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【娘。歴史】追加メンバー加入からメンバー脱退まで

 『ASAYAN』のシャ乱Q 女性ロックボーカリストオーディションをきっかけに結成され、デビューの条件である手売り5万枚を見事クリア。「モーニングコーヒー」でメジャーデビューを果たし、2ndシングルのリリースに向けて動き始めていたが、前代未聞の展開が待ち受けていた。

突然のメンバー増員

 1998年3月22日放送分で、つんくの口から2ndシングルのリリースとメンバーを一気に倍の人数に増やすことが発表された。この大胆すぎる戦略は前回のコラムにも記した通り、『ASAYAN』からのフォローがなくならないようにと仕掛けたもので、既存グループに増員することが自体が珍しい時代だった。

 メンバーは所属事務所から事前に報告を受けたわけではなく、番組収録時のVTRで初めて知ることになり、リーダーの中澤裕子は困惑しながらも「モーニング娘。は5人でしょう」と発言。石黒彩も「5人でやりたい」と発言するなど驚きが隠せない模様だった。追加メンバー入りを反対した一部のファンは即日ホームページを閉鎖するといった騒ぎにまで発展したという。

 追加メンバーオーディションは5月下旬にリリースされる2ndシングルまで時間がなかったのか寺合宿は行われず、番組では書類審査や候補者による歌唱VTRのチェック、直接面談の様子がモザイクで紹介された。最終審査は16人にまで絞り込まれ、その中には後にハロー!プロジェクトの一員としてデビューすることになる三好絵梨香、敗者復活大オーディションをきっかけにソロ歌手としてデビューする椛田早紀などが残っていた。

 5月3日放送分で約5,000人の中から保田圭・矢口真里・市井紗耶香の3人が加入することが発表され、合格した翌日から2ndシングル「サマーナイトタウン」のジャケット撮影に合流した。番組内では新メンバー3人がレコーディングやダンスレッスンで苦戦する様子が映し出され、オリジナルメンバーとのぎこちない雰囲気がしばらく続いた。中澤裕子から説教を受ける場面は2000年12月に番組内で特集された「マニアが選ぶ超衝撃事件BEST100」で1位を獲得する快挙(?)を成し遂げ、現在もバラエティ番組等で怖かったエピソードとして語られることが多い。

 5月27日にリリースされた2ndシングル「サマーナイトタウン」は、発売前から全国各地でインストアイベント(握手会)を開催し、前作の「モーニングコーヒー」から曲調・イメージを大きく方向転換した話題性もあってオリコン初登場4位を獲得した。オリコンのみならず有線放送やカラオケランキングでも上位にランクインするなど異例のロングヒットを記録した。2020年7月に放送された『ミュージックステーション』の「みんなが歌った夏うたランキング(1995年~1999年)」では安室奈美恵やサザンオールスターズなど錚々たるアーティストを抑えて1位を獲得した。

 夏には1stアルバム「ファーストタイム」のリリース、平家みちよとの合同コンサート「Hello!」の開催、映画『モーニング刑事(コップ)。』の全国横断イベントと活動の幅を広げていった。

中澤裕子の演歌デビューと初の首位

 6月28日分において、所属事務所の社長の提案により中澤裕子が演歌歌手としてソロデビューすることが明らかとなった。モーニング娘。の活動と並行して夜の繁華街を中心としたキャンペーン(通称:夜キャン)や全国の有線放送局での挨拶回りなど演歌歌手さながらの活動を行なった。

 8月5日に「カラスの女房」でソロデビューすると、オリコン初登場19位を獲得し、演歌チャートでは4週連続1位という新人演歌歌手としては異例の快挙を成し遂げた。後にカセット盤もリリースされ、演歌専門の音楽番組『演歌の花道』にも出演した。

新曲初解禁イベントで大パニック

 8月26日に全国6ヶ所のマルチビジョンで3rdシングルの曲名とPVとともに音源が初解禁される全国一斉同時初披露イベントがで行われた。東京や大阪など一部の地域ではメンバーがサプライズで登場し、平日の昼間にもかかわらず約13,500人ものファンが集結した。

 開催場所は以下の通り。

  • 北海道・札幌キリンビール園:石黒・福田(約1,000人)

  • 東京・新宿アルタ前:安倍・矢口(約3,500人)

  • 愛知・OVA21(約2,000人)

  • 大阪・WTCコスモタワー:中澤・市井(約2,500人)

  • 岡山・天満屋デパート(約1,500人)

  • 福岡・イムズ:飯田・保田(約3,000人)

 午後3時。東京・新宿アルタビルのマルチビジョンにモーニング娘。が登場し、リリース前だった「抱いてHOLD ON ME!」のPVが流れる。PVが終了し、安倍なつみが「新宿の皆さん、後ろを見てください!」と呼びかけると、メンバーが登場すると予想したファンがマイシティ(現・ルミネエスト新宿)前のステージに殺到し、将棋倒しが発生するほどの大パニックが起きた。一時はイベントの開催が危ぶまれたが、和田薫マネージャーの仕切りによって無事に安倍なつみ・矢口真里の2人が登場することができた。

 9月9日にリリースされた3rdシングル「抱いてHOLD ON ME!」は人気絶頂だったMAX(「Grace of my heart」)を抑えてオリコン初登場1位を獲得し、“番組発の企画アイドル”からトップアーティストの仲間入りを果たすことになった。

新ユニットの結成と紅白出場

 10月18日放送分で飯田圭織・石黒彩に新メンバー1人を加えた新ユニットを結成することを発表し、仮歌レコーディングによるオーディションによって矢口真里が選出された。ユニット名は「タンポポ」と命名され、以降はさまざまな派生ユニットが誕生することになった。

 11月18日に「ラストキッス」でデビューし、デビュー曲としてはASAYAN史上最高となるオリコン初登場2位を獲得した(※1位は竹内まりや「カムフラージュ」)。

 12月に入ると、音楽特番『FNS歌謡祭』や『ミュージックステーションスーパーライブ』、中国・上海で行われた『アジア・ライブ・ドリーム in 上海』に出演。年末には日本有線放送大賞で新人賞、日本レコード大賞で最優秀新人賞をそれぞれ獲得し、人気アーティストが勢揃いする『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。

人気メンバーの卒業

 年末年始の特番に出演するなど絶好調のモーニング娘。であったが、1999年1月17日放送分において、結成時からのメンバーである福田明日香が学業に専念するために春の全国ツアーをもってグループから脱退することを発表した。当時は「脱退」と「卒業」の明確な区別がなく、多くのメディアが「脱退」と表記していたものの、現在は「卒業」として扱われている。

 2月10日に4thシングル「Memory 青春の光」をリリースし、オリコン初登場2位を獲得した(※1位はGLAYの「Winter, again」2週目)。プロモーション活動で各局の音楽番組に出演した際には、福田の卒業に関する話題が中心となった。番組によっては「Memory 青春の光」とカップリングに収録されている「Never Forget」の2曲を披露することもあり、破格の扱いを受けた。

 3月からは初の全国ツアーを開催し、4月18日に東京厚生年金会館で行われた公演をもって福田明日香が卒業した。


テレビ番組

  • 『めちゃ×2イケてるッ!』(1998年5月30日、フジテレビ) - 「アフリカマンの部屋」

  • 『さんまのまんま』(1999年1月2日、フジテレビ)

  • 『めちゃ×2イケてるッ!』(1999年1月12日、フジテレビ) - 『新春かくし芸大会』のリハーサル風景

特別番組

  • 『今夜独占!最強生放送’98メガヒットライブ』(1998年8月29日、TBS)

  • 『アイドル☆スーパーステージ〜レッツゴーヤング’98』(1998年9月30日、NHK-BShi)

  • 『カウントダウンオールヒット! ’90年代アルバムセールスTOP100』(1998年10月1日、TBS)

  • 『新春かくし芸大会』(1999年1月1日、フジテレビ)

受賞

  • 第31回 全日本有線放送大賞 新人賞「抱いてHOLD ON ME!」(1998年)

  • 第31回 日本有線大賞 新人賞「抱いてHOLD ON ME!」(1998年)

  • 第40回 日本レコード大賞 最優秀新人賞「抱いてHOLD ON ME!」(1998年)

  • 第36回 ゴールデン・アロー賞 音楽新人賞(1999年)

  • 第13回 日本ゴールドディスク大賞 ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー(1999年)

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