見出し画像

【詩の森】613 モノサシ

モノサシ
 
人のなかには
いつのまにかモノサシができていて
そのモノサシで
自分を測ったり
他人を測ったりしている
 
モノサシはいくつもあって
お金だったり地位だったり
学歴だったりするだろう
社会のモノサシが
人を序列化していく
 
いつだったか僕は
名刺の裏まで食み出す程の
肩書を持つ人に出会ったことがある
彼はその肩書を
とても自慢していた
 
だから雲魚亭で
芋銭の名刺を見た時は新鮮だった
思わず
小川芋銭牛久とのみの刺の涼し
と歌った程だ
 
高野素十さんは
夏の人空手来りて空手去ると詠み
芭蕉さんは
薦を着て誰人います花のはる
と詠んだ
 
モノサシは価値観ともいわれる
ならば
人それぞれでよさそうなものだが
何でも金に換算するのは
資本主義の悪い癖だろう
 
金子みすずさんは
みんな違ってみんないいと唄った
もしモノサシが一つにされでもしたら
息苦しさの極致だろう
それは狂気の世界でもある―――
 
2024.3.24

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?