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香りと人間

 自分が高校生で実家にいた頃、昨日まで何とも思わなかった父の体臭が朝ご飯を食べる時になると、身体が拒絶するようなものに変わっていたこと。
 夏頃は、ある人の香りが得意ではなかったが、秋、仲良くなってみると優しく感じるようになっていたこと。

 私の生きるこの身体では、恋愛的に見れるかの一要素にその人の香りがある。

 一つ目は本能的な香りの話。これが起こる前に、女の子は遺伝的に近い男の人(今回では父)のことが臭く感じるらしいという噂をきいていたので、ついにその日が来たかと思った。無意識のうちに私の何かが変わった習慣だった。
 二つ目は逆のように見えるが意識から、香りが変わったことだ。どうして変えることができたのか、わからない。

 自分の不変部で判断される分野があることが、私が生物であると感じられ面白い。どちらかというと同性でも、その人の香りが心地よい人の方が仲良くなりやすい気がする。

 たまに私ではどう判断していいは分からない人の香りに遭遇することがある。音楽スタジオの独特のこもった香りや、干しシイタケを戻した時の香り、

 これだけ人のことを述べておきながら、自分の香りのことは自らではわからない。私は他者からはどんな香りがするのだろうか。




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