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着るの!?サーヴァントを!?『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』(アニメ)

 Fateシリーズのアニメは基本Netflixで視聴しているのだが、優秀なAIは御主人様であるこの俺様へのオススメを、過去の視聴履歴を参照してピックアップしてくる。そのほとんどが人がたくさん死ぬ映画だったり局部がモロに映る下ネタコメディだったりするのだが、その中に一際輝く女児向けアニメ…のフリをしたFateが紛れ込んでいた。ご飯食べるアニメの次は魔法少女モノ、いやもう驚くまいと思いつつ、流石に気恥ずかしい。何度も見て見ぬフリしながら、でもイリヤって書いてあるしなぁ、と思ってたところ、素晴らしい考察noteを書いておられる逸見さんからプッシュされたので、寝る前にコッソリ観ました。

幼女に手を出してはならない(戒め)
冬木市の穂群原学園小等部に通う女の子イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、ちょっと名前が長い普通の女の子。そんな彼女の元に現れた喋るカレイドステッキ(魔法少女の相棒なので喋るのは常識)のルビーによって強制的に契約を結ばれ、魔法少女プリズマイリヤに変身。ルビーの前のご主人様であった遠坂凛とも出会い、イリヤは冬木に眠る強力な魔力を秘めたクラスカードの回収の手伝いをすることになる。
そんな中、凛のライバルである魔術師ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトが、もう一つのカレイドステッキ・サファイアと契約した謎の少女・美遊を引き連れて現れる。カードから現界した英霊との闘いの末、二人は友情を深めていくのだが、黒いセイバーの登場により、全ては絶望に染まる―。

 アニメの原作は、ひろやまひろし氏による同名マンガ。つまり、公式スピンアウトだ。『stay night』とは異なる未来に派生した世界を舞台に、おそらくアインツベルンの聖杯だとかホムンクルスとは関係ない(?)、ごく普通の小学生として生活するイリヤを主人公とした、極めて真っ当な魔法少女アニメだ。意思を持った魔法ステッキに凝りに凝った変身バンクといったジャンルのお約束を踏まえつつ、そこにFateの要素をブレンドして2で割らなかった、みたいな味わい。

 本作の特徴は、イリヤと美遊が回収を担うクラスカード。この札には英霊の力が宿っており、カードを回収するためには現実世界とは異なる鏡面世界にジャンプし、カードから産み落とされた英霊を倒さなくてはならない。本作に登場するのは、主に『stay night』のサーヴァントたち(1名例外アリ)。可愛らしい魔法少女モノに見せかけてガチのサーヴァントが襲い掛かってくるので、結構血生臭いことになる。コワイ!

 また、このクラスカードは秘められた英霊の力を引き出すことができ、例えばランサーのカードなら宝具「ゲイ・ボルク」を具現化して使用することができる。しかし、このカードの真価は己を英霊化する能力。自身の体を媒体に英霊の力を具現化させることで、イリヤや美遊は英霊そのものになることができる。その描写たるや凄まじく、アーチャーの衣装を着たイリヤセイバーの鎧を着た美遊が、超絶作画で近接戦闘交わしたり(魔法とか一切使わない)、血ヘドを吐きながらエクスカリバーする。小柄な小学生女児にえらくクオリティの高いコスプレ衣装着せてるみたいな画は、一見の価値アリのインパクト。

 倒した敵の能力を自分に付与したり、集めることで使えるフォームも増えるというクラスカード、まるで平成ライダーのようで、英霊や宝具といった『Fate』の要素と相性がいい。個人的には『剣』『オーズ』を彷彿とさせ、作中に登場しなかったキャスターフォームやアサシンフォームなんてものを想像してしまう。疑似的にサーヴァントになることで、『stay night』では出来なかった夢の対決も可能になる。スピンアウトならではのifが期待できるクラスカードの要素を、もっと観ていたくなってしまった。

 そんなマジカル世界を生きるキャラクターも、『Fate』正史とは異なる歴史を辿ってはいるものの、おなじみのキャラクターが名を連ねる。実家のような安心感を醸し出す我らが遠坂凛と、まさかのレギュラー昇格を果たしたルヴィアさん(UBWの最終回に登場した時計塔のあの子!)の漫才的なやり取りを挟みつつ、新キャラクター美遊の謎多き背景は明かされないまま。イリヤ宅には無表情メイドことセラとリズが、そして士郎も登場し、他作品鑑賞を前提とした説明の省略に、大ヒットシリーズの強さを感じずにはいられない。ウェイバーくんことエルメロイⅡ世も登場しますが、ということはケイネス先生死んでますねこれは…。雁夜おじさんと桜ちゃんの安否が気になります。

 全10話、気軽に観られる話数で進行するスピンアウトは、王道の魔法少女モノでありながら、サーヴァントの能力を取り込み攻略していくゲーム的な要素が面白い。だからこそ、もっとサーヴァントバトルが観たい!と思わずにはいられないのだが、ラストの展開を観るにシーズン2以降はどのようになるのか。何はともあれ萌えなかったとしても燃えるので、タイトルとキャラクターデザインで食わず嫌いするのは勿体ないかもしれません。


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