早いもので「路草コミックス編集部日誌」も、もう２巡目。自分の文才のなさに頭を抱えた１回目……そうだ、前イベントのレポート記事を書いた時に確認のために文章を送ったら、「この本おすすめです」とやんわりご紹介いただいた「作文のうまくなる本」を読めば変わるかも……と思いつつ、今この文章を書いています、路草編集部の佐藤です。
……あやき先生、愛と情熱だけは負けませんので！！（片目で見てください）

そうです、本日お話しさせていただくのは、現在路草で大人気連載中のあやき先生作『べんりなふたり』です。

あやき先生ことあやきさんの作品と出会ったのは、2022年5月12日。
いつものようにピク●ブで「新しい作品と出会えないかしら〜〜〜」と思いながらクリックアンドスクロールを繰り返していた時です。

ある作品から目が離せなくなりました。

読み始めたら最後、主人公と一緒に顔をしかめたりムッとしたり、くすっと頬がゆるんだり目頭がぐっと熱くなったり。作品のなかで私は当事者となり、主人公と感情を共有していました。
あやきさんの、『かかわった方の人生』という作品を読んだ時です。

主人公は剣道部に所属する中西くん。中学の進路希望用紙をぐしゃぐしゃに保管してしまうような男の子です。一方、名前がほぼジャイアンなクラスメイトの幸田武くんは、お菓子づくりが趣味の温和な男子生徒。同じクラスでもコミュニティのちがう彼らの接点はほぼありませんが、お菓子作りが趣味で将来はパティシエになりたいという幸田くんのことを「男のくせに女子みてえ」と、クラスメイトがふと発した言葉に、中西くんが「『男らしい』ってなんだろう」と立ち止まることから、物語はスタートします。

「男らしさ」という漠然としていて、だけど大きく存在しているこのイメージ。言語化の難しいこの概念と中西くんの気持ちに焦点をあて、思春期の悩みや戸惑い、思いを丁寧に掬い取った本作に、私は完全にノックアウトされました。

2022年5月12日。今確認したらその日は木曜日で、今日から302日前でした。その日に、私はあやきさんに「ぜひ路草での連載をご検討いただけませんでしょうか」とオファーメールをお送りさせていただきました。

『べんりなふたり』連載へ

あやきさんが現在路草で連載している『べんりなふたり』も、ふたりの男の子が主人公の物語です。

緑豊かな山間部で移動スーパーを営む悠馬は、ある日小学生の頃に突然姿を消した親友・陸斗と再会します。
近所のおじいちゃんからひょんな「依頼」をされたことをきっかけに、町の人々から様々なことを頼まれるようになるふたり。依頼主の愛するニワトリを守ったり、女子高生から父親の浮気調査を頼まれたり……。たくさんの町の人々と関わるなかで、なにやら訳アリな陸斗の過去も明らかになってきてーー。再会からはじまる成長の物語です。

いわゆる「田舎」を舞台にした本作。毎話登場する個性豊かな登場人物も大きな魅力です。

依頼主に寄り添い、様々な依頼を解決していく悠馬と陸斗。
3月22日更新の第5話では、いよいよ陸斗の過去に迫っていきます。前編となる第4話も現在公開中です。

『べんりなふたり』第1巻　絶賛単行本準備中！

実は現在、あやきさんと『べんりなふたり』第1巻の単行本作業を進めています。どういったカバーにするか、デザイナーさんからご提案をいただきながら、打ち合わせを重ねています。　※カバー…単行本の「顔」となる表紙のこと

そのデザイナーさんとの初めての打ち合わせの際。あやきさんが本作について、こうお話してくださいました。

「絵柄からほのぼのとした印象をよく抱かれるのですが、実はしっかり人間関係を描いている作品です」

この言葉を聞いた時、「ああ、まさしく」とハッとしました。
言語化のしづらいキャラクターの感情の流れ、それによる他者とのかかわり。私があやきさんの作品を好きになった『かかわった方の人生』から、あやきさんの「芯」は変わっておらず、「だから私はあやきさんに路草での連載をお願いしたんだ」とその言葉を聞いて再確認し、こっそりジーンとしました。

単行本は5月の発売を予定しています。陸斗の謎にも近づき、物語はますます加速します。
ぜひ、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

☆『べんりなふたり』はWebコミックメディア「路草」にて連載中！☆

1話はこちらから↓　『べんりなふたり』は毎月第４水曜に更新しています！

■著者プロフィール

あやき
2017年デビュー。本作が初連載作品となる。うどん好き。
Twitter @kaerimaasu
pixiv あやき

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