見出し画像

自分の労働条件、チェックしましょう

「労働条件通知書」または「雇用契約書」
……入社したときに渡される書類の1つです。
雇用契約書の場合には、サインを求められます。
紙の書類とは限らず、メールなどの電子で送られてくる会社もあるでしょう。
 
これらの書類に、何が書いてあるのかというと……。
・給料(月給、日給、時間給など)はいくらなのか?
・いつから雇用されるのか?
・何時から何時まで働くのか?
・お休みはいつなのか?
 
その名の通り、働く上での大事な条件が詰め込まれています。
 
この労働条件通知書(ここでは、「雇用契約書」などの呼び名も含めています)、今年(2024年)4月1日から契約する場合には、変更(追加)があります。
 



📝どこで何の仕事をするのか?

「どこで働くのか?」
「どんな仕事に従事するのか?」
書面を交わす前に承知している事柄でしょうが、大事な条件なので、こちらも書類での記載が求められています。
たとえば、場所は「東京本社」、従事する業務は「事務」といった具合です。
 
就業場所と、従事する業務内容については、契約時点で通常想定されることだけ、書かれていれば済みました。
4月からは、ここに「変更の範囲」が追加されます。契約時点だけでなく、今後の変更の見込みも載せなければならなくなるのです。
「今後」というのは、契約期間が有期であれば、その期間中に限ります。正社員のような無期雇用の場合は、区切らず、将来に向かって「今後」です。
 
先ほどの例でいうと、現在は東京本社だけど、他の支店にも異動がありうるという場合は、「変更の範囲」は「東京本社及び全ての支店」などとなります。
現在は事務職だけど、将来的に営業業務もしてもらうかも……という場合には、「事務及び営業」が「変更の範囲」となります。
 
小さな事業所で、異動も業務変更も全くないですよという場合は、「変更の範囲」は、たとえば「変更なし」です。
 
一時的・臨時的に他部署へ応援に回ってもらう、出張したり、他の場所へ研修を受けに行ったりするという場合にも、記載が必要なのでしょうか?
それらは含めなくてもよいことになっています。
線引きが難しいかもしれませんが、あくまでも「通常」の範囲の記載です。
 
労働者目線で考えると、
「異動はないと聞いていたのに……」
「ずっと同じ部署の業務でよいはずだったのに……」
など、「聞いたことと実際とが違う」といったトラブルも起こり得ます。
今後の変更の見込みについて記載があることで、「異動はない」との安心感を与えられたり、「異動になるかも」という覚悟につながったりするでしょう。
 

📝更新は無限にある?

雇用される場合には、期間の定めがある場合、ない場合があります。
期間の定めありの場合には、さらに2点、2024年4月から追加事項があります。
1つは、契約更新の上限についてです。
 
有期契約では、
「いつからいつまでの契約なのか?」
「更新はあるのか? ないのか?」
「更新がある場合、どのような判断基準なのか?」
といった記載が必要です。
 
このほか、更新に上限が設けられている場合には、その記載も求められることとなります。
上限というのは、「契約期間は通算して○年まで」「更新回数は○回まで」といったものです。
有期雇用で働く人にとって、安心して仕事をしてもらうためには大事な内容といえます。
 
なお、上限がいままでなかったけれど新たに設ける、または上限を短縮するという場合は、なぜなのか、その理由の説明も必要です。労働者にとって不利益になるためです。
  

📝「無期転換」って何?

「無期転換」という言葉、ご存知ですか?
ざっくりですが、契約を更新して勤続5年を超えると、「無期契約に変更したい」と、従業員が会社に申込でき、会社はそれを承諾したとみなされる、無期雇用に変わるという制度です。
ただし、無期に変わる=正社員になる とは限りません。無期契約に変わった後、賃金等の労働条件がどうなるのか? それは会社の定めによります。
 
この無期転換についても、会社は労働者に明示しなければならなくなります。
無期転換の権利が発生してくる更新時に、
・無期転換に申込できる
・無期転換したら、どのような労働条件になるか
ということを示さなければなりません。
新たに発生してくる時期だけでなく、その後も更新のたびに、上記が必要です。
 

📝惰性に陥りがちでしょうが……

書類を作成する会社側の立場としては、今回の変更で、ひと手間要します。ご面倒かもしれませんが、形式だけでなく、内容について再確認する良い機会かと思います。
 
また、有期労働者の立場としては、何度も契約を更新しているうちに、書類の受取というのが、ただの形、儀式のようになってしまうおそれがあります。

「いつもの書類か……。給与はいくらのままだな。はいはい、サインね……」

賃金欄だけチェックして、あとは特に変わりないだろうからとスルーしがちです。
書類に書かれていて、それを受け取ったりサインしたりする以上、「知らなかった」では済まされないこともあります。
自分の大事な労働条件です。ひととおり書面には目を通しておきたいものです。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?