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The Long Day Is Over


抱え込んだことが多すぎた
夜突然眠れなくなって夜を徘徊するようになったのはいつからのことだろう。寂しさで進んだ行き着く先はいつだって大抵良くはない。取捨選択を常に迫られて、選んだほうの正解がわからないからモヤモヤして不安になって信じる事ができなくてまた夜が明ける。

疲れていたんだと思う。そういう日々に僕達はヒドく疲弊していたのだと思う。

僕はそういう時に良く音楽を聴いた。なるべく自分が知らないアーティストの、そしてできるだけ日本語歌詞でないものを。理解できる言語だと頭の中に沢山の言葉がはいってきて本筋を見失ってしまいそうになるから。
Norah jonesのアルバム 『Come Away With Me』の13曲目『The Long Day Is Over』という曲がある。この曲が個人的にはお気に入りで、勿論英語がわかるわけではないので最初は流し聞きをしてる感じだったのだけれどいつしかこの曲ばかりをリピートしていた。

https://youtu.be/39qhTfHZq7g

物事から解き放たれてソファにゆったりともたれかかったように、疲弊した中での小さな安住感、緩やかな開放感。イントロのピアノから窓から差し込む夕暮れから青に変わる夜の空模様が頭に浮かんで初めて歌詞の意味を知りたくなって調べた。

(アルバム"Come Away With Me"より)

Feeling tired
By the fire
The long day is over
疲れきって
暖炉の前
長い一日が終わった

The wind is gone
Asleep at dawn
The embers burn on
風が止み
眠りにつく夜明け
残り火は燃え続ける

With no reprise
The sun will rise
The long day is over
リプライズもなく
朝日は昇る
長い一日が終わった


僕等は疲れていたんだ、繰り返される日々に。だからこそ繰り返しの日々に一つの終わりを見いだしたかったのだと思う。
深くこの曲に感銘を受けた。
曲としては2:45の短さではあるが、劇的にではない、緩やかに緩やかにではあるが救われた。

僕は同じように「長い1日の終わり」に着目して、お金だとか儲けだとか、そういうのは正直どうでも良くて、「長い1日」の「終わり」に相応しい音楽を作りたかった、そういった空間を作りたかった。自分がいままでやってきた事、人、は使わずに新しい環境でまたスタートを切りたかった。

そうして僕はEarlyBeliversのシュウシさんに企画を持ち込んだのだった。ここまでがこのイベントをやり始めた経緯だ。たしか6月の夏の匂いが少し香り始めた頃だった。

快くシュウシさんにお力を借りることもでき受け入れてもらい、バックアップのもと始動した。

自分なりにいままでやってきた「世界が色付く手前」とはまた違う形をとりたかった為、以前からQueblick、そしてイベンター会(イベンターではないけどちゃっかり出席してるイベンター同士が集まる飲み会)で交流のあったつぁるちゃんをサポートスタッフとしてそこからキャスト集めに踏み切った。

寺地は地元の後輩でもある、1年前にひょっこりでてきたMESSAGE FROM POSTMANというバンドのフロントマンで、近年稀に見る攻めのハイペースな活動を県内外問わずしている期待の新人である、ちょっとナルシストなところとかは嫌いじゃない。

迫水秀樹さんは世界90ヶ国をまわり現在国内47都道府県を旅して歌だけで生活をしている旅するうたうたいで、熊本でのライブの時にご一緒させてもらってその日のうちにお誘いさせてもらった。

そうして夏を越え初秋の匂いがする9月になった。

EarlyBeliversのまずこの雰囲気がすごく好きだ。カルチャーの発信地とした知る人ぞ知る感じ(シュウシさんが手がけるアパレルブランド、イベント、DJイベントなどは新しいカルチャーを発信できる場所となっていってる気がする)
入り口全体がガラス張りになっていてお洒落な店内も見える。いつぞや漫画でみたBECKに登場するシアトル近郊のライブハウスって勝手なイメージがある。

オープン時間、この時にはじめて始まってしまうという一抹の不安を感じた。このまま1人もこなかったらこれだけの人を巻き込んで協力させてしまったのにみんなの顔に泥を塗るような出来事が起きるんじゃないか。慣れていたイベント企画だとは思っていたが急にソワソワし始めてしまった。

そんなことを考えている横目でもっとソワソワしているこの日始めて弾き語りをする寺地くんをみたらいつの間にか冷静になってた。

ライブがスタートした。
この日の一番手は寺地。

中々しっかりしたもんだった。そもそも自分の土俵ではない場所に(しかも複数から単体になる場所で)自分から飛び込んでくるだけでも彼の熱意を感じるし、久留米の少数精鋭と言われるバンド界隈の中を生きてきただけにやはりライブには説得力があるなと個人的には思った。突発で起用できてよかった。


迫水秀樹さんは本当に圧巻だった
一瞬足りとも退屈に感じないほどにあっという間に40分という持ち時間の演奏を終えていた。
この人の音楽が好きだ。自分にとってちょっとしたカルチャーショックだ。エンターテイナーであり表現者。こんな宝物みたいに素敵な音楽を誰かと共有したくてたまらなかった、それを実現できて本当によかった、ジワリとくる充実感がこの企画の手ごたえを少しだけ感じた。
迫水さんのライブの時に興奮しすぎて写真とかは全然撮ってないのでカレーを食べてるところをここに貼っておきます。

こんなはじまりの日を締めさせていただくのはやけに身が引き締まった。セットリストにはなかった曲を頭から演奏してスタートした

1.ゆらゆら(仮)←new
2.スーパーマン
3.新曲未題←new
4.ナイショ話
5.ハナマル
6.幸福な別れの夜に
7.友よ
8.rainy day

この日は絶対にrainy dayで締めたかった。長い1日の終わりをとても重たいものや重圧感のある終わり方ではなく僕が夜中聴いたThe Long Day Is Overの長い1日の終わりであって欲しかったから。

季節は夏から秋に変わった、今回のイベントははじめてのことだらけの心機一転ではあったけどおかげですごく密度のある日にできたのではないだろうか。

やるかやらないか、取捨選択の人生で挑めば挑む程に重たくのしかかってくる重圧に耐えないといけない日々になるけど。こんな緩やかな日をまたやりたい。

あの日に力を貸してくれた人、信じて足を運んでくれた人本当にありがとう。
また是非遊びにきてください。

PS.迫水さんの音源がズバ抜けて良い。

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