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PERPETUAL NIGHT / Aconitum 【音楽レビュー】

1. Aconitum             
2. Rotten Bond          
3. Antimatter    
4. Hierbas Amargas      
5. Stars Hunter              
6. Silver Key                
7. Redemption                
8. Dry Land           


スペイン産メロディックデスメタル、2022年リリースの2ndアルバム。

 スペインという、メロデス色の薄い、というか自分の中ではほぼブルータルデスのイメージしかない国からの刺客。PERPETUAL NIGHTというバンド自体、このアルバムで初めて知った。
なので、最初はそこまで期待せずに聴いたというのが正直なところ。
しかし!その実態は、かなり良質なINSOMNIUM系メロデスで、良い意味でかなり裏切られた~
とにかくメロディセンスが抜群に良くて、ガンガン琴線に触れてくるではないか。
INSOMNIUM系であることに異論のある人はあまり居ないと思うが、違いを挙げるとすれば、INSOMNIUMほど全編が深刻な悲しみに貫かれていないというか、渋すぎないというか。語弊があるかもしれないが、こちらは哀愁メロをベースとしながらもポップな雰囲気もいくらか感じる。そういうところはOMNIUM GATHERUMやBLOODRED HOURGLASSあたりに近いかもしれない。

 メンバーは、Raúl Ríos Beiro(Gt.&Vo.)、Leo Gonzalez(Vo.)、Luis Rodriguez(Ds.)、Carlos Garrido(Ba.)、Javier Rodríguez(Gt.)の5人。
ギターのRaúlは唯一、結成時からのメンバーで恐らくリーダー。ベースのCarlosも前作(1st)から参加しており、この2人が中心と思われる。あとの3人は、前作リリース後の加入。バンドとしての体制が整ったことは、今作のクオリティの高さに無関係ではないだろう。
 ヴォーカルはグロウル・シャウトに徹し、安易にクリーンを導入しない硬派な姿勢が好感を持てるし、よく歪んだ声質も良い!
キャッチーなメロに凶暴なヴォーカル、双方を際立たせるこのギャップは、好き者にはたまらない。


1. Aconitum   
いかにも始まりを予感させるピアノの音色による優雅なイントロから、疾走する第二イントロへ突入した時点で名曲を確信するガッツポーズ。
ヴォーカルの入りと同時にブラストに切り替わってスピード感が増すドラムも最高。その後からサビにかけてはゆったりメロディを聞かせるパートが多いものの、ラストは再び爆走からのイントロと同様のピアノでしっとりと終わる、メリハリの効いた構成で、アルバムの1曲目として申し分なし!

2. Rotten Bond 
イヤアアアアアアアアオの雄叫びと共にブラストで爆走、メロディックなリフ+ツービートで疾走してからの、INSOMNIUMとかでありそうな哀愁のピロピロギターでまたしてもガッツポーズ!なんという贅沢なイントロか。
そしてサビのメロディは思わず口ずさんでしまいそうなキャッチーさ。

3. Antimatter  
今作随一のクサメロで幕を開ける。サビのメロディをイントロに持ってきている形で、メロ自体はその後幾度も出てくるが、弾き方・叩き方を変えたり変えなかったりで、変化をつけようという意思が伝わってくる。そのためクドさ、ダサさを全く感じない、むしろオシャレなキャッチーソング。

4. Hierbas Amargas 
ここで突如としてスペイン感を出してくる、異色のフラメンコデスメタル曲。Pepe Moreno(Vo.)とMario Gutiérrez(Gt.)がゲスト参加している。Federico Garcia Lorcaという脚本家/詩人の有名な作品にインスピレーションを受けたのだとか。他の曲とは明らかに雰囲気が違うが、エキゾチックな雰囲気は嫌いではないし、ラストのヘヴィ&スパニッシュなパートはかなりかっこ良い!アルバムの最後ではなく真ん中に持ってくるあたりにポリシーを感じる。

    5. Stars Hunter 
個人的には一番INSOMNIUMっぽさを感じる曲。 北欧の大自然が目に浮かぶような壮大なメロディ、名曲”Valediction”を彷彿とさせるリフ、イントロのあとVo.が入ってくるとこの3拍子のドラムの感じとか。
差別化を図る意図もあるのか、終盤からラストにかけてサックスが入ってくる。これが雰囲気にマッチして非常に良い効果を生んでいる!

  6. Silver Key 
ふんわり優しく美しいイントロに続いて、速めのツービートで哀愁を撒き散らしながら疾走!サビではこのフレーズにブラストを絡めてくるが、この速さはここまでメロメロなバンドでは珍しい気がする。
後半は、ピロピロピロピロペロペロぺ~♪ みないなちょっと明るい感じのギターが印象的。

7. Redemption 
 
冒頭から出てくるメインのメロディが、ギターの音の感じも含め、ドイツ最強メロデスバンドNYKTOPHOBIAを彷彿とさせるクサ系メロディで最高すぎる。特に終盤の間奏後、3:30~のラストサビは迫力あるグロウルが更に引き立ってめちゃくちゃかっこ良い!

8. Dry Land  
メロディックデス/ドゥームの趣きの強い、ゆったりめの曲。同郷のそっち系バンドHELEVORNのヴォーカルJosep BrunetがクリーンVo.でゲスト参加していて、どこか空虚な感じのゴシック声が寂しげに響く。
しかしこのバンドらしく疾走するパートもしっかり入れてくるのが流石ですな。


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