見出し画像

BLACK LAVA / Soul Furnace【音楽レビュー】

  1.  Origins

  2.  Aurora

  3.  Black Blizzard 

  4.  Baptised in Ice

  5.  Eye of the Moon

  6.  Northern Dawn

  7.  Necrocatacomb

  8.  Nightshade

  9.  Soul Furnace


オーストラリア産デス/ブラックメタル、2022年リリースの1stアルバム。

 エクストリームメタル界で、今やオーストラリアを代表するバンドと言っても過言ではないNE OBLIVISCARISのドラマーを長年務めたDaniel Preslandの新バンドということで注目度が高かった作品。脱退したのと同じ年に新バンドのデビュー作リリースって、なんという速さ!
因みに、NE OBLIVISCARISはDanielの初めてのバンドで加入時はまだドラム歴1年くらいだったそうな。そこからの進化を考えたら、とんでもない怪物!脱退理由は、新たなステージに進むためみたいな感じで友好的な別れらしいので、そこは一安心。なお、NE OBLIVISCARISの2023年3月リリース予定の4thアルバム“Exul”はまだDanielが叩いている。そちらも非常に楽しみ!

メンバーは、
 Rob Watkins … Vo.
Tim Anderson … Ba.
   Ben Boyle … Gt.
   Daniel Presland … Ds.

RobTimは、メロディックブラック/デスメタルバンドBLACKHEIMで共に活動していて、BenDanielはデスメタル/グラインドコアバンドA MILLION DEAD BIRDS LAUGHINGやインストのプログレッシヴメタルバンドVIPASSIでも一緒にやっている仲良しコンビで、BLACK LAVAはこの2人が起点となった模様。

その音楽性は、ブラックメタルの不吉さと邪悪さを纏ったオールドスクールデスメタルといった感じで、ザラザラとした質感が強く、荒々しくて生々しい。ヴォーカルはデスメタル的なグロウルではなくハードコア的、またはスラッジメタル的な泥臭さのあるシャウトが中心で、総じて、人間味のあるサウンドとなっている。
ジャケットアートワークは雰囲気をよく表していると思う。
ただの懐古主義的なサウンドではなくモダンな感触もありブラックメタルの暗黒要素はある種のオシャレさというか洗練された印象を与えているようにも感じた。音質も普通に良い!ミキシングはCONVERGEのKurt Ballou。マスタリングは数々のこの手のバンドを手掛けているAlan Douches。

左)Daniel、Rob、Tim、Ben

1 - Origins
良くないことが起きる前触れのような不吉なメロディで幕を開けるインスト。警報のサイレンみたいな音色が響き渡り一層の不安を煽りつつ、ブラストで疾走。この時点で名作を確信!そのまま#2に繋がる構成になっているので、常にセットで聴くべし。

2 - Aurora
#1の終わりで開きかけていた地獄への扉が遂に開き切ってしまったことを思わせるような、混沌とした重低音の波が押し寄せる。
ミドルテンポで淡々と、しかし有無を言わさず突き進む感じがよりゾクゾクさせる!

3 - Black Blizzard
黒い猛吹雪が邪悪を撒き散らすブラックメタルテイスト強めの一曲。嵐が過ぎ去ったと錯覚させる2:00頃〜の静寂パートは、空気を震わすベースと、生っぽいハイハットとスネアがかっこ良すぎる!

4 - Baptised in Ice
#2と似た感じのイントロ。ちょうどいいテンポで、気持ちの良い重低音とリズム、これは初っ端から頭振らずにはいられない。2:08頃〜のオールドスクール感溢れるツービートも非常に良い。そしてプログレッシヴブラック的な、知性と美しさが宿った邪悪フレーズが要所で光る!

5 - Eye of the Moon
ザラザラ、ゴツゴツした感じは控えめ、幾分マイルドでゆったりとしていて、メロディアスさが前面に出ている印象。しかしその分、1:55頃〜の疾走パートが際立つ。ここでのミステリアスなメロディはアルバム全体の中でも異彩を放っているように感じた。

6 - Northern Dawn
ドラムの変化でジワジワと盛り上がっていくイントロが最高。最初の8小節はタムとバスドラのみ、次の8小節はスネアとシンバル類が加わり、そしてイヤアアァァァァァァァァァ!!でガッツポーズ!ここのキラーフレーズは、後半のドゥーミーなパートへの切り替え場面でも登場。この構成もめちゃ好きなやつ。

7 - Necrocatacomb
プログレッシヴブラック的な不協和音フレーズにより怪しげな雰囲気が支配しており、本来軽快なはずのスタスタスタスタ…のドラムが逆に不気味に聞こえる。ラスト1分ほどはAMENRAみたいなギターの刻みを境に、崩壊が間近に迫っているかのような切迫感のある展開へ。

8 - Nightshade
どす黒い物が渦巻くなかで妖しげな光がキラリと煌めくような印象的なリフで始まる。全体的にブラックメタル的な暗黒の空気に包まれている感が強く、1:16頃~のスプラッシュシンバル1発入れた後にブラストで疾走するメロブラパートは特にかっこいい!2:15頃~のDARK FUNERALあたりを彷彿とさせる荘厳なリフも良い!

9 - Soul Furnace
暗いメロディと終末感漂うリフが、灰色に覆われた世界を連想させる。疾走パートは無くヘヴィに聴かせるタイプの曲で、ブラックメタル、デスメタルというよりプログレッシヴなハードコアといった感触。終わりかたも渋い!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?