロケだ。 『ん、おはよう』 「今日は乃木坂のみなさんと共演ですね」 『ん』 「楽しみですね」 『ん』 飛鳥さん、返事、適当すぎませんか? ◇◇◇◇◇◇◇◇ ロケの現場に着いて、飛鳥さんを車から降ろす。 と、あっという間に飛鳥さんは乃木坂の人たちに囲まれる。 『『『飛鳥さんだ!!』』』 その中心にいる飛鳥さんは、 うるさいな、なんて言いながらも楽しそうに笑ってい

    • あのね。 ①

      「はい、罰ゲーム決定!!」 教室に響いたのは笑い声とそんなセリフ。 … 最悪すぎる。 放課後の謎のテンションから始まったゲームは、 いつの間にか”負けたら罰ゲーム”というルールが追加されていた。 最初の方は 変顔とか、モノマネとか、秘密を1つ言うみたいな普通のものだったのに 段々ヒートアップしていったそれは 最後には ”男女それぞれの最下位同士が1ヶ月間LINEをする”なんてものになっていた。 高校に入ってから男の子とはほとんど話していない私としては なん

      • 元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 4話

        「飛鳥さん、そろそろ出番です!」 『んー』 「収録終わったら食べたいもの、あります?」 『〇〇のおすすめがいいな〜』 「じゃあキノコのパスタでいいですか?」 『こら!』 「うそです、干し芋買っときますね」 『ありがと』 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 干し芋を買いにスーパーまで行ってきた帰り。 楽屋前で思わぬ人達に話しかけられた。 『あの…』 「はい」 『飛鳥さんのマネージャーの方ですか?』 「そうですけど…」 『私、山下美月です』 山下美月ってあの、乃木坂

        • 元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 3話

          『はやくして?』 「すみません」 『もう!』 「すみません…」 なんで俺こんなに怒られてるの? ····· 「あの…」 『なに?』 バラエティ収録の休憩中。 恐る恐る飛鳥さんに話しかけた。 「俺、なんかしちゃいました?」 『そんなこともわかんないの?』 「すみません」 『謝るんじゃなくて、自分で考えて!』 「はい…」 え?怒らせるようなことしたっけ 飛鳥さんの機嫌は 収録前の楽屋から悪かった。 でも、その前のテレビ局間の移動の時は普通だったはず

        元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 5話

          元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 2話

          『〇〇〜』 「はい!」 『アイス買ってきて!』 「はい!」 ····· 『〇〇〜』 「はい、そろそろTBSに移動になります」 『じゃあこれ持って!』 「了解です」 ····· 『〇〇〜』 「はい!」 『お腹空いた』 「お昼の時間ですもんね、ケータリングから何か持ってきましょうか?」 『うん。お肉が食べたい!』 「じゃあお弁当取ってきますね」 24歳。独身。彼女なし。 職業はマネージャーという名のただの雑用。 俺、なんでこんなことしてるんだろう

          元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 2話

          元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 1話

          「明日から来なくていいよ」 その一言が、俺の人生を180度変えるなんて その時は誰も知らなかった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 「お先に失礼します」 『お、〇〇くんお疲れ様』 コンビニを出ると 外は、もう夜の8時だというのに まだまだ暑かった。 24歳。独身。彼女なし。フリーター。 それが今、俺が持つ肩書きの全てである。 半年前。 苦労してようやく内定を掴んだ会社から わずか1年でクビに。 そしてその会社は今はもう無い。 今になって調べてみると、5年ほど前から か

          元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 1話

          あいのかたち

          長く付き合ってると記念日が流されちゃうことはあるけれど 流石に今日くらいは覚えてほしかったな。 私たちが付き合ってちょうど2年。 変わらないことも多いけれど ”愛の形”なんてものがあるとしたら それが変わってしまったのかもしれない。 ·········· 「ねぇ、〇〇」 「ん?」 「今日晴れてるしどっか行こうよ!」 「んーそうだね」 なんて今日起きてから3回は繰り返した。 それだけ、 〇〇の心がここに在らずというか 何かを切り出そうとしてるみたいな…

          あいのかたち

          私だけの秘密

          「あ、先輩、おはようございます!」 毎日、先輩に偶然を装って会って、している挨拶。 「おはよう」とか「こんにちは」とか ただの挨拶にしか聞こえないけれど 好きです、って気持ちを込めて毎日毎日。 ”好き”なんて 恥ずかしくて怖くて言えないから。 『遠藤さん、おはよう』 そう言って 先輩は今日も笑った。 … 「あーーー」 やっぱり今日も言えなかった ちょっと落ち込んで机にふせる。 「そんなに彼氏ほしい?」 「ううん、先輩と付き合いたいの」 その調子なら付

          私だけの秘密

          恋人ごっこ

          ※数字は暫定です。 読みやすく行間を調整し次第、文字のみに戻します。 1 「また、か……」 お昼休みの廊下。 ぽつりと零れた言葉は誰にも届かずに消えていった。 2 "ねぇ、私たち付き合ってるんだよね?" たった一言なのに、そう聞けないのはきっと私が弱いから。 3 だから 彼氏が女の子と近い距離で話していても、 私に見せないような笑顔で笑っていても、 張り裂けそうな思いに気付かないふりを決めこんだ。 4 「…○○くん!」 『どうしたの?』 彼は優し

          恋人ごっこ