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【詩の森】602 猫様

猫様
 
二年前に
知人から頂いた二匹の猫は
ゆずとベリーと名づけられた
それが今ではゆず子とかベリ子とか呼ばれ
二匹はふたりになって
家族の一員である
 
はじめは
猫のうんちを片付けるのにも
抵抗があったが
今ではすっかり慣れて
臭いもあまり
気にならなくなった
 
二匹が真夜中に
追いかけっこするのには
さすがに閉口するが
それでも真夜中の運動会
などと呼んで
ゆるしている
 
ことさら
人間に媚びるわけではないのに
こんなにも好かれる猫とは
いったい何者だろう
そこにはどんな秘密が
あるのだろうか
 
一ついえるのは
猫は人間の子どものようには
散らかさないことである
座れば座ったなり
眠れば眠ったなり
ずっとそこにいる
 
その場で頭を掻き
毛づくろいをし欠伸もする
走り回っていても
物を倒したり壊したりもしない
ただ
爪を研ぐくらいのものである
 
猫は完璧なペットだと
いわれているらしい
向こうからすり寄っては来ないから
人間のほうがすり寄っていく
その時点で
勝負はついているのだろう
 
いつも視界のどこかに
ちょこんと控えているのが
いかにも猫様らしい
つかずはなれず心憎いほどの
間合いのとりよう―――
ああ猫様!
 
2024.2.10
 
 

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