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SOILS OF FATE / Thin the Herd【音楽レビュー】

  1.  Weaponry Wisdom

  2.  Thin the Herd

  3.  Brotherhood (Omertá Part II)

  4.  8.9.3

  5.  High Lead Intake

  6.  One on One - Toe to Toe

  7.  Vale Tudo

  8.  I Am Violence 

  9.  C²¹H²³NO⁵ 

  10.  Dogma


 スウェーデン産ブルータルデスメタル、2014年リリースの3rdアルバム。

 ブルデスといっても、スネアがカンカン鳴りっぱなしのアルバム全曲ほぼ同じに聞こえるグチャドロ系ではない。モッシュパートやスラムパートなどハードコア的なノリやグルーヴが強い、DYING FETUS、INTERNAL BLEEDING、DEHUMANIZED等と近いタイプで、そっち系の日本代表がVOMIT REMNANTSならスウェーデン代表はSOILS OF FATEというイメージ。ただ同系の中でも、グルーヴメタルっぽい色合いがひときわ濃いように感じる。
 1995年から活動していて、キャリアの点ではDYING FETUSらとそこまで大きな差は無いにもかかわらず、2022年時点でこの3rdアルバムが最新作という寡作のバンド。
前作から約11年半もの時を経てリリースされた本作は、いわゆるブルデスっぽさが多少薄れた印象だが、一聴してSOILS OF FATEと判る強烈なグルーヴには更に磨きがかかった、粒揃いの名盤に仕上がっている!

本作でのラインナップは、
    Magnus Lindvall …Gt.
    Henrik Crantz 
…Vo.、Ba.
    Fredrik Widigs 
…Ds.
の3人。
1stアルバム時からスリーピースでMagnusHenrikは当時からのメンバー。2014年に専任ベーシストのCloffe Casperssonが加入してからは4人体制となったものの、2018年にHenrikが脱退。Magnusによれば、仕事が忙しいのとバンドへのモチベーション低下のためとのこと。Henrikのちょっとラップ調に感じられることもある凶暴なグロウルがめちゃ好きだったので非常に残念。
 ドラムのFredrikも既に脱退していて、5年以上はバンドに在籍していたとみられるがアルバムとしては結果的に本作のみとなった。MARDUKやNORDJEVELなどのスウェディッシュブラックメタルバンドでも叩いていた実力派で、力強く叩き込む好きなタイプのドラマーなのでこちらも続けてほしかった!
 さらに、Cloffeは2022年に不慮の事故で亡くなったようで、ショックすぎる…。
2019年頃のインタビューにて、Magnusが新作を制作中と話しているがそれから音沙汰が無いのは、そのあたりが要因なのかも。

左)Magnus、Fredrik、Henrik、Cloffe

1 - Weaponry Wisdom
アルバムに先駆けてリリースされたシングルの中の1曲。初っ端から悪そうなリフ+ブラストで爆走!モッシュ必至のイントロから、
1:30頃〜のダンサブルなパート、極悪のラストまで最高すぎる!

2 - Thin the Herd
こちらもシングル曲。ジャケ中央の怪しい野郎が背後からジリジリと忍び寄って来ているかのような危険な香りプンプンの冒頭に続いて、かっこ良すぎるスラムリフ!朝この曲聴いたら、一日中ずっと頭の中で再生される中毒性がある。

3 -  Brotherhood (Omertá Part II)
2ndアルバム収録曲“Omertá” のパート2ということで、マフィアがテーマ。("オメルタ"は、シチリアンマフィア血の掟。)全体としてはグルーヴメタル的な質感が強く、0:54~1:40のあたりはヒップホップ的なノリも感じるが、凶悪なヴォーカルと中盤以降加速するドラムによってブルータリティは保たれている。

4 - 8.9.3
マフィアに続いて、こちらはもちろん日本のアレです。日本以外で曲名の意味が理解されるのか…?元VOMIT REMNANTSのTakanori Fujiokaと元INTERNAL BLEEDINGのFrank RiniがゲストVo.で参加!序盤のヒリヒリとした緊迫感のあるリフが極道ぽい雰囲気が出ていて良い!

5 - High Lead Intake
一触即発で暴動が起きそうな悪さを発散しているイントロ。徐々にバスドラ連打が増えていくのが気持ち良い。終盤で珍しくピロピロ系のギターが入ったあとブラストで爆走して締めるのがめちゃかっこええ!

6 - One on One - Toe to Toe
映画のワンシーンの音声のSEから、ノリの良いグルーヴメタル的な始まり。曲名的にタイマンの喧嘩ソングぽいけど凄惨な雰囲気は無く全体的にブルデス色は薄い。こちらもFrank Riniがゲスト参加!

7 - Vale Tudo
曲名は総合格闘技の名称。向かい合って、体勢を整えて、試合開始の合図でブラストで爆走!みたいなイメージの冒頭部分が熱すぎる。本作の中でも屈指のリフのかっこよさを誇る名曲!またまたFrank Riniが参加していて、この曲が一番存在感がある。

8 - I Am Violence
唯一、Fredrikのレコーディング時のプレイ動画があって、手も足もガッツリと叩き込んでいる様子が見られる!動画0:30頃~の、足はバスドラ連打しながら上はダダーダーダー/ダーダーダーダダーのリズムに合わせて直後にブラストに切り替わる感じが、凄くこのバンドっぽさが出ている。一方で1:44頃~の邪悪リフ+ブラストのパートは、アルバムいち、デスメタル感が強くてかっこ良すぎる!

9 - C²¹H²³NO⁵
曲名はヘロインの化学式。短いSEから始まって爆発音のような音と共にグルーヴィかつ悪そうなSOILS OF FATE節全開!ジリジリと身体を蝕まれているようなスローパートが中心となるだけに中盤のファストパートのキレが一層光る!

10 - Dogma
ザクザクとヘヴィかつアグレッシヴな勢いあるイントロ。Henrikが「Faulty doctrine!」で入ってくるタイミングがかっこ良すぎてやばい。ラスト1分くらしでテンポダウンしてスラムパートに突入!ライヴ映像見ると最前列あたりの客は低い姿勢で身体を上下させその後ろでは当然のごとくモッシュが巻き起こっている!
そしてライヴでのCloffeの弾きっぷりがめちゃくちゃかっこ良い!生で観たかった。R.I.P。


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