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就業規則は誰が読むもの?

会社で就業規則を見たことはあるでしょうか?
 
就業規則は、会社と従業員との間のルールを定めたものです。
就業時間は? 休日は? 給与は?
といった基本的な制度のほか、服務規律など、働く上での守るべき事柄が記載されています。
 
似たようなものに、「労働条件通知書」や「雇用契約書」なども存在します。
労働条件通知書などは、会社と各従業員との1対1のものです。個別に渡されたり、「記名して1部返してください」と言われて契約したりするものですね。
それに対し、就業規則は、会社 対 従業員全体というイメージです。
 
さて、就業規則は、どの会社、事業所にも必ず存在するものなのでしょうか?
 
①どの会社にも必ずある
②どの会社にも必ずあるとは限らない
 
就業規則は、10人以上の事業所で定める義務があります。
言い換えれば、小さな事業所には存在しない可能性があります。
正解は②です。
 
では、この就業規則の効力が発生する要件は、何でしょうか?

①従業員代表の意見を聴くこと
②労働基準監督署に届出すること
③従業員に周知すること
 
10人以上の事業所では、作成のうえ、労働基準監督署に届出することが求められています。添付書類として、労働組合または従業員過半数を代表する者の意見書も必要です。
しかし、それですべて良しというわけではありません。従業員に対して、代表者の意見を聴くだけではなく、周知して初めて、効力が生じます。
従業員とのルールを定めたものなので、納得です。
正解は③です。
 
この「周知」ですが、具体的にはどんなことを言うのでしょう。
次のうち、就業規則上の周知に当てはまるものは、どれでしょうか?

①従業員1人1人に交付すること
②従業員の集まる休憩室に置いておくこと
③従業員が使うパソコン上の共有フォルダにアップしておくこと
 
1人1人に渡すことは、とても丁寧なことですが、従業員がいつでも見られる状態にあればよいことになっています。
上記いずれも、周知することに当てはまります。
 
以下、私見です……。
いつでも見られるようにとはいっても、働く側からしてみると、気になることがないと開かないものですし、中身を開いても、読み進む気がしないかもしれません。規則なので、法律のように、難解な言い回しが多いです。
 
特に、育児・介護休業の規程。規定する側の視点に立つと、厚労省で条文例が作成されていますので、そちらを使用すれば事足ります。
ただ、読解力が必要と感じる文章もあります。
「第○条第○項又は第○項に基づく休業及び第○項に基づく休業又は……」
といったものです(「詳細版」の場合)。
 
このまま従業員に見せると言っても、本当に読んでいただけるのでしょうか?
法律を読み慣れている人間は、ごく一部の職種です。
また、休憩時間など、仕事の合間に目を通すとなると、読み砕くのに時間を割いてもいられません。
それ以前に、事業主の方にも内容を理解いただく必要があります。
 
そう考えると、書き方にも、ある程度の工夫は必要なのかと思えてきます(個別に説明する機会が設けられていれば別でしょうが)……。
 
一方、易しくするために、あれこれ省略してしまうと、解釈の相違が出てくることもありえます。
「及び」「並びに」、「又は」「若しくは」といった接続詞のくだりも、極力避けたほうがスッキリしそうです。が、AND要件なのか、OR要件なのか、きちんと区別するには、それなりに存在意義があります。
 
見やすさ、読みやすさの話に傾いてしまいましたが、就業規則は中身が大事であるのは当然です。
せっかくの中身を正しく活かすためには、誤解の生じない程度に、書き方にも留意していきたいものです。
ということで、私自身も現在、見直し作業中です。
このnoteのような、ざっくりした書き方には変えられませんが……👩‍💼

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