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真鱗衣(まりえ)ちゃん

今回は表題どおり、マコト・ウロコ・コロモと書いて真鱗衣、Archscaleと書いてアークスケイルと読む、『海皇再起』のメイン商材(予定)の誕生について書きます。
以前書いたとおり、当初は「アトランティスに隠されていた地上侵攻用のパワータイプ、重鱗衣(ヘヴィースケイル)」として構想されていたものの、第2案で海将軍が敵から主役に変更されたため、こちらも「ポセイドンの血を浴びたことで変化した鱗衣」に変更されました。
この時、聖衣と同じように神鱗衣でゴッドスケイル、としても良かったんでしょう。素直に考えるとそうなんですが…これは何と申しましょう、一ファンゆえの肝の小ささとしか言いようがないのですが、要するにビビったのです。神とつく鎧は神衣(カムイ)、すなわちオリンポス十二神がまとう神聖な存在です。過去、青銅の神聖衣は車田プロ、黄金の神聖衣はバンダイという「本家&本職」から生み出されているわけです。自分なんかのデザインがそこに並ぶのはちょっと…と尻込みしたのはお許し願いたい。というわけで、神の血によって進化するのではなく、昔の姿を取り戻す、という逆の発想をひねり出したのでした。
それはそれで、「こっちが本来の姿だ!」という非常におこがましい話にはなってしまうんですが、鎧という実用品において、別に古いものやゴージャスなものが偉いワケじゃないですからね。修復コストやら何やら考えて最適化された姿が原作の鱗衣なのであろう、ということです。
まあ、星矢たちにわりとカジュアルに粉砕されていたのを見ると、強度をちょっと犠牲にしすぎたんじゃないかな?という気もしますが…。

といったところで、そろそろデザインの話に移りますと…突然ですが皆さん、鱗衣、お好きでしょうか。
私は率直に申しまして、贔屓目じゃなく、昔から黄金聖衣より好きでした。海の鎧らしくウロコやヒレのイメージを共通して取り入れながら、ラインとシルエットの差別化によってどれも素晴らしい個性が与えられているし、パーツの配置や分割といった細部の処理も、黄金12体のデザインを経て実に洗練されている。
ポセイドンマスクとショルダーの圧倒的貫禄、セイレーンの中性的なシルエットや独特の翼、クラーケンの全身定規で描きたくなる直線群、シードラゴンの撫で肩、スキュラの左右非対称ボディ…カッコいいところを挙げればキリがありません。
星矢世界におけるゴージャスさのスタンダードを打ち立てた黄金聖衣とも、禍々しい方向にインフレを起こしている冥衣とも違う、すごくオシャレなブランドだと思います。
…こんなもの、このままが一番に決まってるよ! と何度思ったかしれませんが、罰当たりにもこれをいじってパワーアップさせると決めたのだから、やるしかないのでした。変えていいところはどこか、変えちゃいけないところはどこか。いじっては戻し、いじっては戻しの日々です。
そんな中、カラーリングの基本コンセプトだけは比較的すぐ決まりました。セイレーンを見ればお分かりのとおり、オレンジ色の鱗衣に差し色でブルーを足す、というものです。全体をブルーにするとか、黄金神聖衣のように金色を明るくするという方向も検討はしたものの、やはりちょっとインパクトに欠けるな、と。とはいえ、原作に登場する鎧はどれも基本的に単色で塗られているので、オレンジとブルーという補色同士を派手にぶつけるカラーリングには批判が出るだろうな~という危惧があったのも事実です。しかしそこはもう、宇宙一カッコいい怪獣がオレンジとブルーに塗られているこの世界を信じろ、と己に言い聞かせて突破しました。

https://p-bandai.jp/item/item-1000142446/

立体化を視野に入れての構想としては、ツナ缶ちゃん実は『聖闘士星矢Ω』の光牙の新生ペガサスのマイスが結構好きでして、あのクリアブルーがはめこんである感じ、もう一度できないかな?というものがありました。

バンダイさんとの初回打ち合わせでもそのようにご提案したところ、はめこみ方式は当然ながらパーツ数が増えるし、マイスに求められる高級感をクリアパーツで出すのはそれなりに難しい、塗装で行けるところは塗装がよいのでは、等のご意見を頂き、たいへん納得したのを覚えています。
先の魂ネイションに参考展示されたセイレーンでは、ボディの青い宝石パーツ(正直つけすぎた)は塗装、翼の白い部分にはクリア感のある新素材を採用してくださったということで、なるほど適材適所!と感動しました。

真鱗衣誕生の経緯、というとこんなところになるでしょうか。
各々のデザインについてなどは、もうちょっと本編で出揃ったあたりでまとめたいと思っております。ではまた~。


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