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ゴルフ・トーナメント(コンペ)の種類と形式

前回、アメリカのアマチュア・トーナメントについて紹介しました。

そこで紹介したのはいわゆる競技ゴルフと呼ばれるもので、基本は個人がスクラッチで勝負するストローク・プレイです。

そのような真剣勝負の競技ゴルフだけでなく、ゴルフコースが主催するゴルフ・イベントや特定の団体が主催するチャリティ・ゴルフなども多数開催されていて (ゴルフに限らずアメリカ人はチャリティ好き!)、これらはグループで楽しめるようなゲーム形式で開催されることが多いです。ちなみにゴルフ・コンペというのは和製英語でGolf Competitionを略しているのだと思いますが、こちらでは通じません。普通にGolf Tournamentといいます。

私は、長い間日本でゴルフ・コンペに参加したことはないのですが、みなさんが会社のコンペなどに参加すると、ペリア方式やダブルペリア方式といったルールでプレイ後にその日のHCを決めて、個人で順位をつける、といったことが多いのではないでしょうか?

アメリカでチャリティ・ゴルフやプライベートのゴルフ・イベントが開催される場合、このような形式で実施されることはまずありません。ダブルペリアといってもほとんどのアメリカ人は???だと思います。このようなイベントではほとんどがスクランブル形式やシャンブル形式など、チームで楽しむことがほとんどです。

ここではアメリカで一般的なゲーム形式を紹介します。

スクランブル (Scramble)

2〜4人のプレイヤーが1チームとなって、それぞれのプレーヤーがティーショットを打ち、その中から最も良いボールを選び、その地点からまた全員が2打目を打ち、3打目も同様に全員同じところから打つ、ということをホールアウトまで続け、最終的なスコアをチームのスコアとして記録します。ホールアウトまで、なのでグリーン上のパットも同じです。

この方法だと「チームの中の1番上手い人のボールばかり選択することになるのでは?」と思われがちですが、トーナメントによっては「18ホールのうちチーム全員が最低4回のティーショットを選択しなければいけない」といったルールが適用されることが多く、初心者の人のティーショットも何処かで必ず選ぶ必要があるのです。たとえティーショットの距離が出ていなくても、フェアウェイのいいところにあれば、あえてそのボールを選択しておかないと、後半になればなるほど、まだ4回ティーショットを選択されていないプレイヤーにはどんどんプレッシャーがかかってくる、なんてことも多々あり、まさにチームワークが必要となります。逆にショットは冴えないが、たまたまロングパットが入ってチームに貢献!なんてこともあるので、レベルの違うプレイヤーが集まるチャリティー・ゴルフなどではこれが結構盛り上がります。常にチームのベストなボールを選ぶし、同じ場所から全員がパットもするので、最終スコアはかなり良くなります。

また、トーナメントでなく、普段ゴルフを回っていても、ビール片手にワイワイしながら4人揃っていつも同じところから打っているアメリカ人グループを見かけますが、これはスクランブル形式でプレイしていることが多いです。初心者が混ざっていたりしても、待ち時間なくサクサクとプレイできるし、その初心者も気兼ねなく楽しむことができるので、非常に合理的な方法ですね。

シャンブル (Shamble)

シャンブルはスクランブルと似ていますが、違うところは、ティーショットのみチームのベストなボールを選び、2打目以降は各自がホールアウトまでプレイし、チーム内で一番良いスコアをチーム・スコアとして記録する方法です。チーム内に一人飛ばし屋がいると、2打目以降がとても楽になります。

(最近、近くのゴルフ・コースから来たシャンブル形式のトーナメント案内。4人チームで参加してランチ、ドリンク、賞品、ニアピン&ドラコン、ラッフルなど込み込みのイベント)

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ベスト・ボール (Best Ball)

2〜4人のプレイヤーが1チームとなって、各ホール最も良かったプレイヤーのスコアをチームのスコアとして記録する方法です。

スクランブルでは、毎ショット毎ショット、チームの中のベストなボールを選ぶのに対し、ベスト・ボールは各自が自分のボールでホールアウトして、そのチームで1番良かったスコアをチーム・スコアとして記録するので、スクランブルほど良いスコアにはなりませんが、たまたま大叩きしてしまったホールがあっても、パートナーがパーで上がっていれば、チーム・スコアとしてはパーとなります。

また、3〜4人のチームの場合、2つのベストボールスコアを採用するという場合もあるようです。

フォアボール (Fourball)

フォアボールは、2人が1チームとなってベスト・ボールでチーム・スコアを決めマッチ・プレイまたはストローク・プレイをする形式です。

フォアボールは、アメリカのプライベートクラブで人気があり、個人競技のイメージでストローク・プレイが出来るだけでなく、チームの仲間(パートナー)と団体戦を同時に楽しむことが出来るゲーム形式です。

ちなみに、フォアサム (Foursomes)は、フォアボールと同じ2人1チームでも、2人が交互に1つのボールを打っていくゲーム形式です。

米国選抜 vs. 欧州選抜のライダー・カップや、米国選抜 vs. 世界選抜(欧州を除く)のプレジデンツ・カップなどの団体対抗戦などは、前半の2日間にこのフォアボールとフォアサムを採用して団体戦のポイントを競っています (後半は個人マッチ・プレイ)。どちらの形式もパートナーとのチームワークと相手チームとの駆け引きが必要で観ていて面白いですよね?

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いかがでしたか? ここでは主なものだけ紹介しましたが、他にもいろいろなゲーム形式があったり、それぞれのゲームに少しアレンジを加えたりしたものが多々あります。

例えばスクランブルなどはチャリティ・ゴルフなどでよく使われるのですが、さらにマリガン・チケットなるものを受付で販売したりすることが多いです。マリガンはご存知のように「打ち直し」のことですが、このマリガンチケットを数枚買っておけば、ここぞというときに打ち直しができます。ただでさえスコアの出やすいスクランブルに、買える枚数に制限はあるものの、各チームこぞってこのマリガンチケットを購入しどんどん優勝を狙ってくるので、優勝スコアがとんでもないアンダーパーになることもしばしばです。でもこの収益はこのチャリティに寄付されファンド・レイジングに貢献するという仕組みです。

【マリガンの語源】マリガンは、朝一番のティーショットをミスショットしてしまった場合、その1打目のショットだけは無打罰で無かったことにできるというローカル・ルールです。いつもTee Timeギリギリに遅れてくるマリガンさんという人がミスショットをするので、その人だけ打ち直しを許してあげていた、というのが語源という説があります

私は渡米して20年も経っているので、最近の日本のゴルフ事情はあまりわからないのですが、ここで紹介したようなチーム戦中心のFun golfが普及すれば、普段は中々ゴルフ場や練習場に行けない初心者や女性の方も、気軽にゴルフを楽しむ機会がもっと増えるかも知れませんね。




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