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年金に扶養手当が付く?

給与の配偶者手当について検討を……というニュースが最近、流れました。

配偶者に対する手当を支給している事業所は、全体の55%あります。
※「令和4年職種別民間給与実態調査の結果 (jinji.go.jp))」よりhttps://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/minR04_index.html

給与だけではなく、年金にも、このような家族手当・扶養手当の制度があります。
その名は「加給年金」。

条件はいろいろとあります。ここでは話を分かりやすくするため、
「夫が妻を扶養している」
と仮定しています。逆の場合には置き換えていただくよう、ご了承ください。

🌳加給年金のイメージ

ざっくりしたイメージは、以下の図のとおりです。
妻よりも夫が年上の場合に限られます。原則として、夫が65歳になってから、妻が65歳になるまでの間に、夫の年金(老齢厚生年金)に加算されます。
ただ、誰でもというわけではありません。
夫は、そこそこ厚生年金に加入していた方。
妻は、まだ年金を受け取っていないか、あまり厚生年金に加入していなかったという場合に限られます。

🌳加給年金の条件

夫の要件、妻の要件それぞれに分けて記してみます。
こまごま書くとややこしくなるため、原則しか書いておりません。

👨夫の要件

①65歳から老齢厚生年金を受けることとなった
※60代前半での老齢厚生年金には、原則として加給年金がつきません。

②厚生年金に原則20年以上加入していた
=そこそこ会社勤めが長かったというイメージです。

👩妻の要件

①65歳未満である

②生計を維持されている

・夫と同居している(別居の場合でも仕送りを受けている)
・自身の収入が850万円未満である(所得にして655.5万円未満である)
=収入要件は、所得税の150万円や健康保険の130万円と比べると緩いです。

③60代前半の老齢厚生年金を受ける権利がない
or受けられるが厚生年金の加入期間が20年未満のものである
例えば、妻に63歳で老齢厚生年金を受けられる権利が発生し、かつ、厚生年金に20年以上加入していた場合、そこそこ年金を受けられることになります。その時点で、夫の加給年金は支給停止されます。

④障害年金を受けていない
③と同じような理由で、障害年金を受けていると、夫の加給年金が支給停止されます。

🌳金額はいくら?

令和4年度で年間388,900円(→月換算32,408円)です。

🌳子供を扶養している場合はないのか?

お子さんを扶養している場合にも加給年金があります。
お子さんの要件は、以下のとおりです。
年齢的に、税金や健康保険の扶養と比べると、厳しいです。

①18歳到達年度末までにある(一般的に高校を卒業するまで)
 または障害1・2級をお持ちの場合には20歳未満
②生計を維持されている

金額は、対象のお子さんの人数によります。
※いずれも令和4年度の金額です。
1人=223,800円
2人=223,800円 +223,800円
3人=223,800円+223,800円+74,600円
以下、1人増えるごとに、74,600円プラスされます。

🌳妻が65歳になったら……?

妻の要件に「65歳未満」とありますが、妻が65歳になると、夫の加給年金はなくなります。
その代わり、妻が65歳になると、妻自身に老齢基礎年金が支給されるようになります。その老齢基礎年金に加算がされます。これを「振替加算」と呼びます。

ただ、「振替」と言っても、加給年金の金額がそのまま妻に振り替えられるわけではありません……。
金額は妻の生年月日によります。
昭和36~40年度生まれの場合、年間で14,995円(月1,249円)です。
また、昭和41年度以降(S41.4.2~)生まれの方には、このような振替加算はされなくなります。国民年金制度の大改正があったのが昭和61年4月。その時点で20歳未満であった方は、国民年金を満額、受けられる可能性が高いためです。

🌳妻が年上の場合は……?

夫が65歳になった時点で、妻が65歳以上である場合、加給年金が夫の年金につくことはありません。
ただし、その時点から、妻の年金に振替加算がつきます(実質的には、”振替”ではありませんが)。年齢以外の要件は、加給年金のものと同じです。

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