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読書の秋2022「クライマーズ・ハイ」

皆さまおはようございます。
今日は「クライマーズ・ハイ」横山秀夫さん(文春文庫)の感想文を書きたいと思いますが、いつものPopの前に、この本の中核をなす大事故についての私の記憶から少し書かせてください。

1985年の日航ジャンボ機墜落事故。このとき私は大阪で事務員として働いていました。次々にもたらされる衝撃的な情報に、職場は数日ざわつきました。
公開された遺書は家のテレビで見ました。涙がとまりませんでした。そして思ったのです。死の間際にまで家族を思い、励ますことのできる、こんな素晴らしい人たちが、どうして道半ばにして死なねばならなかったのか。神様の手は届かないのか、そのときは、そう思いました。
その後事故原因が隔壁の亀裂によること、そしてそれは修理されたものであったこと、修理が2度めだったか、最初のものであったかは私の記憶でははっきりしませんが、外国の会社によるものだったこと、その会社からは遺族に謝罪はなかったことを記憶しています。

そしてこの「クライマーズ・ハイ」を読んで気づいたんです。「天の采配」(神様というと宗教的なので「天」と書きます。同じ意味です)というものに。
人間社会はその経済的な構造から、すぐに自分やごく狭い自分の周りだけの利益追求に走りがちです。でも、天の意志はやはり愛の方向に働くのです。だから愛をおろそかにして利益だけを追う人々を許しません。「天の采配」が恐ろしいのは、その鉄槌が時として罪なき人々に振り下ろされることがあるからです。
でも、この事故はそれとも違い、亡くなった520人の方々は、皆、天の戦士だったのではないかと、そんなふうに思ったのです。あの遺書で世界に本物の愛を伝えた。そしてその時の機内の静けさを伝えた4人の奇跡的な生存者は天のメッセンジャーだと。
だからこそ、飛行機は御巣鷹山という霊山に落ち、その魂を永遠に鎮魂するように天が計らってくださったのでしょう。
もし、ご遺族の方がここをご覧になっているなら、どうか亡くなったあなたのご家族を誇りに思ってください。天の望む愛ある世界のために散っていった尊い命なのですから。
どうか、安らかに…。


クライマーズ・ハイ、横山秀夫さん感想文

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