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薄明かりの絵画・手動で再開

希望

ジョージ・フレデリック・ウォッツ《希望》1886年、テート・ブリテン

3月より、毎月100ドルを支払わないとtwitterでbot機能が使えなくなり、薄明かりの絵画のbotは停止せざるを得なくなりました。フォローしていたbotも、軒並み、ツイートを停止してしまいました。プログラマの夫が調べてくれましたが、自分でプログラムを書いても解決はできず、お金を払うか、手動にするしかないようです。また、twitterとは関係がありませんが、とあるきっかけで数年に一度のしょんぼりモードになって、twitterはサボっていました。「しょせんはSNS」という思いもあり、このまま無期限で停止しようか、と思っていました。そんな時に、リアルの知人に「ツイートが止まっているけど、大丈夫なの。きっと10万フォロワーが心配しているよ」と言われました。まさか10万フォロワーが心配しているとは思いませんでしたが、そう言って下さった方にはご心配をおかけしたくありませんでした。フォロワーを増やしたい、注目を浴びたいなどではなく、ただ、美しいものを届けて、喜んで頂くのが嬉しくて、絵画の紹介をしていました。その上、ありがたいことに「辛い時に薄明かりの絵画に慰められました」という趣旨のコメントを多数、頂いていたのでした。絵は、私が描いたわけでもありませんし、辛い思いをしている見知らぬ方に私ができたかもしれないことなど、僅か以下ですが、それでも、何かしらポジティブに持って行くお手伝いができたのであれば、無意味とはいえず、自分のしょんぼりに沈み込むのは誠実ではないように思いました。

薄明かりデータベース

データベースの画像の一部

Botの時は、画像も整理せず、必要になったら都度、Wikimedia Commonsからダウンロードして使っていました。タイトルや画家を調べたくても、すぐには出てきません。フォルダ容量もオーバーしそうです。仕事では、会社で締結した全ての契約書の電子データ約1,000件をデータベース化し、瞬時に取り出せるように管理しているのに、私生活でこの有様です。

Botは諦めて、手動にするのであれば、まずは全てのツイートを整理する必要があります。自分の過去のツイートから画像をダウンロードし、それでは足りないので、テーマに沿う、新しい画像も探して、数百件を追加しました。過去のツイートで、解像度が低いものや、ピンボケ、テーマに合わなさそうなものなどは、廃止しました。

データベースの画像の二部

1,000件を超える画像と、ツイートのデータベースを作りました。1,000件の中から、1日1,2件、向こう3か月分をツイート予約しておきます。予約もそこそこ手間なので、ツイートの頻度は下げました。1日1件>完全停止ということにします。

薄明かりの絵の探索

カール・カルス《月夜の画架》1826年、カールスルーエ美術館

絵は、どうやって探すのですか、というご質問を頂くことがあります。

  • moonlight paintingや、dusk paintingなどのキーワードで検索すると、そのテーマのページに飛ぶ。好きな絵を保存

  • 好みの画家を知ったら、画家名で検索

  • 周辺の画家を検索

薄明かりを感じる画像は、必要な書誌情報とともにとりあえず、保存しておきます。ツイートするかどうかは、その時に決めます。面倒なのは、タイトルが英語、ドイツ語以外の外国語で書かれている場合です。都度、google translateで翻訳して、それらしい和訳を付けます。地名や固有名詞に苦労しました。地名であることが分かっても、読み方が分かりません。1件、画像を保管し、データベース登録するのに、5分程度、要します。5分*10件で50分であれば、対応できます。5分*100件=500分、報酬なしにやるのはきつい(ないですが)です。1,000件やるのは、ちょっと正気の沙汰ではなく、普通はやりません。でも、私が一番、薄明かりの絵画集を見たいですし、この気が狂いそうな作業をしている間は「しょんぼり案件」のことは忘れられるので、集中的に作業しました。

季節を意識

高橋松亭《雨のまくらばし》1910年代

Botの時は、季節外れの画像をツイートすることがよくありました。手動にして、ツイート内容をコントロールできるようになったので、時宜にかなったものをツイートします。そのために、画像データに、相応しい季節やテーマをタグ付けしました。画像のタグ付けで分かったことがいくつかあります。例えば

  • P.S.クロイヤーは晩夏の画家。

  • 海の絵は、殆ど季節が分からない。

  • ジョン・アトキンソン・グリムショーは11月の冬木立が大好き。細部が微妙に異なる、よく似た絵が多い。

  • アドリアーン・コールテはスグリとアスパラを主食にしていた模様。

  • クロード・ロランは夏の画家。

  • ヴァレリウス・サードリールは一に雪景色、二に雪景色、三、四がなく五に雪景色。

  • 新版画は雨の絵が多い。

  • 西洋の花火の絵は、日本の花火と全然違う。火事っぽい。

薄明かりの絵を1,000も集めて悦に入っていましたが、1枚1枚をよく見ていませんでした。タグ付け作業は、画家の特徴を知ることにもつながり、楽しかったです。

でも、一番うれしかったことは

レオン・ボンヴァン《ワスレナグサ》1863年、ウォルターズ美術館

「10万フォロワーが心配しているよ」と仰った方が、「twitter再開したんだね。『いいね』がたくさんついて、フォロワーもまた増えて、良かったね」と言って下さったことでした。

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