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唇よ、その偏愛を熱く語れ。 3日間で200人の来場者が「熱狂した店主のセレクト文具」をみにきてくれた話

初めての東京進出、しかも『元とんかつ屋』で、小さな文具屋がイベントをする。

そんな突拍子もない話を聞いたら、そんなのうまくいくわけないと思う人がほとんどだろう。
でもそれは現実で、実際先週6/3(金)〜6/5(日)に実際にうちのお店が挑んだ内容をそのまま説明するとそうなる。

イベントを告知するnoteを書いた記事にはありがたいことに、反響を頂いていた。
それでも実際、仕掛けた本人もイベントが始まるまではドキドキしっぱなし。

誰も来なかったらどうしよう……
遠征費用が回収できなかったら……
考えただけで心が打ちのめされそうになるから、考えるのは途中でやめた。

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でも、そんな心配をよそに、イベントには3日間で200名を超えるお客様にご来場いただくことができた。
うちみたいな小さなお店の取り組みにこんなにたくさんの方が反応してくださったことが何よりうれしいし、感謝しかない。

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今回のnoteでは「偏愛文具展」という、小さいながらも熱く熱く盛り上がったうちのお店のイベントを振り返ってご紹介させてほしい。

イベント開始4日前に決まった「偏愛文具展」というコンセプト

とりあえず東京にうちのお店が行ってみる。
そんなゆるーい考えで準備を進めていたイベントに「偏愛文具展」という名前の通りに偏ったコンセプトが生まれたのは、イベント開催の4日前。
「のれんをつくりたいなあ」というこれまたボーッとした思いつきからスタートした。

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今回の会場となる「シーナと一平」は、元トンカツ屋さんをリノベーションした宿泊施設。
イベント開催前に撮影した上の写真にも小さなのれんがかかっていて、持ち前の昭和な雰囲気もあって、「のれんを作りたい」という想いが開催ギリギリまで膨らみ続けていた。

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そして、イベント4日前に大急ぎで作ったのがこののれん。
送料込みで3000円と非常にお安く、縦の長さも中が覗けるいい長さ。
ちょうど切れ込みで5つに布の部分が分かれていたので、シンプルに文字を入れるだけであれば、デザインについて素人の自分でもなんとかできるのではと考えた。
シーナと一平の運営の方から頂いた「偏愛」というテーマと、「文具」という販売商品の総称を記載して4文字。
そして「展」というのは、先日大阪で開催されていた「大棍棒展」や、今回の会場から一駅の池袋駅で同じ日程で開催されていた「文具女子博」から連想して、「店」ではなく「展」の字を選んだ。

結果として、「偏愛文具展」の暖簾は、たくさんの人に写真を撮ってもらえるスポットとなったし、普段お菓子屋さんを開いていても「シーナと一平」に立ち寄らないご近所の方からもたくさん覗いていただけるよいコミュニケーションの入り口にもすることができた。

オンとオフが絡み合う「#偏愛文具展」

さらに、このコンセプトから発展して思いつき、イベント3日前に開始したのがハッシュタグ「#偏愛文具展」
ツイッターでイベントに関係なく自分が偏愛する道具をつぶやいてもらうことで、いろんな人が偏愛する文具が展示会の様にウェブ上に並ぶという試みをさせていただいた。

また、noteでも「#偏愛文具展」をつけた投稿で、ツイッターでは伝えきれない長めの偏愛を募る試みも行わせていただいた。

このnoteでの試みも、note公式さんに取り上げていただくことができ、開催期間の都合上投稿頂く猛者は少なかったものの、オンとオフを使った面白い試みとして仕掛けることができたように思う。

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また、実際の開催期間中は「#偏愛文具展カード」と元トンカツ屋が舞台ということで、「ペヤング やきそばソースカツ」を直接渡し得るすべての入場者の方にプレゼントさせていただいた。(混雑時にお渡しできなかった方はすみません)

これもほとんどその場のノリで思いついたプレゼントだったけれど、来場者の方とお話するきっかけにもなるし、会場の説明にも繋がるし、更には結果的に来場者人数のカウントにも繋がり、狙ってないのに一石三鳥な取り組みとなった。

ぜひこのハッシュタグで、イベントを投稿してやって下さい!という、こちらからの無理なお願いにも関わらず、ご来場いただいたたくさんの方がつぶやいてくださり、実際に会場に来られた方も「○○さんの投稿を見て来ました!」と言ってくださる方がたくさん。
特に自分自身尊敬して止まない文具ディレクターの土橋正さんや、GO ANDOさんの投稿をみて来ましたという方がたくさんいらっしゃってくださり、嬉しいの洪水で感情が振り切れそうになった。

会場は池袋から一駅の「椎名町駅」にあり、「初めてこの駅に降りました!」という方もたくさんいらっしゃったのだけれど、それでも来ていただけたのはハッシュタグを通じて投稿してくださったたくさんの皆様のおかげだと感じている。
この場を借りて改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

偏愛を突き詰めるとフォントメーカーさんが会場に来る

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「偏愛文具展」という名称にしたからには妥協は許されない。
半端なセレクトでは、わざわざ来てくださるお客様の期待値を超えられないからだ。
でも返ってそれが、商品選びのハードルも下げてくれた。
文具に普段興味のない方にもわかりやすく……なんて考えは一旦放り出して、本当に自分が推したいアイテムだけで会場を構成できたし、実際来てくださった方もそれを楽しんでいただけていたように思う。

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会場の入口を入ってすぐに左を向くと、リアルなサイズで作られたA0→A4タペストリーがお出迎えし、

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入り口の腰窓には、A4コピー用紙を美しくコバまで揃えて設置できるSOGUさんのペーパーサーバーが調度品のように並ぶ。

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A4コピー用紙の予備がきっちり収まるのに、変形機構で取り出しやすい箱を始めとして、A4コピー用紙活用アイテムを求めてたくさんの方がお買い物してくださった姿を見て、本当に偏愛を貫いてよかったなと思えた。

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下手をすれば半分以上の商品は説明なしには理解できないアイテムばかりなのだけど、来場していただいたお客様たちは実際に手で触れながら、どういった形で使うものなのかという推理も含めて楽しんでいただけたのではないかと思う。

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もちろん、商品についての説明を通して、どんな道具化をじっくり知っていただけるコミュニケーションも、この小さくて落ち着く空間ならではの距離感でゆっくりとできたのも、今回この会場を使わせていただいてよかったなあと思う点だった。

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更には今回販売する商品を取り扱わせて頂くだけでなく、販売応援までいただいた「THE」の皆様には感謝してもしきれない。
私の偏愛を更に超える勢いでお客様を魅了していった接客の様子は次のツイートに如実に現れている。

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また、人が集まるか正直ドキドキだったトークイベントにも、想像を超えて小さな会場がほどよく満員になるぐらいに集まっていただき、商品をどうやって個人で営む文具屋が作れているのかなどぶっちゃけたお話をさせていただくことができた。

恐らく文具屋では自分しか持ってないであろうこのペンプロッターを使ったワークショップも「偏愛」故にたどり着いたものだからこそ、このイベントでは大人気だった。

使用しているのは東亜重工フォント
二瓶勉さんの漫画「BLAME!」や「シドニアの騎士」に登場するフォントを大真面目に実用化したこのフォントを、別に何に使うわけでもないのにかっこいいから買っていたことで、今回のイベントで突然大活躍してくれた。

東亜重工フォントだけでも珍しいのに、さらにそれをペンプロッターで印刷する形で好きな名前やアカウント名を書くワークショップは、会場で思いついてはじめたのだけど20名近いみなさんが参加してくださった。

そして更にはフォントメーカーさんまで会場に来てお礼を言ってくださる展開にまで発展するなんて、イベントをはじめるまで本当に思ってもみなかった。
これも「#偏愛文具展」をたくさんの方がSNSの力で広めてくださったからこそ起きた奇跡だと思う。

唇よ、その偏愛を熱く語れ

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東京で、しかも初めてしかけるイベントがこんなにニッチでいいのか。
そんなことを思いながらビクビクとしかけたイベントだったけれど、気づけばあっという間の3日間だった。

今の時代、検索すればたいていの問題は片付く一方で、たくさんの人が情報を発信しているが故に、どの情報が正しかったり、自分が必要になっているものなのかを見極めるのが困難になっている。
そういった中で、偏愛の名のもとに実際に話したり見て触ったりできる場というものをたくさんの方が求めてくれているからこそ、偏愛文具展は成立したように思う。

だから、今後も私は「偏った愛」と知りつつ情報を発信するし、偏っていることを自覚しながらいろんなことを仕掛けていきたい。
そんなスタンスを再確認できるイベントでもあった。

次の場所が東京かはわからないけれど、次の「#偏愛文具展」もなにかの形で開催できれば……と思う。
ぜひうちでもやってほしい!とか、こういうテーマのものを見てみたい!という方がいれば教えていただければ幸いです!
そして、そこまで声をあげずとも、この小さな文具屋の挑戦を引き続き温かい目でみてやっていただければと思います。

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ここからは#偏愛文具展で投稿いただいた投稿をご紹介させていただきます。
展示会をみるような気持ちで楽しんでいただければ幸いです。


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