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母親を憎んでも幸せになれます

幼少期に母親から否定されたりありのままの姿を責められたりすると、その傷が大人になっても疼いたままになります。母親に対する負の感情を見つめませんと、恋愛関係でもそのほかの人間関係でも、過去のトラウマがベースとなるため、恐れやうまくいかない事が多くなってしまいます。

母親に対する憎悪や嫌悪感について対峙すれば、誰もが自分らしさを大切にしながらありのままに生きることができるようになります。


1.ご質問

私は、幼い頃から母に否定やダメ出ししかされず、認められず、信じてもらえず、話をほとんど聞いてもらえず、感情の共有がほとんどできず、それが36歳になった今でも続いています。(母はそんなことないと思っているようですが)特に、父と私には当たりがキツく、妹にはそこまでキツくない感じがします。

自分と向き合うことをここ10年程続けてきたので、少しずつ自分のことを認められるようにはなってきました。
ですが、母に会ったり話したりする度に傷つけられるので、私もキツい態度や言動をしてしまいます。母に直接気持ちを伝えることをしたこともありますが、相手にしてはもらえず「あなたの思い込み、考え過ぎ」と流されるだけです。

少しでも関係性を変えていかなければと、距離を近づけようとする度に、大きく蹴り落とされてしまう感じがします。
不謹慎かもしれませんが、母なんて居なくなればいいのにと思ってしまうこともあります。

母を変えることはほぼ不可能だということは分かってはいるのですが、何かヒントが1つでもあれば教えて欲しいです。

2.回答

(1)大人になってから親に対しての感情

「母に会ったり話したりする度に傷つけられる」と書いてくださっています。こうなる理由は、心の深層に子供の頃に受けてしまった傷や悲しみ、怒りや憎しみが残ってしまっているからです。

この深層にある子供時代の痛みや傷に対峙しませんと、大人になってからも無意識に影響してしまいます。

思考の力で「親に感謝しよう」「親と良い関係にしよう」と思っても難しいです。なぜならば、思考の力よりも深層に刻まれた痛みや傷の力のほうが圧倒的に影響力が大きいからです。相手を目の前にしたときに、思考の力が5~10%、深層に刻まれているパターン(傷や痛み)の力が90~95%の影響を与えます。

ですから、まずは「大人になってから親に対しての憎しみや怒りは、子供時代の傷や痛みが影響しているのだ」と理解することが大切です。

(2)すべての感情を許していい

大人になってからの感情は、子供時代の痛みや傷が関係しているとしたら、大人になってから湧いてくるどんな感情もありのままに出していいのです。なぜならば、今のあなたが感じている感情を知ることで、「私は子供の頃にこんなに辛かったのだ」と理解してあげられるからです。

「母なんて居なくなればいい」という気持ちもありのままに出してあげてください。抵抗せずに、親に対してそう思ってはダメだと思わずに。怒り、憎しみ、許せない、攻撃したい、言い返したい、会いたくない、大嫌い、近くにいてほしくない等、どんなにネガティブな感情も、あえてそのまま感じてみてください。そして一つ一つ「子供の頃に、そんな辛さの中で生きてきたのだね」と、子供のあなたに共感してあげてください。子供のあなたはあなたの心の中にいますので、ぜひ小さなあなたをイメージしながら感情を出してみてください。

(3)母親がなぜ嫌なことをしてきたのか

子供は愛する母親にありのままを認めてもらいたいと願います。まだ小さな幼子は、心も身体も発達していないため心の拠り所が自分の内側にありません。そんな幼子にとって安心できる心の土台は、母親の存在です。ですから、母親に認めてもらい、信じてもらい、ありのままの自分を受けとめてもらいたいと願います。

では母親はなぜ子供にそうすることができないのでしょうか。

実は、あなたが憎む母親は、母親なりにあなたを認め、あなたを信じて、あなたのありのままを認めようと必死に子育てしていました。その、一生懸命な子育ての結果、あなたを深く愛していたのにもかかわらず、子供のあなたが親を憎むような関わりになってしまったのです。

つまり「意図的に」ありのままを愛さなかったり、話を聞かなかったのではなく、精一杯の愛情を向けた結果があなたが苦しむような子育てになってい
たということです。

(4)母親が子供を認められない理由

精一杯の子育てをしているのに、子供にとっては酷い扱いになってしまう理由は二つつあります。

まず一つは、母親が劣等感と罪悪感で心が辛すぎるからです。親も親になったからと言ってパーフェクトな人間になれるわけではありません。親になって子供を授かっても、心の内側は簡単に変わりません。

母親が幼少期に、自分の親からありのままを認められず話を聞いてもらえなかった場合。母親の心も自己否定感や劣等感でいっぱいになります。子供を授かってからも、その痛みや傷は変わりません。

ということは質問者様のお母様も「幼い頃から母に否定やダメ出ししかされず、認められず、信じてもらえず、話をほとんど聞いてもらえず、感情の共有がほとんどできず」という幼少期を送ってしまい、大人になってからそんな心がボロボロの状態で子育てをしていたということになります。

子供から見て母親が心に傷を負っているとは見えませんよね。母親は完璧な人のように見えてしまいます。そんなパーフェクトであるはずの母親が、まさかボロボロの心で自分に接しているとは分かりません。ですから、母親が話を聞いてくれない時に「お母さんも心に傷がいっぱいで辛いのだ」とは思えずに、「私が愛されていないのだ」と受けとめてそれが心の痛みになってしまいます。

もう一つは、母親が子供に嫉妬する場合です。「親が子供に嫉妬する?」と思うかもしれませんが、実は頻繁に起き得ることです。なぜならば嫉妬とは、思考で考えて起きるものではなく、心が勝手に反応してしまうものだからです。

子供は純粋でわがままで、ありのままに生きています。その子供にしかない才能や輝きがあります。親子という関係性は関係なく、人は自分に無いものをもっている相手に嫉妬します。また母親が父親からの愛を感じていなかったり、父親に話を聞いてもらえないこともあります。そうすると、父親が母親をかまうよりも、子供を愛する態度を見ることでも母親は我が子に嫉妬するのです。

「父と私には当たりがキツく、妹にはそこまでキツくない感じがします」とは、母親が自分の夫(父親)から欲しい愛情を貰えていないと考えられます。だからキツくなるのです。また妹さんにそれほどキツくないのは、母親にとって妹さんよりも質問者さんのほうがより脅威の相手(父親を取られる、自分(母親)よりもいい物を持っている)に見えたのでしょう。

妹さんはお母様にとって自分の存在を脅かす子供ではなく、長女である質問者さんのほうが、無意識にも嫉妬してしまう相手だと考えられます。

まとめますと、お母様は質問者様が嫌いでひどいことをしていたのではなく、①自分(母親)も劣等感や自己否定感でいっぱいいっぱいの中、精一杯の子育てだった、②嫉妬してしまいそれが態度に出てしまった、ということです。

お母様にとっては、傷ついて心が痛みだらけの中、精一杯に子育てしていたので「あなたの思い込み、考え過ぎ」としか思えないということです。お母様からみれば、ボロボロの中で毎日毎日、どんなに辛くても一生懸命子育てしたつもりだからです。

(5)母親や家族に対する信念(脳内ルール)

私たちは一人一人が自分なりの信念(脳内ルール)を持ち、それによって相手を判断します。その脳内ルールは家族はもちろん、自分が住んでいる国や地域、社会の影響も受けます。

日本は特に「母親は子供を愛するべきだ」「母親は子供のありのままを認めるべきだ」という考えが昔から強いです。

確かに母親がそのようにできればいいのですが、母親が置かれた環境や心身の健康状態、経済状況、母親の幼少期のトラウマなどにより、それが難しいこともあります。

しかし「母親が子供を愛するべきだ」という社会的な固定観念がありますと、母親は誰にも相談できなかったり、誰にも助けてもらえなかったりして一人で頑張ることになります。どんなに頑張っても「母親なのだから子育てで疲れるのは当たり前」とみなされてしまい、周りの協力も得にくくなります。そうすると母親が子育てしながら、さらに心の余裕がなく、さらに自己肯定感が下がり劣等感を持ち、そのストレスが子供に向けられてしまうことがあります。

子供の頃は信念(脳内ルール)について意識できませんが、大人になってから私たちは自分の信念(脳内ルール)を変えていくことができます。自分が普通だと思っている脳内ルールは、絶対に正しいということはないのです。なぜならば国や時代が変われば信念(脳内ルール)は変わりますし、辛いルールをもって辛い毎日を送るなら、自分を楽にするような信念を持ったほうが自分のためだからです。

大人になってから、母親に対してこんな信念(脳内ルール)にしてみてください。

「母親は子供に否定してくることもある。母親の劣等感がそうさせてしまう。母親が子供を否定しても愛していないということではない。むしろ愛しているから否定やダメ出しという方法をとってしまう」

「母親は子供を認めなくても普通のこと。大人もパーフェクトな人間ではない。自分も誰かを認められないこともある。母親が自分を認めなくても、愛していないということではない」

「母親が子供を信じないのは、母親が自分のことを信じられないから無意識に子供のことも信じられなくなる。母親も自分の母親(質問者さんから見れば祖母様)に信じてもらえなかった傷と今も戦っている。信じないのは子供を愛していないからではなく、心の傷で無意識にそうなってしまう」

「母親と感情の共有ができないことも普通のこと。家族で血が繋がっていても、全くの別人格だから。感情の共有をできなくても、母親が子供に愛がないということではない」

ぜひこちらの信念(脳内ルール)でお母様と接してみてください。

驚くかもしれませんが、このように自分が脳内ルールを変えたら、なんと母親の態度も言動も少しずつ変わり、こちらを認めたり話を聞いてくれるような母親に変わっていきます。

(6)母親もただの女性

「お母さんは私を受けとめてくれる」「私を100%認めるべきなのが親」と思っているのは、特に日本人はその意識が強いです。昔から家族を大切にすることが美徳とされていますし、「父親が外で働き、母親は家事や子育てを行う」と古くから日本では思われていたところがあります。

しかし時代は変わりました。女性が働いたり、自分の好きなことをしたりすることも普通になってきました。子育てや家事も、女性だけが担うものではなく、男女一緒に行うべきだという考えも主流になりつつあります。

諸外国では父親も当たり前のように家事や子育てを行うところもあります。また母親だけではなく、地域全体で子供に愛情を注ぐと考えている地域や村もあります。

ということは「日本的な家族観、母親観」から母親と接するのではなく、柔軟に自分の信念(脳内ルール)を変えたほうが、自分が母親や家族という概念から幸せになります。そして、柔軟な脳内ルールを持った方が、逆説的ですが、お互いに「○○べき」というフィルターを通して相手を見なくなりますので、家族や親子の繋がりが深くなり、より心地よい関係性を持てるようになります。

私も脳内ルールに苦しめられていました。母親が大嫌いで、消えて欲しいと憎んでいました。

しかし、ここまで書いたことを理解してから私の脳内ルールは以下のように変わりました。これは母親を無理やり好きになったり、無理に感謝したりということではありません。母親を嫌いなら嫌いなまま、憎いなら憎んだままでも大丈夫です。

ただ「母親を見るフィルターを変える」「客観的な事実だけを認める」をやるだけでも、今までとは母親の見え方が変わります。

「母親も自分と同じで不完全な一人の女性である。恋愛したり勉強したり、上手くいかないこともある。だから上手に子供を愛せなくても普通のことだ」

「母親もいっぱいいっぱいで辛い中私を育てていた。私は母親が大嫌いだったが、母親はご飯を食べさせてくれたり看病してくれたりしていた。母からの愛情は感じられなかったが、私が大人になれたということは、母から愛の言動があったからだ」

「母がもし乳幼児だった私から目を離したら、私は道路に飛び出したり、危険なところに入って事故などにあっていたかもしれない。今があるのは、母親が目を離さないで見ててくれたからだ」

母親に優しくしたり仲良くしようとしたりしなくてもいいのです。自分のフィルターだけ変えてみてください。

(7)お互いにありのままでいい

「母親と少しでも関係性を変えていかなければと、距離を近づけようとする」も、変えなくていいことにしてみてください。

「親子で仲が悪いままでもいい」
「親子で分かり合えなくてもいい」
「親子で理解し合えなくても普通」
「距離が離れていてもいい」
「大人になったので、親子の関係に時間を使わなくてよくて、お互いに好き勝手生きていい」

ある国のある地域の外国の方に聞いたのですが、子供が18歳になれば親とは別居するのが普通だそうです。日本のような二世帯住宅が信じられないと言っていました。つまりそれぐらい家族観は地域によってことなりますから、自分が普通だと思っている信念に縛られなくていいということになりますよね。

そしてその外国の方は、親子ではあってもお互いにやりたいことをやって、干渉しないそうです。時々の行事で集まるときだけ楽しく過ごし、それ以外の時間は自分の生活を大切にして、親子の関わりも少ないそうです。でもそれが幸せだと教えてくれました。

日本の古くからの考えも大切にしつつ、ありのままの自分が自由に、そして心豊かに生活できる信念(脳内ルール)を使えたらいいですよね。

3.自分を愛すれば家族も変わっていきます

母親を憎む気持ち、嫌いな気持ち、そばにいてほしくない気持ち。それらを否定せずに、ありのままに認めてあげてくださいね。

そして心の中にいる子供の自分に「辛い環境でよく頑張って乗り越えてきたね」と伝えてあげてくださいね。

そしてこれからは、母親から欲しかった愛情は、大いなる宇宙があなたに届けてくれます。

ですからもし母親にしてほしいことがあれば、これからは宇宙にお願いしてみてください。きっと宇宙はこたえてくれますし、あなたのすぐそばであなたの願いを叶えてくれます。

大いなる宇宙をイメージして、宇宙と対話してみてくださいね。

母親との関係性で悩むことは自分の深層を変える素晴らしい機会です。母親が見せてくれている心の傷や痛みを、今のあなたが気づいてあげて、大人のあなたが宇宙と一緒に癒してあげることができます。

そしてこの機会に脳内ルールも変えることができれば、親子関係だけではなく、恋愛や友人や職場の人間関係など、あらゆる関係性が心地よくなります。

「母親から卒業してありのままの自分を生きていい」
そう何度でもご自分に言ってあげてくださいね。

そうすることであなたも幸せになり、なんと母親に働きかけなくても母親まで幸せになります。宇宙を信じてご自分の深層と対峙してみてください。


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