出版社トゥーヴァージンズ(TWO VIRGINS)
本と仕事と人にまつわるあれこれを発信します。
日本で唯一のブルース/ソウル/ゴスペルの音楽専門誌『ブルース&ソウル・レコーズ』の公式noteです。トゥーヴァージンズnoteへ移動しました!
トゥーヴァージンズ発の新たな連載メディアです。 本線(本来の道)とは別の“もうひとつの道”。 そんな脇道にふと入っていった先に、 まだ見ぬ言葉や文章、景色との新たな出会いがありますように。 エッセイ・散文を中心として、各連載、毎月1回更新していきます。 (メインビジュアルはカヤヒロヤさん作)
本と仕事と店主についての 8問8答 1 オープンから 約半年、率直な感想は? 編集、仕込み、発注&仕入、接客、イベント開催、事務処理……とにかく時間が足りません! 2 仕事の必需品は? ノートパソコンとデヴィッド・ボウイのマグカップ 3 最近気になったニュースは? 旧優生保護法で強制不妊化の被害にあった名古屋の夫婦が国に損害賠償を求めた裁判で、名古屋地裁が原告の訴えを認めたこと。強制不妊化の被害者は高齢であり、優生保護法問題は一刻も早く政治的早期・全面解決するべき
創刊30周年記念特集は、19世紀終わりの誕生期から現在まで、ブルース120年の歩みを重要トピックと140枚以上のアルバムでたどります。 ★ 大地に響くブルースの産声〜フィールド・ハラー/ワーク・ソング ★ ブルース誕生期のにぎわい〜ラグタイム/ジャズ ★ クレイジー・ブルース〜女性ブルース・シンガー ★ カントリー・ブルース市場開拓 ★ 広大なテキサス・ブルースの世界 ★ ミシシッピ・デルタ・ブルース ★ 地域ごとに聴く楽しみ ★ ギター伝道師と説教レコード ★ 合奏でブル
存在とは、言い換えると情報のこと。 存在感があるとは、つまり情報量が多いことなのだろう。 例たとえば、絵画の展覧会に行くとする。 行こうとする人は、案内ハガキの住所を頼りに、そこを目指す。 「そこ」は、まず文字情報でしかない。 文字情報と認識する前は、単なるインクの染み、視覚情報であった。 文字情報を信じ、ベクトルを定め歩きだす。 ハガキの地図に印刷されている小さな通りに入った。 選択肢が狭まり、つまり位置情報の解像度が増し、真実味、いわゆるリアリティーが濃くなった。
先日渋谷に行って確信した。服は流行っている(これマジ)。 以前何かのテレビ番組で「今年はパンが来る!」というコーナーをやっていて「来っぱなしだろ」と思ったことがあるが、去年あたりから「服」が来ている。これは間違いないだろう。 服だって来っぱなしだろ、と思ったそこのあなた。それって本当に服が来ていましたか? 色が来ていただけじゃないですか? (無茶苦茶な言い分でも強気で言い切られるとそうなのかなって思いますよね)。しかしこれは突拍子もないことを言おうとして言っているわけでは
はじめまして。2023年6月、茨城県つくば市に「本と喫茶 サッフォー」をオープンした山田亜紀子と申します。サッフォーは、都心から離れた大型書店では見つけにくいジャンル(主にフェミニズム/ジェンダー/福祉)を中心に、絵本から学術書まで幅広く選書している街の小さなブックカフェです。 アニエス・ヴァルダの映画に出会ったことがきっかけでフェミニストになり、お店を始める前は出版社の編集者、その前は独立系書店の書店員としてフェミニズム関連の書籍を売ったり、作ったりしてきました。ご存じの
花火は、ケンカだ。 ケンカは、花火なのだ。 どちらも、内部情報の短時間での全暴露。 だから、人は見物する。 あの化学薬品とあの化学薬品を掛け合わせると、あの色になるのか。 つまりこの人の現恋人があの人の前恋人なのか。 一目一聴瞭然。 一年かけて、この花火大会のために仕込んだのだから。 自分の青春をかけて、恋愛をしたのだから。 コスパが高い。 見世物として、成り立つ。 花火大会では、失敗は禁物。 ケンカでは、ここでケリをつけねば一生の恥。 ゆえに、緊張感が半端ない。 そ
「『ブッダ』を繰り返し読んでいたせいで、輪廻転生の考えが染みついてしまって、だからクモを見ても、このクモがもし死んだひいおじいちゃんの生まれ変わりだったらどうしよう、って考えてしまって殺せないんだよね」 となりの席のヤマダにだけ話しかけているつもりだったがクラス全員に聞こえていたらしく、教室はしんと静まり返っていた。困惑した表情を浮かべる三十九人ぶんの冷ややかな目がわたしに向けられており、ため息や、「頭おかしい」とか「あいつはやっぱりヤバい」という声が聞こえた。ヤマダは、一
本と仕事と店主についての 8問8答 1 オープンから 6ヶ月、率直な感想は? 本屋という場所をきっかけに、いろいろな人やものごとに日々出会っています。ヨットのような小さな書店が街に新しくできて喜ぶ声を、想像以上に多くいただいたこと、著者や出版社の方が訪ねて来てくださったり、お客さんが自主制作したZINEを持ち込まれたり、嬉しい驚きもたくさんありました。店としてまだまだ作り途中ですし、やりたいことがたくさんある今、本屋という場所だから生まれる何かをこれからも大切にしていきた
脚本家っていったいどのくらいのお金をもらっているのでしょうか。脚本家に限らずあの仕事ってどのくらいの収入を得ることができるのだろう、と気になる職業はたくさんあります。例えば、箱根駅伝で活躍するような大学の駅伝部の監督さんはどのくらい給料をもらっているのだろうかとか、大道芸人の方の年収はおおよそいくらくらいになるのかとか、僕は気になっていました。脚本家の収入に関してはどのくらいの人が気になるのかわかりませんが、脚本家になりたい方は大いに気になるところかと思います。 僕の所属し
「言葉にならない」という言い方がある。 「言葉にできない」という言い方がある。 しかしその二つには、冒頭に「まだ」が付くのだ。 まだ、言葉にならない。 まだ、言葉にできない。 人生とは、新たな体験に出会い続ける旅でもある。 あれ、あんなところに猫がいる。 あれ、ここにこんな店、あったかな。 「あんな」や「こんな」は、あそこやここの既成イメージが壊れた驚き。 この人、こんなこと言うんだ。 あの人、あんなことするんだ。 それはこの人やあの人への、偏見の崩壊。 あれはあ
はじめまして。ヨットの菅沼祥平です。2023年9月に静岡県三島市で本屋を始めました。本屋を始めるまでは10数年を東京で過ごし、会社勤めをしていました。本屋になりたいという以前に、いつかは自営業で小商いをしながら暮らしたいと思っていたので、インディペンデントな店や活動に、自分なりにアンテナを張って20代を過ごしました。オルタナティブな生き方や文化を知ることは、自分にとって日々のモチベーションとなり、それ自体を誰かに紹介することにもまた面白さを感じていました。本屋はその生き方や文
友人がなか卯の「天然うにいくら増し増し丼」を激賞していた。これまで、わたしから友人にセブン-イレブンの「エリックサウス監修 ビリヤニ」や、松屋の「シュクメルリ鍋定食」を薦めたことがあった。だが、友人から布教されるのは初めてだったので、珍しいなと思いつつも、その熱量に面食らった。以下は実際のメッセージからの引用である。 都心やオフィス街でまともな丼ものが食べられる 札幌でも同じ値段で食べられないのではないか 1,690円の段階でもウニとイクラが2倍設定になる
基準とは、心拍数のことなのだろう。 歩くピッチも、話す速度も、おにぎりを握るテンポも。 我々は生身で、その要の酸素を送る血のポンプが、心臓という指揮者なのだから。 ランナーズハイとは、心拍数が多すぎる走者が見る、早送りの白い楽園である。 鬱とは、心のリズムが心拍数とシンクロしない、一人無言絶唱団のことである。 子どもは、初めて測った自分の脈が時計の秒針のカウントに近いことに、興奮を覚える。 なんで、秒針と脈の速さは似ているんだろう? それは、心拍数を基準に秒針の速度を
003. アカデミー賞なんかこわくない 後編 Edit & Text by Shigemitsu Araki あともう数時間で米アカデミー賞発表というタイミングで、この原稿を書いています。 さて、前回のコラムでオスカーの作品賞にノミネートされた女性監督の3作品『落下の解剖学』『バービー』『パスト ライブス/再会』に登場する男女の共通点として「仕事ができる女と哀れなるマッチョたち」という設定を挙げました。 女性監督ではありませんがヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるも
最近どうも寝つきが悪い。目的地の入り口がわからずにその周辺をぐるぐると周っている感覚。そもそも、睡眠というのは明日の自分を信じていないとできないから難しい。まだ会ったことも話したこともない人に「明日」という貴重な一日を任せるのが不安なのである。今日の自分が良すぎると「今日の自分を手放したくない」と思い、今日の自分が終わっていると「明日の自分も終わっているのでは」と思う。少しでもいいから「明日の自分」の面接をできる時間があればいいのに、と思う。それによって余計に眠れなくなること
006. 有坂塁 Thema 映画をDIGる 『ウディ・オン・アレン: 全自作を語る』 スティーグ・ビョークマン 大森さわこ(訳) (キネマ旬報社) 『STUDIO VOICE VOL.252 -特集:CUT UP CINEMA! 90年代東京の映画環境はどうなっているのか』 (INFASパブリケーションズ) 『80sグラフィティ』 長谷川町蔵、山崎まどか ほか (ブルース・インターアクションズ) 昔、僕はレンタルビデオ屋で働きながら、映画館でも映画を観て、映画の