見出し画像

プリセールスエンジニアにおすすめの営業本

プリセールスエンジニアのセールス入門、少し間が開きました。今回は書籍の話をします。これまでの記事はこちらです。

これまでの記事で、プリセールスエンジニアにとって、扱う製品に関する技術的な知識とその説明能力に加えて、営業と共に案件の確度を上げ、販売する製品オプションを増やし、契約までの期間は短くする能力が重要である、というお話をしました。

そのために、営業担当者の考えることや、用語にプリセールスも親しくなることは重要です。そこで、よく営業担当者に勧められている本を含め、プリセールスエンジニアにお勧めの本を紹介していきたいと思います。あなたの技術知識を、営業担当者が学んでいる商談ノウハウと組み合わせることにより、一層効果的な商談活動を行っていきましょう。

ザ・モデル

元セールスフォース、現在Japan Cloudの福田さんの本です。現在グローバル企業で主流となっている、マーケティングが作ったリードをインサイドセールスが案件化し、フィールドセールスが契約に結びつけていくモデルをわかりやすく説明しているので、似たような手法をとっている会社にお勤めの場合は、まずこの本を読んで考え方を理解すると良いと思います。

商談の初期段階の重要性についても触れられています。

最後のクロージングが弱いという営業は、営業プロセス後半の交渉や詰めが弱いと思われがちだが、実際はこの初期段階の進め方に課題があることのほうが多い。

THE MODEL P145

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?

TORiXという営業コンサルタント会社の高橋浩一さんの本です。「無敗営業」という本が有名ですが、私はまずはこの本をお薦めします。営業活動において、お客様によい質問をして課題やビジョンを引き出すことが重要ということはこれまでの記事でも書いてきましたが、この本では、あまりよくない質問とよい質問の例が具体的なシチュエーションとともに記載されていてとても読みやすいです。

高橋さんは1年以上平日毎朝営業についての配信をしており、過去の録音も彼のXのアカウントからさかのぼって聞くことができるのですが、説明が丁寧かつ根拠立ててお話しするため、プリセールスの人にとって説得力をもちやすいのではないかと思います。新刊は「営業の科学」という本だそうで、書名的にこちらも気になりますね。

高橋さんと直接お話しした時、彼の手法は特定の既存の営業ストラテジーに沿ったものではない、と仰っていたのですが、私としてはソリューションセリングとの共通点が強いと感じています。

追記:新刊の書評書きました。

ソリューションセリング

これまでの記事でもソリューションセリングのお話をしました。簡単に言うと、お客様の現状課題(ペイン)や将来ビジョンを掘り下げてヒアリングを行い、それに対する解決策(ソリューション)の価値を確認する、その上で、自社商品が最適なソリューションであることを説明する、というのが基本的な流れですね。

そのソリューションセリングの日本語書籍、日本では残念ながら絶版になっており、中古書籍はプレミア価格がついていますが、これまでの記事でソリューションセリングに興味をもってくださった方にとっては、入手する価値があると思います。

買い手の関心事は時間とともに変わるので、ニーズを高めてからソリューションの話をする、コストやリスクについての質問はうまくハンドリングする、と言う説明は説得力があります。

常に顧客にとってのベネフィット(利点)に基づいて話をすることの重要性も詳しく説明されています。

フィーチャー、アドバンテージ、ベネフィット
フィーチャー:このコーヒー・カップには取っ手があります……
アドバンテージ:それがあなたの指を火傷から守るでしょう……
ベネフィット:それはあなたが避けたいと思っていたことですね

ソリューション・セリング P98

ニューソリューションセリング

ソリューションセリングの関係者が書いた続編的な位置づけの本がこちらですが、どちらか一冊を選ぶならば、ニューじゃない方で良いかと思います。日本語版の中古書籍はソリューションセリング以上に希少でプレミア価格がついていますので、英語に不自由がない方は英語版を買うのも良いでしょう。

内容としてはマネージメント的な話も多いですが、「スポンサー・レター」と呼ばれる、議事送付と確認は強力だと考えるので、営業担当に話してみるのも良いと思います。

成果に直結する「仮説提案営業」実践講座

上記説明してきたソリューションセリングですが、顧客に課題やビジョンがない、アウトバウンド型の商談では苦戦することがあります。普通にヒアリングして出てこなかった時は、他のお客様ではこういった課題をお聞きしましたが御社ではいかがでしょうか、などと聞いていくわけですが、この本で説明している「仮説提案営業」は特にアウトバウンド的な案件の確度を高めやすそうな準備や商談の進め方が文字通り実践的に記載されています。

提案型の書籍としては下で説明する本の方が有名ですが、こちらの本の方が実際何をしたら良いのかわかりやすいと思います。

チャレンジャー・セールス・モデル

ソリューションセリングの限界を指摘し、営業担当は教師となり顧客にインサイトを与えるべきだ、という書籍です。私としては、平均的な販売員やプリセールスにとって、質問力を高めるよりもチャレンジャーセールスの方が難しいと思いますが、リードが潤沢にあり多少確度が下がっても良い場合以外は、インバウンド案件は質問力・ソリューションセリングで、アウトバウンドは提案力・仮説提案営業で売る、という形が良いと思っています。

販売員(とくに平均的な販売員)の質問力を高めるのが相当難しいせいもあるが、何よりも、このやり方が誤った仮説に基づいているからだ。

もしも、顧客がじつは自分のニーズを知らなかったら?彼らの最大のニーズが(皮肉なことに)自分のニーズを知ることであったら?
もしそうなら、顧客のニーズを尋ねるよりも、顧客のニーズを教えるほうが営業テクニックとしては有効だ。「チャレンジャー」はまさにこれを実行している。結局のところ「チャレンジャー」は、一流の質問者というよりも一流の教師である。

チャレンジャー・セールス P73

同じ著者の続編で、「隠れたキーマンを探せ!」という本もあります。こちらは契約を進める力を持つ顧客側のキーマンをどのように見つけるか、というような内容で、基本的に営業担当者向けの内容ですが、興味があれば合わせてどうぞ。

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

私が営業手法に興味を持つきっかけになった本です。
SPINのIを自然にできる営業がいたら、ずっとついて行きたいものですね。

SPINとは、ニーズを見つけ出し発展させる四種類の質問(①状況質問、②問題質問、③示唆質問、④解決質問)である。

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

Mastering Technical Sales

最後にプリセールスの方にお薦めしたい本がこちらです。これは営業担当者向けではなく、技術営業の習得、という書名の通り、プリセールスエンジニア向けの本です。洋書かつ、絶版でもないのにかなり高価なのですが、セールスエンジニアに必要とされる様々なポイントを網羅しているすごい本です。

今回の記事は以上です。他の方の書評なども見ていただきつつ、ぜひ気になる本を読んでみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?