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元ツンデレアイドルのマネージャーは苦労がたえない 5話

「飛鳥さん、おはようございます」

朝6時。飛鳥さんをマンションまで迎えに上がる。
今日は朝からロケだ。

『ん、おはよう』

「今日は乃木坂のみなさんと共演ですね」

『ん』

「楽しみですね」

『ん』

飛鳥さん、返事、適当すぎませんか?


◇◇◇◇◇◇◇◇


ロケの現場に着いて、飛鳥さんを車から降ろす。

と、あっという間に飛鳥さんは乃木坂の人たちに囲まれる。

『『『飛鳥さんだ!!』』』

その中心にいる飛鳥さんは、
うるさいな、なんて言いながらも楽しそうに笑っている。

それを遠目に見守っていると、急に話しかけられた。


『あれ、〇〇さんですか?』

「えっと…久保さん?」

『はい。〇〇さんのこと、山から聞きました!』

「あぁ」

山下さん絶対この間のこと、おもしろおかしく伝えてるでしょ

どんなネタにされているんだろう…

なんて思ってちょっとだけ憂うつな気分になっていると、その原因となる人に話しかけれた。


『あ〜〇〇さんだ!』

「わ、山下さん、お疲れ様です」

”またからかいに来たと思いました?”なんてにやにやしながら山下さんは話しかけてくる。

『でも残念ながら今は久保を呼びに来ただけでーす』

そう言って山下さんは久保さんを連れて瞬く間に去って行った。

そして俺は、久保さんとか乃木坂のメンバーにどんな印象持たれてるのか、ふと心配になった。


·····


ロケが始まり、特にやることもなかった俺は車に戻ってぼんやりしていると
いつの間にか休憩になっていたらしい。

飛鳥さんに話しかけられた。


『〇〇!』

「な、なんでしょう飛鳥さん」

『やまと本当に仲良いんだね』

「え、全然ですよ!2回目です話したの」

『ふーん』

「信じてくれないんですか?俺のこと」

『信じてるけど、信じてない』

「どっちですかそれ」

2人で目を見合わせて、同時に吹き出す。
なんか今幸せかも。

『〇〇』

「なんですか飛鳥さん」

『やっぱなんでもない』

「お腹すきました?」

『ううん』

「何かあったらいつでも言ってくださいね」

『ありがと』


だんだん飛鳥さんのテンポがわかってきて
飛鳥さんも多分、俺の扱い方?がわかってきて

なんだか、ようやく
本当の意味で飛鳥さんのマネージャーになれたような
そんな気がした。ちょっと烏滸がましいけれども。

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