目の前にいた人

目の前にいるのが人間で、同じように心臓を動かしながら生きてきた生身の人間でその人には心があって生きてきた物語があるという事に気づいてからというもの、今までのおこないがすごく恥ずかしく思えた。

気持ちの押し付けで、そこに誰がいたのかすっかり忘れていたんだと思う。なんだ自分結構我儘だな、一人前な大人の顔して、誰かに自分の地に足ついてない意見を押し付けて、本当は漠然とした不安と寂しさに飲み込まれないよう必死にジタバタしてる様がどれだけ他人にとっては傍迷惑な話だっただろうか。


守りたいだとか、強くなりたいだとか、そういう意識がより一層増す。理想では好きな人達は救いようがない、あまりにも無力な僕で。音楽では大事な人達を守れないなんて痛感した。いまさらだよ、いまさら。


ただ、もうそんな不確かなモノに縋ってあるくくらいなら限りなく完璧に近づければせめて自分が望む場所にはいることができるだろうと、それがまた難しくて。

自分の望んだ世界に本当はいて欲しかった人がいない事に気づいたのは失った後だった。
なんなら手放したのは僕自身だった。理想だったものを現実に変えてやろうとした結果がこれなら、おそらく選択は間違いだったんだろうなって思った。


ただ、もう振り返る事もしないし今更戻る事もしない。ここまで我儘したのなら、次に出会う事は正直見込みが薄い、人はそんなに思い続けれない生き物だからいつかちゃんと時間が解決してしまって傍迷惑をかけた人々ともう戻る事のない心の距離になった頃、なんとなく話せる時が来るんだとおもう。なにかの本で救済の力を手にしようと身に余る力を欲していた人がいつのまにか悪魔と契約していて、理想とはあまりにもかけ離れた存在となり怪物となってしまう話と少し似てる。


ただまぎれもなく選択したのは自分なわけだから、その間違った選択一生忘れないからこのまま進む事を許してほしいと思った、僕は灰色の夜の生き物。

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