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追っている

SSW(シンガーソングライター)は唄を作ることが仕事だ。そこでいうと僕は唄を全然作ってない。

腹の底煮えたぎるような事もある、途方も無い悲しみもある、愛されたいという自己満足な欲もある。

ただそれらの感情に縋っていない(悪い意味で)
『大人の対応』みたいな、こんなもんだよなって今更心をどうこうされたくなくて落とし所を見つけてそれでいて安心したくてしかたない。根本的解決にいたらないのにその場に立ち止まっても冷風にあたることを避けている。

唄を沢山作らないといけない。SSWは唄を作ることが仕事だから。血反吐吐いても作らないといけない。

それなのに一行にペンは進まない、ノートのページの次に行けない。メモの最終更新日時は年越し前の日付。

最近やっていることは本を読むことしかしていない。本の世界だけが叶わなかった世界線の願いを成仏させてくれる。いや、正確に言うと成仏させたがっている。

いまでも呑み込むことができない事がある。


ギターの師匠から教わった言いつけを守っている、クリックに合わせてストローク。運指を一定のリズムで動かす。こんな事なんになるのだろう。戦友はすでにこの技能はとっくの昔習得して創作活動に打ち込んでいると言うのに馬鹿みたいに1人の部屋でチッチッチと音がなる機械と向き合っている。何故基礎練を今更しているんだろう、何故僕はちゃんとここで向き合わないと先に進めことができないんだろう。同時進行的に物事を進める事ができない。ただ、望んでその門をくぐった。旅路の果ての結論は気持ちと手前の技術が一致しないところで、チッチッチと音がなる機械とにらめっこをしている。戦友は今また先に進んでいる。苛立つ、けれどいち早く習得しなくてはならない。コツコツやっている事を書くのは甘え、なんの意味にもならない。けれど心が砕けそう、いつになったら唄を作れるのかわからない恐怖に飲み込まれそう。SSWは唄を作らないといけない。

本の中にある物語に心を動かされている、前途したように叶わなかった願い、欲しかったものを目にしてその度にあの時の正解を考える。馬鹿らしくなってやめる。自然と見えるようになったのか、必死になって探しているのかわからない。ただ突き動かされている。

青春文学は誰のためにあるのだろう、こども?思春期の彼、彼女等?無くしたものを見つけたい大人のため?歳を重ねていくにつれ見えるものがまるで違う、僕等は枯らしてしまった花をもとに戻そうと必死になっているのか。もとに戻らないことに安心と似た悲しみと救いを感じている自分がいる。インプットの為ではない、もっと原始的、物語に自分を探している。

友達が大失恋した、忘れろよって言った。もっと優しい言葉をかけてと言われた。根本的解決は痛みを伴っても忘れるようにならなきゃいけない。僕はそうおもっている、好きな人の事を忘れたいなら連絡先からsnsまで見れないようにしないと、いつか寂しさの隙間を縫うように襲ってくる夜僕等を狂わせてしまうから。僕が思っていること、これが最大限の優しさだった。そのままでいいなんて言わない、いい訳ない、苦しさを和らげることができても根っこから除去できない。でもわかっている、そう簡単に忘れるなんてできない。わかっているけど慰めの言葉なんて持ち合わせていなかった。僕は弱い隣人だったただの。

認めたくない事、僕等が匂いだったり、似た雰囲気をもった人と会った時だったり、仕草だったり、笑い皺の事だったり、いちいちそういった些細なことでフラッシュバックしてパニックになってしまいそうな瞬間があるのに、相手はそんな事もなく今日も違う誰かを想っていること。認めたくないけどこれがありのままの話だ、もう何度も経験してきた。期待するだけ無駄骨だった。それらの終着点は何処にあるのだろう。きっと結婚しても、歳を重ねてもそれらは呪いでいつまでも付き纏ってくる。今更どうなりたいとかもないのに容赦なく心臓を軋ませる。貴方の見上げた夜空の一番星になれたのなら、なんて思い出すたびに実感させられるのだろう。

それを直視されるのはとても残酷な事だな、自分の速度で傷つかないといけないのかな。僕は言葉を持ち合わせていなかったように狼狽えた。


SSWだからじゃない、僕は救われたい、抗いたい、だから唄をつくりたい。血反吐を吐くなんて言わないから、心よもっと素直に涙を流してほしい。教えてよ。


ミュージックにしないといけない、ただの日記の読み上げに成り果てるミュージックを作りたくない。もっと探さなきゃ、貪欲なまでに物語を追っている。今夜も気がつけば3時をまわっていた。

tuna

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