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あのね。 ①

「はい、罰ゲーム決定!!」

教室に響いたのは笑い声とそんなセリフ。



最悪すぎる。

放課後の謎のテンションから始まったゲームは、

いつの間にか”負けたら罰ゲーム”というルールが追加されていた。

最初の方は
変顔とか、モノマネとか、秘密を1つ言うみたいな普通のものだったのに

段々ヒートアップしていったそれは
最後には

”男女それぞれの最下位同士が1ヶ月間LINEをする”なんてものになっていた。


高校に入ってから男の子とはほとんど話していない私としては

なんとしてでも回避しなければならない。


でも神様は意地悪で。

そう思えば思うほど順位は下がっていき
ゲームが終わる頃には最下位になっていた。


男子の最下位が二人いたために行われた本気のじゃんけん勝負により
決定した罰ゲームのパートナーは、〇〇くん。

クラスの中心的な存在で
優しくて女の子から人気な人だ。


彼は”最悪”とか”もう1回じゃんけんしよう”なんて言いながら

頭を抱えていて申し訳なくなる。

私より、もっと可愛い子と話したいよね。


「LINEって毎日1往復でもいいの?」

「そうそう」

「たまにチェックするからちゃんとやれよー」

なんて彼とその友達たちやり取りがあって

私はそっとため息をついた。
なんとか今からでも中止できないかな…


「遠藤さん」

「…は、はい!」

「俺のLINE、持ってないよね」

「あ、持ってないです」

「じゃあこれで追加できる?」

QRコードで追加して、
”よろしくね”なんて当たり障りのない文章を送ると

可愛いひよこのスタンプがおくられてきた。

ふふ、かわいい。


そっと口を緩ませながら彼を盗み見ると

いたずらっ子のような顔の彼と目が合って

ちょっとだけドキッとした。

【罰ゲーム終了まで……残り30日】


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