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「聖闘士星矢」における愛すべき技の数々にツッコみたくて仕方ない

幼少期、トランプの「戦争」でカードを出すとき「ウルトラハイパーアターック!!!」みたいな謎の技名を叫んでは悦に入っていた。「聖闘士星矢」の影響だ。とにかくかっこいい技がてんこもりなのだ。大人になって改めて読むとツッコミどころしかない。しかしかっこいいことは変わりないので不思議である。

このnoteの目的


「聖闘士星矢」を彩る印象的な技の数々をめでる(自由にツッコミながら)
※主な参考資料:「聖闘士星矢」文庫版/ジャンプコミックス
 
※以下はネタバレとオタクの偏った思い入れに満ち満ちた駄文である。ただの妄言であり、正確性や客観性は一切保証しない。新たな知見が得られることもないだろう。なお、5400字ある。 

↑↑姉妹編↑↑

・ダイヤモンドダスト

やけになめらかな動きの例のダンスが思い浮かんでしまうが、あれはどうやらアニメからの逆輸入のようだ。原作で初めて氷河が披露した際は特に変わった様子もなく、氷の結晶が舞い散るだけの極めて美しくクールな技であった。十二宮編のミロ戦まで来て初めて、目立って不可解なポーズが挿入される。「カミュは弟子に変なダンスを教えたな…」とミロは思ったことだろう。たいへんな濡れ衣である。宝瓶宮でも控えめながら白鳥ポーズを見せており、「私はこんなの教えてない…誰か間に入ったヤツがいるのでは」とカミュにあらぬ疑いを抱かせたかもしれない。
氷の聖闘士の基本技で、スレイヤーズで言うとファイアーボールくらい気軽に使われる。
技名が秀逸。実在する自然現象名というシンプルさ。確かなイメージ喚起力。そして何より、叫んだ時にいい感じである。力強いD音で頭韻を踏む・リズムがよい・語尾を伸ばせる。これだけ好条件がそろえば愛用したくなるのも当然である。

ほらとっても叫びやすい!

・鳳凰幻魔拳 

一輝が使う精神攻撃技で序盤の最強技の一つ。最初の犠牲者・那智が見せられた幻覚はあまりに露骨なスプラッタであり、発表当時PTAが騒然としたであろうことは想像に難くない。
相手の心の中をのぞくことができるため、回想シーンの導入としてたいへん優秀。
サガの「幻朧魔皇拳」との打ち合いも。よくもこんな変換に手間のかかる技名を考えたな。どっちも中二病っぽさにおいていい勝負。

・アナザーディメンション

問答無用で異次元空間へ敵を飛ばすサガの謎技。そのカラクリは全くわからない。異次元ってそもそもなんなのか。説明は一切つかないが絵面だけで納得させようとする聖闘士星矢らしい技の代表格。なおこの技をくらったシャカは「まだ異次元に飛ばされるわけには」とかなんとか言って気合いで耐えた。気合で耐えられるものなのか。
双子技としてカノンの「ゴールデントライアングル」がある。こちらは宇宙空間を背景にしつつも難破船、飛行機、お人形、宝箱などが描きこまれていてノスタルジック。海溝に沈んだあれこれをイメージしたものか。ちゃんと海を意識したアレンジがなされているのがほほえましい。

原理も現象もわからないがなんかすごそうってことだけは伝わる

・オーロラエクスキューション

わが師カミュが美麗な二の腕から脇を見せつけながら色気凍気を無限大に発するまぶしくも恐ろしい技。
技の説明・描写にひとかたならぬ気合が入っており、初お目見えでは発動までに4ページを占有。カミュの涙までセットで全編で最もドラマチックに導入された技の一つ。その後もここぞという場面で使われ、破格の扱いを受けている。
弱点としては、極めて悠長な技だということか。「光速」とはおよそ無関係。小技で相手の動きを止めてからとどめをさすときに使うとよい。
水瓶は本来、絶世の美少年が持っているはずなのだが、カミュ自身が美青年だからか、ギリシャ彫刻みのある女性が背景に描かれる。
ハーデス編でカミュがオーロラエクスキューションを使わないことに意味があるのでは、というファンの指摘を見かけたが、たいへん深い洞察に思える。AEはカミュのアイデンティティにかかわる技であり、寝返ったふりをしてる場面で軽々しく使いたくなかったのかもしれない。まあ発動までにちょい時間とコマ数かかる主人公技なので車田先生的に入れる暇なかっただけかもしれないが。
なお、カミュはAEを氷河に受け継がせた、というのが定説だが、これは結果論である可能性がある。言葉っつらだけを見るなら、AEの構えをした氷河を「そんな簡単にマネできるもんじゃない!」と叱咤している。前述の通りカミュはAEを誇りとしているので、結果的に氷河ができちゃったから認めたけど、最初から継承を目的としてはいなかったかもしれない。この話はまた後日。
なお、現実にはポーズ・動作が極めてわかりやすいため、多くのちびっこに真似されたという。

とくと見ろ!と(偽カミュも)言ってくれてるしゆっくり鑑賞したい

・フリージングコフィン

ダイナミックな氷の棺桶。直方体なのがカミュの四角四面な性格を反映していそうでほほえましい。「壊れない」と口酸っぱく言われるが即壊される運命にあり、いかにも聖闘士星矢らしい。この棺から氷河を救うためにライブラの聖衣が派遣されたり瞬が死にかけたり、大騒動となる。そもそも他人の宮に巨大な棺を放置していったという点からも迷惑技である。
FCをくだくにはFC.以上の凍気が必要、は謎理屈。文系脳が普通に考えるともっと強烈に凍る気がしてしまうのだが。どうなんでしょう理系さん。
また、これだけの氷を生むには相当量の水分が必要なはずであり、FCを発動した瞬間、聖域周辺はカラッカラに乾燥したことだろう。それを短時間で2回も。宝瓶宮のお隣、双魚宮の主は薔薇を大量に栽培しているので、その被害は甚大だったのではないか。星矢が気合いのペガサス流星拳一発でデモンローズを一掃できたのも、一時的な水分不足で薔薇が弱っていたからかもしれない。アフロディーテはカミュを恨んでもいい。
「氷漬けにしておくための棺」なのでfreezingで正しい。frozenだと普通の棺が凍ってる感じになる。
「コフィン」のF音は想像以上に発音しづらく、うっかりすると「コヒン」になりがちなので要注意だ。 

絶対周囲が極度に乾燥した。ここまで巨大にする必要もないと思うが…

・積尸気冥界波

イタリア男のデスマスクがギリシャのサンクチュアリと日本神話の黄泉比良坂をリンクさせてしまう。さらに積尸気は中国由来だそうで、混沌の極みである。
ビジュアル的には相当おどろおどろしい。幼児に見せるとトラウマになりそう。
でっちゃん本人は顔パスで気軽に入ってきたが、黄金聖衣に見放されて黄泉平坂に落とされる、という因果応報のお手本のようなオチがついた。
技の説明と発動がコミックス丸々1巻分をまたいでいるのはムウ様のせい。ハーデス編ではその恨みあってかムウ様に仕掛けるが、跳ね返されて吹っ飛ばされる。超次元系の技なのに物理的威力があるとはこれいかに。
 

・ライトニングプラズマ/ライトニングボルト

背景に吠えたける獅子が浮かぶ、アイオリアの必殺技。ペガサス流星拳・彗星拳の上位技か。「聖闘士星矢」中最も光速を感じさせる技で、黄金聖闘士といえば光速!を強く印象づけた。光速のあまりシャイナさんに打ち込んでしまったのはご愛敬。正面から打つのが標準だが、ハーデス編でミミズ(失礼)に対して振り向きざまに放った「見返りライトニングプラズマ」がめっちゃかっこいい。
語尾が延ばしやすいため叫びやすい。(どうしても「~拳」「~ション」「「~ジョン」が多いんだよなー)最初の「ラ」はRでなくL音なのでそこだけ注意。

めっちゃ主人公っぽいけど陰もあっていい男だよな

・天魔降伏

世界観のカオスっぷりにおいて群を抜いている。
見開き絵の背景は上部が天使とマリア様?っぽい絵で下が骸骨。初出時、「天上天下唯我独尊」シャカは仏陀の生まれ変わりであることが同時に明かされ、読者をいっそうの混乱に陥れた。技の具体的内容は例によって不明。発動するとその場にいる全員がダメージをくらうなんかわからんけどすごい技
「オーム」とかいう一般には一切なじみのない梵字、そしてなんかヤバいってことだけはわからせる漢字4字。文字の力をフルに利用している。
「天魔降伏! 死すべしアイオリア!!」は声に出して読みたい日本語。

「オーム」は私のPCが対応してくれない高度な文字だった

・六道輪廻

仏教の「六道」に親しめる、比較的素直にシャカっぽい教養技。
6つの世界から好きなとこ選んでね、と言われるが、「人界」に落とされるとどうなるのか。いつもの生活に戻るんだろうか。イメージ画像のテイストに統一感はなく、「餓鬼界」は日本の絵巻物っぽい一方で「修羅界」は古代ギリシャ・ローマ風味。「畜生界」は恐竜が闊歩する。いつの時代に落とされてしまうんだろう。
 

・天舞宝輪

バルゴのシャカ最大の奥義。五感を一つずつ剥奪して敵を生ける屍にする恐ろしい技。しかし最も恐ろしいのは「宇宙の真理」「調和の世界」というふれこみが何一つこの技の描写になっていない、というところである。
冷静に考えると「触覚」を失うと身動きできなくなるのかは疑問だし、ましてや「味覚」を破壊するとしゃべれなくなることは絶対ない。味覚くらい風邪ひいたらすぐなくなる。あと頭脳が第六感とか言い出すのはいくらなんでも悪ノリしすぎである。
背景は曼荼羅。シャカのゾーン(これがほんとの「仏ゾーン」)(ごめんなさい未読です)にすっぽり覆われた感があってまた怖い。
一輝戦では最初に一輝の聖衣が触覚剥奪とともに粉々に砕ける。聖衣が壊れる原理は不明
ハーデス編の冥界キャンディーズは一感剥奪ごとになぜか物理的ダメージをくらって頭から地面に墜落するいわゆる「車田落ち」をさせられる。そして各人どの感覚を奪われているか途中経過は不明。これは3人もいて説明が面倒だったからだろう。物語のスピード感を重視した好判断である。
 

・スカーレットニードル

名前とキャッチフレーズの勝利。「真紅の衝撃」はしかし、意外にも原作の初出は対カノン戦ぽい。対氷河戦では「真紅の針」「赤い衝撃」のフレーズが見られる。(アニメやグッズのキャッチフレーズから逆輸入の可能性もあるか?)
麻痺技だが、ある程度進むと血が大量に噴出。そのために五感を失っていくことになる(大好きだな五感剥奪)。一発ずつでは致命傷にならず、「降伏か死か」の2択を迫るドS技。カノン戦では「降伏」の選択肢すらなく、「発狂か死か」。
スコーピオンの15の星になぞらえて15発。15発目は蠍の心臓部・赤い巨星「アンタレス」の名を持つ。説得力があり、文句なしにかっこいい。星座を最も効果的に利用した技かもしれない。しかし「助かっても廃人になる」と言った舌の根も乾かぬうちに「数日もすれば五感は再び戻ってくる」とか、後遺症が重いんだか軽いんだかはっきりしない。アンタレスまで打ち込むと確実に死ぬ、はずなのだが、血止め(とても便利な「真央点」!)をしただけで氷河はほぼ元気になっているところを見ると結構な詐欺技。まあ「拷問」と考えると殺してしまっては意味がないので、脅しで十分なのか。
ミロ本人もSNの効果をよくわかってなくて適当吹いてる可能性は大いにある。アンタレス打ったことないって言ってたし。それにしても、やったことない技についてよくもそんなドヤ顔で語れるものである。 

予想以上に似合ってしまったアホな台詞(すまんミロ)

・廬山亢龍覇

自身が昇龍となり、相手を羽交い絞めにして宇宙まで飛んでいくというシンプルなトンデモ技。決して使ってはならないと老師に厳命された禁じ手であり、「やったことない技」の代表。昇龍覇の発展技らしいが、上昇する以外は全然違う気がする。そもそも、こんな片道切符な技、どうやって「会得した」とわかったのか謎である。
 

・ギャラクシアンエクスプロージョン

音の響きの良さとスケールのでかさはダントツ。背景で宇宙の星が爆砕されまくる。「聖闘士星矢」といえばGE。技の人気投票でもペガサス流星拳に次ぐ堂々の2位だった。(なお、ベスト10中、黄金聖闘士の技は他に6位のオーロラエクスキューションしかない。)しかし意外と出てくるのは遅く、十二宮編ラストに登場。さらに、あの超絶かっこいい前フリ「見るか 星々の砕ける様を…!!」は弟のカノンの台詞である。GE=サガな気がしていたが、使用回数はむしろカノンの方が多いかもしれない。
「ギャラクシアン」という英語は存在しない、というのは最もである。しかし、無難に「ギャラクティックエクスプロージョン」(galactic explosion)とした場合、どうだろうか。華麗さにおいてあきらかに劣る。(そうかな)辞書的な正確さよりも勢いと雰囲気を重視したからこそ、豪華絢爛なこの技が生まれたのである。 

こういう割れ方するのは恒星ではなく惑星か小惑星か…?

・アテナエクスクラメーション

黄金聖闘士が3人必要な三位一体技。小規模ながらビッグバンに比肩する威力を持つ…らしい。それは「聖域全体が消滅する」程度のことで済むものなのか。ビッグバンってそんな軽いものだっけ。せめて「北半球が消し飛ぶ」くらいは言ってみてほしかった。なお、実際はサンクチュアリすらも消し飛ばなかった模様。
3人がかりは卑怯ということでアテナに禁じられたというが、黄金聖闘士にとっては常識で、なんの予行演習もないままいきなり発動できる。3人のポジションを決めるときにもめないのかが気になる。あとどうしても組みたくないヤツがいる、とか。
技名は「アテナの絶叫」の意だろう。「アテナ!!!」なわけではない。たぶん。 

小宇宙会話による光速の会議が開かれた結果が上図


 
前回の4000字超えを反省したつもりだったのに、5400字を超えてしまった。ここまで読む人はいるのだろうか。私が楽しいだけだ。それにしても私が本当に書きたい「カミュの一貫性のなさ」についてはいつ書けるのだろうか。

↑↑がんばって書いたよ↑↑


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