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押井守のサブぃカルチャー70年「円谷プロの巻 その6」【2021年5月号 押井守 連載第20回】

今回で円谷プロダクションの話題は完結。押井さんが円谷作品をはじめとした特撮シリーズで何を学び、それを映画監督としてどう生かしているか。押井作品の原点に迫る内容です。
取材・構成/渡辺麻紀

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アクションやSF、ホラーといったジャンル映画にこそ映画の本質があるということを特撮シリーズで学んだ

――まだ円谷プロダクション編が続いてます(笑)。今回は、押井さんが「コレを語らなければ円谷を語ったことにならない」とおっしゃる『怪奇大作戦』(1968~1969年)をお願いします。

『怪奇大作戦』は怪奇事件、オカルトとか宇宙人とか怪物とか怪奇現象とか、そういう事件を専門に扱う捜査チームを描いている。

――ということは、『X-ファイル』(1993~2002年)の日本版という感じですね?

そういうこと。主人公を岸田森が演じていて、いつもかっこいいクーペを乗り回している。当時とはして珍しいスタイルだったから印象的だったんですよ。

チームの名前はSRI。“ウルトラ警備隊”とか“科学捜査隊”とかじゃなくてSRI。CIAとかKGBと同じアルファベットのイニシャルを使ったネーミング。これもおそらく日本初なんじゃないの? 当時は何の略なのか分からなかったけど……。

――調べると「Science Research Instituteサイエンス・リサーチ・インスティチュート」こと「科学捜査研究所」みたいですよ。

それは後付け。観ているときには何の説明もなく、のちに出版された関連本に書かれていて分かったんです。

で、何が言いたいかと言うと、このシリーズを支えた作家が実相寺昭雄監督だったということです。

――いや押井さん、『ウルトラセブン』(1967~1968年)のときも実相寺監督について語っていただきましたよ。

『怪奇大作戦』も彼なんです! 

――実相寺監督は24話のうち、手掛けているのは4話ですが、それでも「支えていた」くらいの存在感があったわけですね?

ファンにとっては、まさにそうです。『京都買います』(25話)や『呪いの壺』(23話)とかね。『呪いの壺』は最後に京都の寺が炎上するんだけど、私はこの映像にも驚いた。『怪奇大作戦』というか実相寺監督の影響で、実はぴえろ時代に本格的なロボットシリーズを考えたこともあるんですよ。

――どんな作品だったんですか?

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