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ウェーダーのゴム底に後付けでピンを打ち込む

 例の流行り病に関する狂乱も大分おさまってきたようで、私の職場でもマスクの着用は自由となっている。今のところそれで感染が拡大したということも無いようで、今後は元の生活に戻ってゆくのだろう。やれやれである。
 あのまま常時マスク着用が当たり前の世界になっていたらと思うとそら恐ろしい。ドゥーガル・ディクソンの「マンアフターマン」には、脳とチ〇チ〇以外の肉体が退化・退縮し、これを補うために人工的なカプセルのようなものの中で生活する未来の人類が登場するが、もしかしたらこういう未来もあったのかもしれないと思ってなかなか気味が悪かった。マスクつけっぱなしにすれば、菌・ウイルスに晒される機会が減って免疫系の機能がどんどん退化していくだろうから、決して大袈裟な話ではないだろう。生まれてからずっと無菌空間で育てた実験用のネズミというのがいて、ひとたび外に放り出すと普通のネズミでは病気にならないようなその辺の菌にもたちまち負けてしまう。ここ2-3年で生まれた人間の子供がそうでないといいが。

 さて、関東・関西の人口が集中しているあたりではここ最近雨が降り続いているようで、時に災害級になっているようではあったが、こちら東北はというとまとまった雨はもう非常に稀である。月に1回あるかないかというくらい、降ってもほとんどがポツポツ程度で、しかもそれも直ぐに止む程度。冬は寒い分、夏は気温も湿度も低くて非常に過ごしやすい印象。

 山の上の方にはまだまだ雪が残っているので、今ぐらい(6月末)になっても水温はかなり低く、手を突っ込んで30秒もすれば痺れるほどに冷たい。だからこのあたりでは結構な真夏にでもならない限り長い間ヤマメ・イワナの反応が良く、5月、6月中の釣果もまあまあといった感じであった。

早い流れの中から出てきたメタボ気味のヤマメ
イワナも元気

 釣れるのはいいが、どうしても水が冷たいのでこの時期に川に入るのであればやはりウェーダーが要る。もちろん渓流では「遠投・隠密」が最重要のテクニックだと思うので、へっぽこアングラーの私もなるべく川には入らず岸から投げることを心がけてはいる。とはいえ流れの感じなんかによっては反対側の岸に行きたい、ということも多々あるのだ。橋があれば渡ればいいのだけれど、小渓流だと橋がない代わりに膝下程度の水深という区間も結構あって、そういう時はやはり川を渡るに限る。少しは立ち込まないとポイントが狙えない場合もあるし、そういう訳でウェーダーはいつも履いている。

 ただ、出勤前後の短い時間に釣りをすることが多いので、一般的な胴長風の胸まであるウェーダー(チェストハイウェーダー)は着脱・収納がやや面倒。

チェストハイウェーダー

 というわけで股下までのタイプ(ヒップウェーダー)を愛用。このタイプは簡単着脱でコンパクトだし暑くならない。チェストハイウェーダーだと20℃くらいの気温で結構厳しくなってくるが、ヒップウェーダーなら割と涼しく快適である。膝が突っ張らず歩きやすいのも大変良い。また「私は中途半端なウェーダーを着ている」という意識からか、結果的に深く立ちこまないようになり、魚を警戒させづらい気もしている。これがチェストハイウェーダーだと「どこまでもいけるぜ」感があって、むやみにずんずんと川に入ってしまう。結果的にヒップウェーダーの方が安全に釣りが出来るし、もしドボンしてしまってもすぐに脱げるというメリットもある。

ヒップウェーダー

 そういうわけで渓流釣りにはヒップウェーダーを愛用している。その中でも、プロックスの自立ヒップウェーダーが特におすすめである。

プロックスの自立ヒップウェーダー

 これはけっこう優れもので、普通のヒップウェーダーは腰のベルトにヒモを付けて落ちてこないようにしなければならないのだが、自立ヒップウェーダーは適度な硬さがあって、その名の通り履けば「自立」するので手間がかからない。一方で脱げば折りたためる程度の実にちょうどいい硬さなので、ヒップウェーダーの利点でもある機動性・快適性は保たれている。藪漕ぎしてもそうそう破れない程度には分厚くて丈夫だし、裏地もしっかり貼ってあって汗でベタベタしづらい。おまけに、履き口あたりにハトメが打ってあって、ここにヒモを通しておけば吊り下げて乾燥も出来る。これで実売6500円程度とお安いので、ここ2年程は非常に重宝しているわけなのだ。色こそちょっとダサいものの、よくある黒のウェーダーは虫が寄ってきやすいと感じるので、むしろ渓流には向いているように思う。

草色。。。

 で、自立ヒップウェーダーには2種類のラインナップがあって、靴底がラジアル(ゴム底)とフェルトのものがある。滑らないことを重視するならフェルトソール一択ではあるが、如何せんフェルトはすぐに摩耗して硬くツルツルになり、こうなるとむしろゴム底よりも滑るようになってしまう。そうなる前に張り替えたり買い替えればいいんじゃないのという話なんだけど、前に15000円くらいで買ったフェルトソールのウェーダーは、ピン付きにも関わらず1年も持たなかったので、これはあんまり経済的じゃないんですな。草や枯葉に覆われた林道を長距離歩くことも多く、フェルトはやっぱりちょっとなー、ということでラジアルソールを購入。思った通りの使い心地で全然擦り減らないし、山道を歩いても快適なので大変満足である。

 ところがやっぱり分かってはいたけれど、苔や藻がついて濡れた岩とかが相手になってくるとなかなか厳しいものがある。気を付けていてもフトした拍子にしっかり滑ってしまう。バランスを崩して転んでしまい、「ひー、ひー寒い」なんて言いながら川岸に退散、急いでウェーダーを脱いで靴下絞る、なんてこともシーズンに2・3度はあった。前述の通り、そんなに水深のあるところではないので危険は感じないのだが、いったん水に濡れてしまうと冷たいし、ビタビタ貼り付いて不快だし、で集中できなくなり、結果あんまり釣れないという状況になる。フェルト程とは言わないが、もう少しだけ滑らなくなるといいなあと思っていたら、後付けのピンなんてものがAmazonに売っていた。

 靴底にドライバーでネジ止めするだけなので、簡単に装着できそうなのが良い。12本で占めて700円ほどの「失敗してもいいや価格」というのもあってウェーダー本体を買い替えたタイミングで併せて購入。

 これを、ゴム底を押し潰しながらグリグリとねじ込んでやる。型から射出するときのものだろうか、都合よく靴底に穴が開いていたので、ここにねじ込むとスンナリと入っていった。

右足のかかと部分にピンを埋め込んだところ。元からこういう製品にも見える。

 つま先の方はゴムが薄くてネジ込めなかったので、カカトに集中して取り付けた。ブラックのピンが見た感じはなかなかカッコいい。これで船に乗るときは履けなくなってしまったが、そっちは普通の長靴で事足りるので問題なし。

 これでうまく効いてくれるといいなあ。

(追記)結構いい感じに水中の岩に噛んでくれるので、過信はできないけどかなりマシになった。付けて正解。

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