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元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 4話

「飛鳥さん、そろそろ出番です!」

『んー』

「収録終わったら食べたいもの、あります?」

『〇〇のおすすめがいいな〜』

「じゃあキノコのパスタでいいですか?」

『こら!』

「うそです、干し芋買っときますね」

『ありがと』

◇◇◇◇◇◇◇◇

干し芋を買いにスーパーまで行ってきた帰り。

楽屋前で思わぬ人達に話しかけられた。

『あの…』

「はい」

『飛鳥さんのマネージャーの方ですか?』

「そうですけど…」

『私、山下美月です』

山下美月ってあの、乃木坂の山下さん?

「どうも…」

『〇〇さんのこと、飛鳥さんから聞いてます』

「え、どんなこと聞いてます?」

飛鳥さんのことだ。
俺のミスを人に言って笑ってそうだし

山下さん、俺の印象どんなんだろう…

『優しいし、気配り上手って言ってましたよ〜』

「ほんとですか?」

あの、飛鳥さんが俺を褒めてる…?

『信じられないって顔してますけど、ほんとですよ』

「そ、うなんですね」

『〇〇さんにやけてますね?』

「いや、まあ、嬉しくて…」

ちょいちょい飛鳥さんのこと怒らせちゃったりしてるけど
俺、飛鳥さんにちょっとは認められてたんだな

そう思うとすごく嬉しかった。

と、遠くから山下さんを呼ぶ声が聞こえる。

『ドラマの撮影の時間だ…今度は〇〇さんから見た飛鳥さんの話聞かせてください!』

「あ、ぜひ…?」

『それじゃあまた』

「撮影、頑張ってください」

『ありがとうございます』

にっこり笑った山下さんの顔は眩しかった。

·····

『つかれたー』

「干し芋食べます?」

『たべる』

干し芋の袋とウエットティッシュを渡すと
ウエットティッシュのみを受け取る飛鳥さん。

「開けてってことですね?」

『ん』

袋を開けてあげると無言で食べ始めたので
俺はさっき山下さんに聞いたことを飛鳥さんにちょっとだけ話してみることにした。

ただの興味本位で。

「さっき、山下さんに会ったんですけど」

『やま?』

「はい。それで飛鳥さんの話ちょっと聞いて」

『なに聞いたの?』

「それは秘密なんですけど」

『つまんな』

「俺もっと頑張りますね」

『どういうこと?』

「慢心しないで頑張ります」

『すごい張り切ってるね、〇〇』

飛鳥さんはちょっと不思議そうな顔をしながら笑ってた。

飛鳥さんが褒めてくれたこと、
本人に言ったら照れて二度と言ってくれなさそうだから
それはやめとこう。


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