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映画感想〜ドラえもんのび太の地球公響楽〜

 映画の感想です。もういい大人ですがドラえもんを見に行きました。
 家族で?いいえ、個人で。
 そうさ、だから公開からだいぶ経った平日の昼間に観に行ったのさ。へへ、大人の嗜みってヤツよ(・・・?) 
 ちなみにお客は私以外に親子がいての計3人でした。ほぼ貸切!

 今回の映画はタイトルから分かるように地球を舞台として交響楽を奏でようというそのまんまのストーリー。わかりやすい。
 のぶ代ドラのリメイクではなく、わさどらオリジナル。
 そういえば、2006年に新ドラになってからもう18年の月日が流れていますね。思えば遠くに来たもんだ。

 さて、ここからはストーリーの感想です。ネタバレとなります。


のび太実はリコーダーの才能あるんじゃなかろうか

 作中でのび太は独特なリコーダーの音を出します。「のび太の”の”の音」と呼ばれていて、のび太らしい抜けたような、だんだんしぼんでいく音です。ナチュラルデクレッシェンド。周りからは笑われていますが、この音をリコーダーで出しているのはぶっちゃけ天才だと思います。普通出せません。てか、これ本当にリコーダーから出しているのかな?元のリコーダーの音にフィルター掛けたような音です。
 多分出せないんじゃないかな?出せるのか・・・?だったら収録で実際に吹いた人は天才だ。

ドラえもんの立ち位置を考える

 のぶ代版ドラえもんは「のび太の保護者」としての役割を担っていたのに対し、わさび版ドラえもんは「のび太と一緒に成長する」という役割を担っているようです。これ、2006年ごろの制作インタビューみたいなので言ってました。
 今回の映画でのドラえもんの立ち位置はというと、私としては「保護者」って感じがしました。リアルな日常で言うところの「いつも子供の主体性を重んじて見守ってくれているけれど、困ったときに手を貸してくれる頼れる大人」って感じ。だから、のび太たちが楽器を担当していたのに対してドラえもんは指揮者だったのかなと。
 指揮者って団体におけるリーダーであり潤滑油みたいな役割がありますから。オーケストラで言うところの統括者。
 まぁ、単純にドラえもんが映画における主だから指揮者だったってのもあるかと。

 ドラえもんが保護者っぽいなあと思ったところは、のび太がリコーダーを吹けるようになる為に、全部道具に頼らせなかったところ。そもそも最初からのび太リコーダー克服の為の道具を出してなかったんですよね。
 「自分で何とかしろ」と言って、出してくれた道具はリコーダーに意思を持たせて持ち主と一緒に成長するように仕向けただけ。
 この映画って、ドラえもんは脇役的な位置でちょこちょこ道具を出してくれているけれど、本来の大事な場面は全部のび太たちに任せているんですよね。改めて、やっぱりドラえもんは「頼れる大人」的存在だなと感じました。 


個人的な名シーン 

 個人的な名シーンは、ドラえもんがノイズに感染し故障してから復活までのくだり。ここにこそ、今回の作品のテーマが詰まっているんじゃないかと思いました。
 今更ですが、この映画は「ノイズ」というウイルスを退治するために音楽を活用します。のび太たちは力を合わせて合奏することでドラえもんを救おうとするのですが、合奏に一体感がありません。ジャイアンとスネ夫は「お前が目立ちすぎだ」と喧嘩をし、しずかちゃんは「前より下手になった」と言いながら木琴をたたいています。
 おまけにのび太はへたくそなリコーダー吹きのままなので、必然的に足を引っ張ります。
 ジャイアン「のび太が一番邪魔だから演奏するな」と罵声を浴びせます。
 そんな暴言に聞く耳を持たずに一心不乱に吹き続けるのび太。無理矢理止めさせようとすると「絶対にやめない!」と意固地になります。
 「ドラえもんを助けなきゃいけないんだ」と言ってまたリコーダーを吹きます。そんな彼の姿に心を打たれたジャイアンたちはのび太の「ドラえもんを救いたい」という心に寄り添うように演奏します。その甲斐があってドラえもんの中に入っていたウイルスは除去されました。
 説明が長くなりましたが、このシーンは合奏において「目的意識がバラバラだと演奏もバラバラになる」という事を示唆していたのではないかと思います。最初、のび太以外の仲間は「ドラえもんを助けるため」というよりは「自分の技術が上手いことを魅せたいため」に演奏していました。 
 だからこそ、目立つなと言って相手を蹴落とそうとしたり、「前よりも下手になった」と言いながら楽器を叩いていた。
 のび太はへたくそな演奏をしながらも「ドラえもんを助けたい」というシンプルな返答をしてくれたので皆の意思が明確になった、ということなんじゃないかと。
 目を覚ましたドラえもんが拍手をしていたことも印象深いです。
 演奏が終わった後に「拍手」をしてくれる人がいる。それはつまり「ちゃんと聴いていた」という事。演奏を評価してくれていたという事。
 演奏家、視聴者がいるからこそ音楽は成り立っていると伝えたかったのではないでしょうか。そして、誰かが作った音楽を一緒に楽しんで口ずさんでくれれば最高。それこそまさに音を楽しむ「音楽」の在り方なのだと。

締め

 以上、映画の感想でした。このほかにも、ジャイアンとスネ夫を「排除する」と言いながら逃がしてくれたワークナーが男前すぎて惚れたとか、ヴェントーとモーツェルの前でベートーヴェンとモーツァルトの曲を奏でるジャイアンとスネ夫たちのリスペクト精神が良かったとか、滝廉太郎をモチーフにしたキャラが「タキレン」とかいうただの省略で笑ったとかありますが、おおむねの総評としてシンプルに楽しめました。
 大人でも子供でも楽しめるところはやっぱり「ドラえもん」でした。




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