ぼくの心に また虫が湧いた。ぼくの心は透明で小さくてヒンヤリとしている。外側はゴムみたいに強い弾力がある。そんなに おいしそうには見えないし、特別 魅力的な匂いもしないはずなんだけど。

例えばキャベツ。バリバリバリバリ虫に食べられているのに、なぜあんなにうれしそうなの?なぜあんなに優しいの?ぼくは胸が痛い。痛いから、うれしくなんかない。虫は ぼくの胸のあちこちをガジガジかじって小さな穴をあけていくんだよ。ぼくは、ちっともうれしくなんかないし優しい気持ちになんて絶対になれない。虫なんか早く溶けて 早くいなくなれって、いつも思うんだ。

だってぼくは、穴がふさがるまで ずっと痛いんだもの。

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