T.Inohiza

アメリカ野球学会機関紙(Baseball Research Journal 2014)…

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アメリカ野球学会機関紙(Baseball Research Journal 2014)に、Twisting Model(捻りモデル)を発表。従来の野球モデルRotational Modelに代わる新しい野球理論、捻りモデルの視点から、主に野球動作について考察します。

最近の記事

第四十八回 超高性能カメラは何を見たか?(2024年1月15日)

気のせいか今年は、いつになく打撃フォームの改造や動作解析の話題が多いように感じます。前回ライオンズのテーマに続き、今度はジャイアンツの門脇選手の鹿屋体育大学(National Institute of Fitness and Sports in Kanoya)での試みについての記事を見つけました。日刊スポーツ配信の短い記事ですが得られたデータとその取扱いによっては、更に発展していく可能性があると考えるので、なぜそう考えるかも含めて紹介しようと思います。 「巨人」門脇誠が16

    • 第四十七回 ライオンズのデータ野球革命(2024年1月11日)

      Number Webから大変面白い記事が配信されました。広尾昂というライターが書いたもので、この記事からだけでも日本野球がどの様な方向に変化しているのかわかる内容だと思います。 例によって捻りモデルの観点から、勝手な推測を書いてみようと思い立ちました。なかなか衝撃的なタイトルです。 記事のURLと、リンクが外れても良いように、面白いと思う箇所の画像を添付します。 「根拠のない昔ながらの指導」プロ野球コーチは淘汰される? 1.選手の指導方法にどのような根拠があるか? 記事の

      • 第四十六回 A SOCIETY TOO FAR/ びわこは遠かった(2023年12月7日)

        1.びわこは遠かった 2023年12月2日から、びわこスポーツ大学で開催された日本野球学会第一回大会に参加すべく準備して出発したのですが、道中でインフルエンザを発症。紅葉の始まった山々と湖、びわこスポーツ科学大学を横目に、大会に参加できず帰ってくることとなりました。 まずは関係者の皆様に大変ご迷惑をお掛けしたこと、お詫び申し上げます。 このままでは申し訳なくまた残念でもあるので、学会で話そうとしていた内容をせめてnoteで発表することとしました。参加者との会話を一番の楽しみ

        • 第四十五回 バッファローズ vs マリーンズ, 何が違うのか(2023年10月21日)

          今シーズンのパ・リーグの試合を見ていると、バッファローズのチーム力が頭一つ上と言うのが一般的な意見でしょう。しかし具体的に何が違うと2位と18ゲームも差が出るような違いが出てくるのかという問いに答える報道や意見は、あまり見当たらないように思います。 そのようなわけで、ここでは捻りモデル研究の立場から客観的に、誰にも観察できる力学的な違いについて書いてみようと思います。 パ・リーグのファイナルステージで、かなり違いがはっきしている両チームのバッティングの違いについて見てみましょ

        第四十八回 超高性能カメラは何を見たか?(2024年1月15日)

        • 第四十七回 ライオンズのデータ野球革命(2024年1月11日)

        • 第四十六回 A SOCIETY TOO FAR/ びわこは遠かった(2023年12月7日)

        • 第四十五回 バッファローズ vs マリーンズ, 何が違うのか(2023年10月21日)

          第四十四回 元首位打者 チャーリー・ブラックマンが語る(2023年7月4日)

          ロッキーズというチームは、私には馴染みがなくCharlie Blackmonという選手も知りませんでした。この選手について、6/24にスポニチアネックスから、よくこんな記事を配信してくれたと思うような記事が配信されていたので、記事を紹介すると共にブラックマン選手が何を語ったのか考えてみようと思います。 「ローンチアングル」、「バットスピード」への意識変化、元首位打者ブラックマンが語る 原文は、この六年の間にいかにピッチャーの攻め方が変わってきたかについてなど、より臨場感の

          第四十四回 元首位打者 チャーリー・ブラックマンが語る(2023年7月4日)

          第四十三回 バッティングフォームのチェックポイントについて (2023年6月13日)

          「大抵の人は、自分の見たいと思うものしか見ないものだ」とは、遥か昔から言われてきたことですが、これは常に気を付けていないと自分にも当てはまります。 選手のバッティングフォームを観察する上でも、「捻りモデルのメカニクスが、広まりつつあるはずだ」というような希望的な目線で観察してしまうと、できるだけ客観的な視点で観察しようと気を付けていても自分に都合の良い動きばかりが目についてしまうものです。 それでも、特に最近活躍し始めている若い選手達のバッティングフォームを観察していると捻り

          第四十三回 バッティングフォームのチェックポイントについて (2023年6月13日)

          第四十二回 Daveがカーブを投げなければ (2023年5月22日)

          Dave Baldwinの最初の質問は、「ジャイロボールについてどう思うか」というものでした。当時は、松坂大輔がジャイロボールという魔球を投げると話題になっていた時期で、同じ日本人として私が、何か力学的知識を駆使してジャイロボールについて一席ぶつと期待したのかもしれません。 しかしDaveは、「ジャイロボールというのは存在しないと思う。あれはスライダーだと思う」という私の回答が気に入ったようでした。 このハンサムな投手がDave Baldwin。 Daveは若い頃は、速球

          第四十二回 Daveがカーブを投げなければ (2023年5月22日)

          第四十一回 吉田選手の小さな修正 (2023年4月26日)

          今日の試合で、レッド・ソックスの吉田選手は6試合連続安打を記録し、休場前に1割台に落ち込んだ打率が、2割7分8厘まで回復してきました。 復調のカギは、打撃フォームの修正にあったという記事が散見されるようになりました。 [MLB] 吉田正尚がメジャー移籍後初の3安打 打撃フォームの見直し成功 東スポWEB (2023年4月25日) この東スポWEBからの抜粋です。 「試合後、「打球の質、見え方、自分の中で、これっていうのはあったので、そこですっきりって言ったら変だが、夜の

          第四十一回 吉田選手の小さな修正 (2023年4月26日)

          第四十回 WBC 2023-ヌートバー選手のパワーアップとか (2023年3月31日)

          WBCのタイトルを獲得した日本代表チームは、決勝においても技術とパワーで米国チームを押し込んだだけではなく、チームワークや試合後の振る舞いにおいても高いレベルで存在感を示し、日本人として大変誇りに思いました。思い返せば30年前、私が捻りモデルの研究を始めたころは、日本の選手やマスコミだけでなく総じて日本人全体が「日本人はパワーがない」と思い込んでいたと思います。一方で力学的に非力な動作を理にかなっていると思いこみ、身体が大きく力のある選手であっても「回転モデル」に基づいた非力

          第四十回 WBC 2023-ヌートバー選手のパワーアップとか (2023年3月31日)

          第三十九回 捻りモデルから考える保守思想 (2022年12月10日)

          選手を育てるノウハウについて考えてみようと思っていましたが、そうこうしているうちに気が変わり、以前経済について書いた時のように、中高生の読者も想定した、捻りモデルと保守思想をむりくり結び付けた記事にチャレンジしてみようと思いました。伝統的な丸坊主で試合に臨む高校球児たちは保守の卵に違いありません。 また保守としての考え方は、メディアが次々と垂れ流す偏った情報に振り回されず、ストレスを軽減してスポーツを楽しむ助けになるかもしれません。 1. 保守主義とは何か 多くの日本人は、

          第三十九回 捻りモデルから考える保守思想 (2022年12月10日)

          第三十八回 2022年パリーグの風景/柳田選手の変態打ちとは何か (2022年10月19日)

          今年のシーズンも終わりに近づきました。選手の方々に感謝するとともに、例によって「捻りモデル」の観点から、パリーグの全体的な印象を書くところから始めようと思います。 1.概況 今年は、パリーグのチーム全体に捻りモデルのメカニクスが受け入れられた年だったと思います。どれほど客観的に見ても、明らかに第五回で紹介したような従来の「身体を開かずバットのヘッドを立ててダウンスイングする」の打ち方がほとんど見られなくなり、捻りモデルのメカニクスに沿った打ち方をする選手が増えてバッティング

          第三十八回 2022年パリーグの風景/柳田選手の変態打ちとは何か (2022年10月19日)

          第三十七回 筒香選手の腰痛対策 (2022年8月12日)

          今回も予定を変更して、打撃動作について書く事にしました。 今年はパリーグTVばかり見ていることから、あまりMLBの選手をチェックしていませんでしたが、幾つかの打席を見た限り、筒香選手の今年の打ち方そのものに大きな変化はないものと思っていました。結果が出ていなかったことについては、怪我の影響について報道されていたこともあり思い切ったスイングができなかったのだろうと、推定してましたし、今現在も勝手にそのように理解しています。 AERAに、怪我の状況を比較的説明している記事があっ

          第三十七回 筒香選手の腰痛対策 (2022年8月12日)

          第三十六回 マイク・トラウトのirritation-イライラまたは炎症(2022年7月29日)

          Irritationという単語に、炎症という意味があることは知りませんでした。 このところ休みがちだったMike Troutですが、Angelsから、肋骨脊柱の不具合で、今後プレーを続ける限りつき合っていかなければならないだろうという発表がなされました。(Trout has a rare condition in his back -- costovertebral dysfunction at T5 -- that he will likely have to manage

          第三十六回 マイク・トラウトのirritation-イライラまたは炎症(2022年7月29日)

          第三十五回 翔平グリップ vs 誠也グリップ (2022年7月20日)

          今年からパリーグの試合を観ることが多くなったので、今回は久しぶりにNPBの試合を観ていて目についたところを書いてみようと思います。 10年前、20年前と比べて、とにかくピッチャーの球が速くなりました。 球速150km/h超えは当たり前で、それに加えて鋭いスライダーやフォークボール、チェンジアップが加わり、日本のピッチャーのレベルは本当に高くなったと思います。 打者はどうかというと、選手たちが意識しているかしていないかは別として、第五回で説明してるような、従来の「壁を作って

          第三十五回 翔平グリップ vs 誠也グリップ (2022年7月20日)

          第三十四回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part5 (2022年6月11日)

          前回は「受験生のポーズ」を例に、悪い姿勢を長時間続けることで猫背や巻肩が生じるという仮説についてお話しました。引き続きこの仮説が正しいと仮定して、巻肩を治す方向に働くと思われる運動をご紹介します。 私が言う巻肩は、ざっくりとした言い方ですが猪首とかBuffalo humpといわれ、一般に首が短くなり猫背をともなう歪みを指してます。 今回は、このBuffalo humpを治す方法についてです。 まずは巻肩という歪みが生じるという現象について考えてみましょう。 具体的に「受験

          第三十四回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part5 (2022年6月11日)

          第三十三回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part4 (2022年6月4日)

          今回は、上半身(骨盤より上の部位とします)の歪みについて述べてみようと思います。 せっかく大きな股関節可動域を構築して速球を投げられるようになっても、上半身に歪みが生じていては、下半身(骨盤を含めた股関節から下とします)を中心に発生させた体幹歪みの応力が、胸を張って、肩から肘を安定して引っ張ることができません。その結果コントロールが乱れたり、ボールがシュート回転したりといった現象に悩まされることでていると考えます。 走力にも影響が出ることもあるでしょう。 歪みがいつも一定で

          第三十三回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part4 (2022年6月4日)