見出し画像

ORPHANAGE / Inside【音楽レビュー】

  1. Inside

  2. The Stain Remains

  3. Grip

  4.  Twisted Games

  5.  Pain

  6.  Deal with the Real

  7.  Behold

  8.  Weakness of Flesh

  9. Kick

  10. Drag You Down

  11. From the Cradle to the Grave


  オランダ産メロディックドゥームデス/ゴシックメタル、2000年リリースの3rdアルバム。日本盤も出ていた名作。

 オランダと言えば、女性ヴォーカルを擁するゴシックメタルやシンフォニックメタルなどの名産地。このORPHANAGEのほかに、有名どころだけを挙げても、AFTER FOREVER、DELAIN、EPICA、THE GATHERING、WITHIN TEMPTATIONなど、錚々たる顔ぶれ。
その中でもORPHANAGEは、ゴリゴリとしたヘヴィかつグルーヴィなリフに跳ねるようなリズムが特徴的。男性デスVo.と女性クリーンVo.が中心だが、ところどころで男性クリーンVo.も入る。さらにクワイア(聖歌隊的なやつ)も加わって、キーボードの音色と相まって宗教的・神秘的な雰囲気が強い。
メタリックというよりヘヴィロック的な印象のパートも多く、「Innovative Gregorian Celtic Groovy Melodic Doom Death Metal」と自称していたようなので、要は枠に囚われない感じと理解している。

 デスVo.のほうは、その声だけを聴けば、髭もじゃのむさくるしいオッサンを連想してしまうところだが、実際は下の写真の中央に居る、若くてちょっとやんちゃそうな感じのGeorge Oosthoek。

 一方のクリーンVo.は天使の歌声、いや、聖母の歌声のRosan van der Aa。
確かに、美しい声の女性ヴォーカルはゴマンと居るが、このRosanは別格!
光とともに天から降り注ぐような、それでいてどこか懐かしさや親しみを感じさせる癒しの美声。バンド名がORPHANAGE(孤児院)だけに、子供たちを温かく包み込むかのような、まさに聖母の歌声。

 その他のメンバーは、Erwin Polderman (Ds.)、Guus Eikens (Key.&
Gt.&Vo.)、Lex Vogelaar (Gt.&Vo.)、Eric Hoogendoorn (Ba.) で、リズム隊の2人以外は大なり小なりVo.も担当しているということに。

 残念ながらバンドはこの次のアルバム『Driven』(2004年)を最後に解散しており、この『Inside』時のメンバーの多くは、現在は目立った活動をしていない様子。2022年現在で最も精力的に活動を続けているのはデスVo.のGeorgeで、やたらヴォーカル人数が多いシンフォニックデスバンドMAYANと、デスラッシュ系のSHINIGAMIで歌っている。ORPHANAGE時に比べると声のクセは減っている気がする。
Rosanは、歌声をもっと聴きたいところだが、DELAINにちょっとゲスト参加したことがある程度で、基本的にORPHANAGE一本の人だったようで、非常に惜しいことです。


1. Inside
まるで子守唄のような、優しげな男性クリーンVo.の冒頭、そしてヘヴィなリフにノスタルジックなメロディが乗るイントロから癒される!

2. The Stain Remains
祈りの儀式のような神秘性を感じる独特なメロディラインの歌が耳に残る。3:15~の、ひときわ邪悪で獰猛なシャウトもゾクゾクする。そのコントラストがまた良い!

3. Grip
イントロからヴァースにかけて続く無骨な感じのおっさんデスVo.から一転、サビでの心洗われるようなRosanの美声が心地良すぎる。

4. Twisted Games
リズミカルな前半は、Rosanが軽やかに舞いながら歌う姿が目に浮かぶような、エキゾチックなメロディが印象的。邪悪なシャウトにバスドラドコドコの、ORPHANAGEとしてはかなりブルータルなパートを挟んで、終盤のずっしりとヘヴィなフレーズはどこか呪術的な雰囲気を感じる。

5. Pain
ヘヴィに展開していた中盤に、突如光が差し込むように入ってくる透き通った声、そしてメロディの良さが心に染みる。このパートは繰り返しが無く一度だけというのが渇望を煽る。

6.Deal with the Real
ORPHANAGEらしいノリの良いリフで始まるが、すぐに荘厳さと癒しに満ちたパートに切り替わる、それもまたORPHANAGEっぽさと言える。各メンバーの歌声が聖歌のように重なる中盤の展開は、哀愁と同時に希望の光が感じられて感動的だ…

7. Behold
WITHIN TEMPTATIONのSharon den AdelがゲストVo.で参加している。突き抜けるような綺麗な高い声で力強く歌うSharonと、全てを包み込むように優しく歌うRosanの共演が素晴らしすぎる!
ザクザクとしたリフのヘヴィなパートも緊迫感があってカッコ良い。

8. Weakness of Flesh
前半で一旦曲が終わり、無音部分を挟んで後半が始まるという構成。その意図は解らないが、前半パートが生で、無音部分が死、後半パートが死後、みたいなイメージで聴いている。後半のデスドゥームパートの重さと美しさのコンビネーションが非常に良い。

9. Kick
STATIC-Xを彷彿とさせるダンサブルなイントロで気分が上がる!クワイアの合唱を従えてGeorgeが吠える感じで、勇壮さと力強さが際立つ一曲。

10. Drag You Down
これもRosanの歌うサビのメロディが凄く良い。失ってしまった大切なものに対する未練や悔恨、何となくそういうことを連想させる哀しみを含んでいて、胸が締めつけられる…!

11. From the Cradle to Grave
目を細めて遠くを見つめてしまうこと必至の、強烈にノスタルジックな哀愁を放つ名曲。
終盤の邪悪なパートを経て、最後はRosanの慈愛に満ちた歌声に続いて赤ちゃんの笑い声とオルゴールの音色で曲が終わる。困難や悲しみを乗り越えた先に芽吹いた希望を暗示しているようで、ポジティブな余韻が残る。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?