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50の手習い

というほどのものではないが、去年の秋からまたイタリア語の勉強を復活させた。勉強というか、ラジオを聞いたりテレビを見たり。そんな程度である。

初めてヨーロッパを訪れたのは2004年(もう20年も前!!)、アテネオリンピックの年だった。その時はストックホルム~オランダ~ベルギーと贅沢に回ったが、それまでアジアを中心に巡ってきた私には、初めて旅に重厚感というものを感じたのだった。以降、フィンランド、エストニア、スペイン、フランスなどを旅したが、なぜかイタリアには縁がなく、それほど行きたいとも思わずチャンスもなかった。イタリア好きの友人は「イタリアより先にフランスに行くなんて…」と両手を広げて天を仰いで私に言っていたものだ。

それから12年経った2016年、初めてイタリアへ行った。短い期間で名所をぐるっと回ろうと思って計画を立てていたが、当時の先輩が大のイタリア好きで「そんなもったいないことはダメ!」と語気を強めて言った。結局、その先輩の強い勧めもあり、トスカーナ地方だけを巡るプランに変更し、フィレンツェを中心に約1週間滞在した。

初めてのイタリア行きに当たって、少しだけイタリア語を勉強してみたところ、英語と似ているところもあり比較的覚えやすいと思った。また、何とも言えないイントネーションやRの巻き舌など、リピートしていると気分が楽しくなったりしてイタリア人が陽気と言われるのは言葉の力もあるように思った。

そして空港まで迎えに来てくれたドライバーの方に、イタリア語で挨拶してみたらこちらの予想をはるかに超えて喜んでくれたのである。もちろん、これもイタリア流なのだろうが私もかなり嬉しく思った。また、ホテルで自分の部屋番号を伝えるときに「tre zero nove」と言ってみたら「Si、309ですね」と日本語で答えながらニコッと笑った顔がとても印象的だった(ちなみに男性)。

そんなこんな初めてのイタリアで言葉による楽しい思い出ができ、もっと話せるようになりたいと思って帰国後もちょっとずつ勉強を続けていた。しかし、コロナがあってイタリアはおろか旅そのものも諦めなければならない状況になり(2018年にローマには行ったが)。。。イタリア語の熱も自然と引いてしまってパッタリ止めてしまったのだった。

コロナが落ち着き通勤が復活し、通勤時間も復活した。せっかくなら語学でもと思って、昔聞いていたラジオ英会話を聞き始めたのだがどうも面白くない。試しにイタリア語に変えてみたら、あのイントネーションと巻き舌の音を聞いた途端に懐かしさがこみあげてきた。旅の思い出も、勉強した日々も、実際に使ってみたときの喜びも。。

そこから、旅の予定はないけれどチマチマ、チマチマ、勉強を続けている。当時はさっぱり分からなかった文法も少し理解が進んだ(と思っている)。簡単な単語であれば、英語より先にイタリア語が出てくる(これは単純に英語を忘れているだけのことかも)。

夢は60歳になったらイタリアの片田舎でアグリツーリズムに参加し、ゆったりとした時間を自然とともに過ごすことである。60歳という年齢に特に意味はないが、なんとなく区切りも良く、その後の人生を改めて考えてもよい時期かなと思ったからである。もちろんその前に、やり残したイタリアの旅に出たいと思っている。これはまた別の機会に。

Forza!

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