パイロットのねんねちゃん

本日も、NENNE航空1995便、大分行をご利用くださりありがとうございます。機長はね…

パイロットのねんねちゃん

本日も、NENNE航空1995便、大分行をご利用くださりありがとうございます。機長はねんねちゃん。航空自衛隊でのパイロット経験を主夫になった今、語ります。目的地の気温は28度。皆様を愉快で賑やかな自衛隊生活へとお連れします。到着まで、ごゆっくりおくつろぎください。

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  • [エッセイ部門]あれこれ

    航空自衛隊のパイロットになるまでの小話をちょろっと。

  • 【お仕事小説部門】パイロットまで、あと2年。

    ⭐️あらすじ⭐️ 高校を卒業して航空自衛隊のパイロット課程に進学した俺。全国から集められたパイロットの卵たちは、今日も厳しい訓練に臨む。もうすぐ夏。なぜか泳ぐ訓練が始まった。のどかな田舎を舞台に、地獄の訓練が始まる。なにもかもの初めての環境で、仲間とパイロットになるために努力するお話。

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【自己紹介】航空自衛隊のパイロットをクビになったよ。

こんにちは。 ぼくのnoteに来てくれてありがとう。 簡単に自己紹介させてね。 平成生まれ、九州出身、東海育ち。 ゲームが好きなインドアタイプで 美術館巡りや海外旅行も大好き。 自衛隊の志望動機は ウルトラマン(特にウルトラセブン)が 大好きだからでした。 高卒でそのまま航空自衛隊に入隊。 約5年訓練して、 パイロットになった。 車の免許も持ってなかったから、 人生初の国家資格。 何もなかった僕にとっては 初めての肩書きだった。 でも1年でクビになった。 理由は単

    • [20]パイロットまで、あと2年。

      日曜は、ブン太と東川と一緒に行動した。 正直行きたい場所があるわけでもなく、 すぐ美術館に行こうという話になった。 東川はあまり興味がなさそうだが 特に行くあてもないらしく 渋々とついてきた。 2日連続で同じ美術館でも全く問題なかった。 ホテルで図録をめくっていたら だんだん読み込んでいき深夜まで熟読した。 実物大で観れるというのなら ぜひもう一度鑑賞してみたい。 一緒に行っても会話をするわけでもない。 それぞれのペースで展示を鑑賞していく。 俺とブン太はほぼ同じ速度。 東

      • [19]パイロットまで、あと2年。

        結局ブン太は酒を飲んだが周囲は未成年。 俺もそんな気分になれなくて、 あたりまえだが断った。 まだビールの美味しさを知らない。 高いし苦いし、コーラで十分だった。 合コンは難しい。 というより、女性のことはよくわからない。 そんな反省会を合コン最中に 脳内で繰り広げるほど 盛り上がることなく解散となった。 自衛隊の訓練より厳しく、長い時間だった。 趣味を聞いたりした。 ライブに行くらしい。俺は行かない。 大学の話を聞いてみた。 サークルは楽しいらしい。俺たちにはない。 と

        • [18]パイロットまで、あと2年。

          「わりぃ、遅れたわ」 「遅いわ!」 ブン太は愛想良く返してくれるが 詩音の目が痛い。 イタリアンの席にはすでに俺以外揃っている。 恥ずかしい。 へこへこ頭を下げると大丈夫ですよ〜とか、 気にしないで〜と言った声は聞こえるが 詩音以外の女性に目を向けることができない。 何とか自分の席に座って正面を向く。 詩音が目の前にくる。 睨んでいる。怖い。 綺麗な格好なのに台無しだ。 そういえば、俺はそのままだからTシャツだ。 隣に目をやる。 ブン太は紺色のジャケットを かっちりしす

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        【自己紹介】航空自衛隊のパイロットをクビになったよ。

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        • [エッセイ部門]あれこれ
          19本
        • 【お仕事小説部門】パイロットまで、あと2年。
          20本

        記事

          [17]パイロットまで、あと2年。

          博多駅で解散した後喫茶店に入った。 学生アルバイトに見える女性から 汗をかいた水が提供されて奥に引っ込む。 アイスコーヒーを頼むことにして ガラケーの地図アプリで近くにある美術館を調べる。 詳細は不明だが近くにあることは確認できた。 別に見たいものがあるわけではない。 とにかく今は 自衛隊の訓練から大きく離れたことがしたい。 肉体を使わない思考の世界に没頭したい。 静かな環境で自分の心の声に耳を傾けたい。 そんな思いが一層強まった。 アイスコーヒーを一気飲みして 美術

          [17]パイロットまで、あと2年。

          [16]パイロットまで、あと2年。

          福岡に来たのは久しぶりだ。 そもそも山口県の外に出るのも入隊してから初だ。 外も快晴で心が晴れ晴れする。 厳しい訓練ばかりしていると心が荒んだ。 何が辛いって とにかく怒鳴られるのが嫌だ。 大の大人が本気で怒鳴ると 唾も飛ぶし血管も浮かぶ。 そんな時は、 こいつら(教官や先輩)全員カスだと 思うことでやり過ごす。 「はい!」と元気よく返事するものの、 バカ正直に受け入れると確実に鬱まっしぐらだ。 東川は良くも悪くも素直なやつだ。 たまに怒鳴られながら泣いている。 俺如

          [16]パイロットまで、あと2年。

          またまた うれしいお知らせを報告させてください! 今度はピッタリのタグから評価された⭐️ 人生の中でもかなり勉強して 下手くそなりに努力したんですけど、 どうにもならなかったですね。 「そんなこともあるさ。」と思って 今日はカレーを煮込んでおります。

          またまた うれしいお知らせを報告させてください! 今度はピッタリのタグから評価された⭐️ 人生の中でもかなり勉強して 下手くそなりに努力したんですけど、 どうにもならなかったですね。 「そんなこともあるさ。」と思って 今日はカレーを煮込んでおります。

          [15]パイロットまで、あと2年。

          寮の中にある当直室には 教官が常に1名待機している。 今回は航空力学を担当している教官だ。 「外出証の受領に参りました」 「はいよー」 基本的に階級のない防衛省雇用の教官は優しい。 というか、一般人の感覚を持っている。 ブン太と愉快な仲間たちで当直室に入る。 外出時間を記録して外出証を身分証明書に挟む。 これを基地の門を守る隊員に見せることで 基地の外に出ることができる。 行動計画を準備しているから 門限ギリギリの日曜20時まで。 たっぷり1泊2日間外出できる。 基

          [15]パイロットまで、あと2年。

          うれしいお知らせを報告させてください! たくさんの方に 読んでいただけて感激です。 (まさかのゲームタグですが笑) 物語はもう少し続きます。 というかパイロットをクビになる瞬間まで描きたいです。 半自伝なので。

          うれしいお知らせを報告させてください! たくさんの方に 読んでいただけて感激です。 (まさかのゲームタグですが笑) 物語はもう少し続きます。 というかパイロットをクビになる瞬間まで描きたいです。 半自伝なので。

          [14]パイロットまで、あと2年。

          土日の基地はいつもよりのんびりスタートする。 とはいえ、いつも6時になるラッパが 7時に鳴るくらいのもんだが。 それでも眠れる時間が増えるのは嬉しい。 昼寝をしていると先輩に捕まって 筋トレスタート‥なんて最悪の経験をしており なるべく基地にいることを避けている。 いつも寝泊まりしている部屋にはカーテンがない。 理由はわからない。 ブン太いわく、 首に巻いて自殺する可能性があるからだそう。 ま、多分嘘だろう。 ここは田舎だから周囲も暗くて 特に必要だと感じたこともない。

          [14]パイロットまで、あと2年。

          [13]パイロットまで、あと2年。

          「入ります!」 ブン太が教官室に向けて大声を出す。 入り口で俺と東川、詩音が横並びなって 右へ倣えをして列を整える。 それを確認したあと ブン太が1番偉い教官に向けて敬礼する。 今日は5区隊、区隊長の関1尉だ。 部屋に入るだけでも作法がある。 非常に面倒だが関1尉は どちらかといえばフレンドリーだ。 あくまでも、どちらかといえば、だか。 複数人で教官室に行くときは、 基本的に代表者がしゃべる。 「お疲れ様です!」 「おう、お疲れ。どうした?」 「行動計画の確認をしていた

          [13]パイロットまで、あと2年。

          [12]パイロットまで、あと2年。

          外出するには面倒な手順が必要だ。 まず平日に外出申請を行う。 これはフォーマットに外出する日を書いて、 教官に提出すればいい。 俺たちは土日しか基地の外に出れないから 書かなきゃいけないことも大してない。 しかし県外へ移動するには もっと詳細な行動計画が必要になる。 いつ基地を出て交通機関は何を利用して 帰りは何時になるのか報告する必要がある。 面倒なのは上官に見せなければ 許可をもらえないと言うことだ。 これが毎回質問攻めに合うから 下手に嘘を吐こうものなら後が怖い。

          [12]パイロットまで、あと2年。

          [11]パイロットまで、あと2年。

          「‥‥え?」 「だから、溺れてくれ!」 そりゃそうだ。 東川は悪くない。 「足がつったことにしよう。せーの!」 「いやいや、待ってよ。そんな急に無理だよ。」 「今こそお前の演技力の見せ所だ。 俺を助けると思ってさ!」 「そんな余裕ないって。 頼むからほっといてくれよ」 「俺だってそっとしておきたいさ! でも、それどころじゃないんだよ!」 「詩音にまた引かれちゃう。」 「大丈夫。あいつは寛容だから。」 このままでは埒があかない。 俺の膀胱も限界に達しようとしている。 実力行

          [11]パイロットまで、あと2年。

          [10]パイロットまで、あと2年。

          「あー、そろそろ限界だわ」 「だよな」 「ああ」 「東川もヤバいんじゃない?」 「‥‥な、なにが?」 「何がってションベンに決まってんだろ?」 「‥‥‥‥い、い、いや俺はいいや。‥‥今のペースが崩れると、また溺れそうだから。」 「 そうか、無理すんなよ!詩音!ちょっと一旦トイレ休憩いいか?」 ブン太が先頭に合図すると、ペースメーカーの詩音が嫌々振り返って手を挙げる。 「じゃ、ちょっくら最後尾でやってきますか」 「だな」 俺とブン太で列の最後尾に移動する。 荒れ狂う波にもすっ

          [10]パイロットまで、あと2年。

          [9]パイロットまで、あと2年。

          曇天。 まだ夜が明けてないと錯覚するほど空が暗い。 今日はいよいよ3時間海で泳ぐことになる。 プールでの練習を3回。 海での訓練も1回経験した。 とはいえ、こんな天気は想定外だ。 海の家に着いた段階で波の荒々しい音が聞こえる。 俺たちを飲み込まんとする勢いで砂浜に波が打ち寄せている。 「え、マジ?」 さすがのブン太も戸惑いを隠せない。 「いや、さすがにやめるっしょ。」 「だよな?」 周囲からもそんなやりとりが聞こえる。 教官が先んじて船で沖合の様子を見ている。 ここで最

          [9]パイロットまで、あと2年。

          [8]パイロットまで、あと2年。

          海から上がってから身体中がヒリヒリする。 もはや痛い。 「なんか痛くね?」 隣のブン太にも確認する。 「あれ?お前も?なんか俺も股間がムズムズしててさ」 「やっぱそうだよな!ち◯こが痒いわけでも、股ずれともなんか違うんだよな」 「それ、セクハラなんだけど」 詩音が睨む。 「いやいや、マジなんだって!」 「日焼けなんじゃないの?着替える時に何か塗った?」 「塗る?なにを?海に入るんだから落ちるでしょ」 「先輩から教わらなかったの?」 「聞いてねぇよー!なんか秘密の塗り薬でもあ

          [8]パイロットまで、あと2年。